「グローブは“ソウルメイト”、小さい頃からずっと一緒です」(プロサッカー選手・ク・ソンユン)
text: Kai Tokuhara photo: Takemi Yabuki illustration: Shinji Abe
初出『Tarzan』No.783・2020年3月12日
Jリーグで今最も成長著しいゴールキーパー(以下GK)といえば北海道コンサドーレ札幌のク・ソンユン選手だ。
195cmの恵まれた体躯を生かした守備にはもともと定評があり、札幌で21歳から正GKを務めるが、徹底したパスサッカーを信条とするミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任した2018年以降は足元の技術やパスワークも飛躍的に向上。
世界のスタンダードとなっている“11人目のフィールドプレーヤー的GK”へと着実に進化を遂げている。
「ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)さんの就任が決まった時は正直自信がなく移籍も考えましたが、彼が信じて起用してくれる中で成長しながら攻撃的スタイルにモデルチェンジできている実感はあります」
そんな彼だが、やはりGKとして最も大切にしているギアはグローブである。
「サッカーを始めた頃からGKになりたかった僕にとってグローブは“ソウルメイト”。小学生の頃にプレミアリーグや韓国代表の選手たちが使っているのを見て憧れて以来、ずっと〈ナイキ〉のグローブを使っているのですが、当時は寝る時も一緒でした。“明日の試合、頼むぞ”って。今は抱いて寝ることはありませんけれど(笑)」
グローブが目立つ=ピンチが多いことになるが、そこも魅せどころと考えている。
「コーチングでコースを塞ぎ、シュートを打たせないGKが本当にいいGK。だからグローブの仕事は少ないに越したことはないのですが、それでもビッグセーブをした試合というのはいつまでも心に残ります」