ハードルは案外高くない! ハーフマラソンが「痩せラン」のモチベーションを上げる
レースに申し込むことが走る動機になり、痩せるモチベーションを高めてくれる。10km走る習慣があれば、間違いなくハーフマラソンは完走できるぞ。
取材・文/井上健二 イラストレーション/鈴木暢男
(初出『Tarzan』No.775・2019年10月24日発売)
1. 自分だけの成功体験が糧になる。
10kmランナーになれたら痩せランの目的は達成できるが、この先も目的があった方が走る意欲が保てる。次の目標を見つけよう。
カラダが絞れると足が軽くなり、距離も延ばせる。そうなったらレース出場を考えてもいいタイミング。射程に入るのはハーフマラソンだ。
10kmランナーが、一足飛びにフルマラソンに挑戦するのは少々無謀かも。そこでフルの半分の21kmほどを走るハーフに狙いを定める。日本では年500本ほどのハーフが開催されている。そこから自宅近くで気軽に参加できるものを選ぼう。
監修してくれたトレーナーの中野ジェームズ修一さんも「ハーフマラソンは10kmの約2倍。練習で10km以上走らなくても、歩かずにゴールできます」と太鼓判を押す。
仕事でも成功体験は得られるが、仕事は一人でするものではない。ラン友がいるとしても、ランは突き詰めると個人競技。10kmランナーになり、ハーフマラソンを完走したら、ほぼ自分一人で成し遂げた偉業。大きな成功体験となってランが続くし、絞れた体型もずっと保てるのだ。
2. ハーフマラソンのペースを知る。
大会によってバラツキはあるが、ハーフマラソンの制限時間はだいたい2時間半から3時間。どうせなら制限時間以内に歩かずに完走したいものだが、自分がどのくらいの時間で走れるかを知るには、どうしたらいいのだろうか。
そこで役立つのは、心拍数(39ページ参照)。最大心拍数の70%前後を示すときのペースなら、スタートからゴールまで歩かずに走り通せる。
仮に制限時間が2時間半だとするとレースペースは1km7分(ゴールタイムは2時間27分41秒)。1km7分というと速歩の上限スピードに相当する。3か月も週2〜3回走れば基礎的な走力が身に付いているから、最大心拍数の70%ならそれより速い1km6分半以下でクリアできるランナーが大半だろう。
ちなみにハーフマラソンに出ている日本人ランナーの平均タイムは、男性で2時間8分、女性で2時間21分。この平均タイムがなんとか切れるように頑張ってみよう。1km6分なら2時間6分35秒、1km6分40秒なら2時間20分39秒でゴールできる。
3. 2回ハーフを走るとフルの課題がわかる。
ハーフが完走できたら、新たなターゲットはフルマラソン。噂の42.195kmへの挑戦だ。
10km走れたらその2倍のハーフに挑めるように、ハーフが走れたら、その2倍のフルは射程範囲内。
ただし距離が2倍でも、ハーフのタイム×2=フルのタイムと単純計算はできない。フルマラソンの長丁場は山あり谷ありだから、ハーフに2時間前後かかるランナーなら、ハーフのタイム×2.4倍程度と考えておこう。このタイムで制限時間内に完走できそうなレースを見つけてエントリーしたい。
ハーフはフルの練習になる以上に、フルを完走するために何が足りないかを知る絶好のチャンスでもある。ハーフに2回出て、何が辛かったかを振り返って確認。弱点を見つけて手を打てば、フルは快走できる。
ランナーの課題には大きく(1)心肺機能、(2)筋持久力がある。息が苦しくてペースが保てなかったなら、心肺機能が低すぎるのが問題。脚が持たなくて痛みや違和感に悩まされたとするなら、筋持久力に難アリだ。それぞれに即した対策を立てよう。
4. ランニングクラブに入ってみる。
レースに出ると決めたら、ランニングクラブに入ることも検討してみよう。ランクラは市民ランナー向けの会員制の組織。ラン好きが集まる大人の部活である。
活動スタイルはさまざまだが、設立14年目で100人を超えるアクティブ会員がいる老舗〈ハリアーズ〉は、都内で週3回行われる練習会に思い思いに参加するスタイル。
「1km3分から6分半まで5〜6グループに分けて走力に応じた指導をしています」(代表で英国陸上競技連盟公認コーチの安喰太郎さん)
前述のように1km6分半なら多くの10kmランナーがクリアできそう。
レース未経験者がランクラに入るメリットは大きい。第一にランクラにはハーフやフルに何度も出ている強者がいて、彼らから等身大のアドバイスが得られる。もちろんコーチからは練習法やフォームなどに関する専門的なアドバイスがもらえる。練習も仲間がいると励みになる。
メンバー同士が連れ立って大会に出ることもしばしば。一人だと不安なタイプはランクラに入り、気の合う仲間たちとレースに出てみよう。