このグローブと、 もっと上を目指していきたい(総合格闘家・浜崎朱加)
text: Kai Tokuhara photo: Takahiro Idenoshita illustration: Shinji Abe
(初出『Tarzan』No.765・2019年5月23日発売)
名実ともに、女子MMA軽量級の最強ファイター。
女子版UFCとも言えるアメリカのInvicta FCの王座を返上し、昨年RIZINに“逆輸入”。以来、無類の強さを見せつけている浜崎朱加選手。
年末に若きホープ浅倉カンナ選手から一本勝ちを収め、名実ともに女子MMA軽量級の最強ファイターであることを証明。
しかし柔道をバックボーンに持つ彼女がMMAの世界に飛び込んだのはそれほど昔ではない。“オープンフィンガーグローブ”は、27歳で初めてつけた。
“殴って倒したい”スイッチを入れる
「柔道選手だったこともあって最初は殴るのが嫌で、試合でもテイクダウンを奪って関節を極めにいくスタイルが主でした。近年はボクシングのパーソナルトレーニングを受けていることもあってかなり打撃が向上しましたね。
グラップリングが長所であることは今も変わりませんが、最近はこのグローブをつけるとスイッチが入り、殴って倒したい気持ちが湧き上がってきます」
RIZINロゴの入ったグリーンのグローブは〈イサミ〉製。伝統ある日本の格闘技専門メーカーゆえの上質な作りに浜崎選手自身も日々助けられているという。
「材質がとても柔らかくて。これほど手に馴染んでくれるグローブは初めてというか、本当にカラダの一部のような感覚。1年近くこれ一つで毎日練習していますね。
人生はわからないものというか、グラップラーだった自分がひょんなことから相手を殴るためのオープンフィンガーグローブを身につけているんですから。もちろん今でも怖さは感じますけれど、この世界でもっともっと高みを目指していきたいです」