メッツ(METs)ってなんですか?
日頃のNEATを増やしてコロナ太りのリセットを始めるなら、頼りにしたいのは、メッツ(METs)という単位。
メッツとは、坐って安静にしているときの酸素消費量を基準として、運動(活動)強度がその何倍になるかを示したもの。METsは代謝相当量を意味する「Metabolic Equivalents」の頭文字を並べた略称だ。たとえば2メッツの活動は、坐って安静にしているときの2倍の運動強度がある。
体重とメッツから1時間当たりの消費カロリーが計算できる。この図鑑は男性68㎏、女性57㎏(それぞれ標準的な身長に対する理想体重から2〜3㎏太ったと仮定したもの)で、一般的な継続時間当たりの消費カロリーを計算した。気になる人は公式を使って、自分の体重から正確に割り出してみよう。
上の公式の通り、メッツの利点は、体重から1時間当たりの消費カロリーが簡単に計算できること。15分続けたらその4分の1、20分続けたらその3分の1のカロリーを消費する。
何をどのくらいやれば、何キロカロリー消費できるかがハッキリすると、「痩せるには1日400キロカロリー以上稼ぎたいから、4メッツのNEAT(運動以外で安静時よりも多くのカロリーを消費する活動、詳細はこちらの記事でチェック )を3種類、各々30分頑張ろう!」などとやる気が湧いてくる。
まずは、ケーススタディを参考に、メッツを指標にどれだけのNEATを稼げるのか把握しよう。
ケーススタディ① 31歳男性の場合〜掃除と調理を新ルーティンに。
ランには何度かチャレンジしたが、毎度三日坊主。どうやら長い時間、同じことを続けるのが苦手なようだとわかり、短時間で消費カロリーが稼げる縄跳びにトライ。細切れでもいいから、続きそうな予感。
愛用してきたロボット掃除機をしばし封印し、運動を兼ねて自分で毎日掃除機をかける。その勢いで雑巾掛けまですると部屋がキレイになり、気分もすっきり。
対面で人と接する機会が貴重になった分、身だしなみの大切さを再認識。おざなりだった入浴後のヘアケアにも時間をかける。
料理はほぼしないタイプだったが、時間がある休日に節約とダイエットを両立させる作り置きを開始。食材は自転車で少し離れたオーガニック系スーパーに出かけて買い揃える。
ケーススタディ② 27歳女性の場合〜在宅勤務をアクティブに過ごす。
仕事はデスクワーク主体なので、自粛解除後もテレワークがメイン。通勤しなくなった分、歩数が減ったと感じるから、仕事の合間に近所へ散歩に出かける。
ついでに歩道橋や駅ビルなどの階段を見つけて積極的に上り下り。頭が煮詰まったら、誰もいない公園の遊具でリフレッシュ。
半身浴は長年の習慣。バスルームの掃除は休日に軽く済ませていたが、入浴前の掃除をルーティンにする。入浴後はストレッチ を行い、長時間のデスクワークで凝り固まったカラダを心地よくほぐしてやる。
料理好きでもともと自炊派。さらに巣ごもり期間中にパン作りの面白さに目覚め、1週間分のパンを週末にまとめて作る。ガーデニングやギターといった新しい趣味にも取り組む。
毎日のNEAT、7カテゴリー。
ここからは、誰でも毎日のように行っている歩行、レジャー、掃除、調理、洗濯、ケア、趣味という7カテゴリーから、代表的なNEATとその一般的な所要時間、男女別の消費カロリーを紹介する。これまでやっていなかったNEATを追加でいくつか組み合わせて、活動量アップで減量を達成しよう。
① 歩行
メッツを糧に痩せるなら、まずは歩く機会を増やす。バリエーションが豊富で、すぐに取り組みやすい。
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犬の散歩
愛犬との散歩はのんびりペースだし、ストップ&ゴーも多いので、それほどメッツは稼げない。でも毎日欠かさずに行うことだから痩せやすい。普段より30分くらい多めに歩く。
後ろ向きに速く歩く
公園など安全性が確保できる場所なら、後ろ向きに歩いてみるのもいい。踵で蹴りながら歩くから、鍛えにくい太腿後ろ側のハムストリングスやお尻の大臀筋の強化にも役立つ。
バックパックを背負って歩く
70歳以降に通算3度のエベレスト登頂を成功させた三浦雄一郎さんは、重たいバックパックを背負って歩くヘビーウォーキングで体力作りをした。見習って重めのパックで歩く。
階段を上る
階段の上り下りは下半身の大きな筋肉を使うから、メッツも高め。上りでおもに活躍するのは太腿前側の大腿四頭筋だ。1日計18階分(約300段)を上ると所要時間6分前後。
階段を下る
上りと比べると運動強度は10%ほどダウンするが、下りではお尻の大臀筋や太腿後ろ側のハムストリングスが使われるから、ヒップアップが期待できる。上りと同じだけ下ろう。
ベビーカーを押しながら歩く
おうち時間が長くなると、子どもと触れ合う時間が増える利点がある。ジョギング用のベビーカーもあるが、普通のベビーカーを押しながら歩くだけでも4メッツの運動になる。
坂道を歩く
近所に坂道を見つけたら1日2〜3回上り坂を歩こう。速歩きでなくても平地よりメッツが上がり、体幹と足腰の鍛錬にもなる。上体を軽く前傾させ、歩幅を少し狭めるのがコツ。
仕事の合間に歩く
在宅勤務で坐ってばかりだと煮詰まる。気分転換に1時間に一度は立ち上がってブレイクタイムを設け、立ち上がったついでに1日2〜3回1回15〜20分の散歩に出かけてみる。
② レジャー
休日は巣ごもりせず、好きなことで汗を流す。楽しみながら、消費カロリーも稼げる。
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縄跳び
縄跳びは時速約14kmの高速ランと同じ強度を誇る。ボクサーは1ラウンド3分でトレーニングに取り入れるが、真似するのは無理。1セット20秒を休み休み計15セットやろう。
公園の遊具で遊ぶ
鉄棒や雲梯のように、大人でも使えるストリートアスレチックが公園に設置されていたら、童心に帰ったつもりでチャレンジ。くれぐれも子ども用の遊具を占拠して遊ばないこと。
スケートボードで遊ぶ
移動に使うだけでも結構な運動に。本格的にやるならまずはスクールへ。禁止場所で遊ばず、技に挑むならスケートボードパークを利用。安全のためにヘルメット着用が大原則。
キャッチボールをする
ボールを投げて捕るという動作は、シンプルなようでいて下半身、体幹、上半身をバランス良く駆使する全身運動である。むろん禁止されている場所では決してやらないこと。
自転車に乗る
生活必需品の買い出しやテイクアウトに、あえて遠くのスーパーやお店まで自転車で往復すると、かなりカロリーが消費できる。自転車での移動は、感染予防の観点からも有効だ。
フライングディスクで遊ぶ
《フリスビー》の商品名で知られるフライングディスクは、ワールドゲームズの種目にも採用されているほどポピュラーなもの。広いスペースでディスクを飛ばすと運動量UP。
犬と遊ぶ
立ったままボール投げなどで室内で犬と遊ぶのは、2.8メッツ。外で歩いたり走ったりしながら遊ぶのは4.0メッツ。どうせ遊ぶなら外の方が犬も楽しいし、飼い主も痩せて嬉しい。
子どもと遊ぶ
インドアで坐ってオモチャやゲームで子どもと遊ぶのは2.2メッツだが、公園などで歩いたり、走り回ったりしながら遊ぶのは3.5メッツ。60%も強度が上がり、体脂肪が減る。
③ 掃除
実は家事でもっともハードワーク。メッツも高めで、汚れも贅肉も一網打尽。
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掃除機をかける
ロボット掃除機は便利だが、一方で貴重な運動のチャンスを奪う。掃除のために椅子などの家具を動かしたり、屈んでテーブルやベッドの下をきれいにしたりするといい運動に。
窓掃除
ステイホーム時間が長くなると、それまで気にもかけなかった部分にアラが目立つ。窓もその一つ。窓用ロボット掃除機もちらほら出てきたが、自分の手で毎日ピカピカにする。
浴室や浴槽磨き(きつい労力)
時間に余裕がある日は、多少息が上がるくらいの力を込め、より徹底的に浴室やバスタブの掃除を行う。メッツはサイクリングを上回り、家事でもカロリー消費はトップクラス。
歩道や家のまわりの掃除
時間と心に余裕がある日は、ボランティア精神を発揮して自宅の周囲の歩道などを掃除してみよう。環境がぐっと良くなるし、コミュニティの一員としての義務も果たせる。
洗車およびワックス掛け
坐って行うドライブではメッツは稼げないが、クルマのように大きなものを洗うのにはエネルギーを使う。休日はGSの自動洗車マシンに頼らず、自ら愛車を洗ってワックス掛けを。
浴室や浴槽磨き(ほどほどの労力)
床磨きと同じように四つん這いで行う浴室やバスタブの掃除は、外をウォーキングするのに匹敵するほどの運動強度がある。痩せるまでは日々のバスタイムの前の習わしにしたい。
モップ掛け
フローリングや畳の部屋などの掃除に便利なのが、ウェットシートをつけて使う手軽なモップ掛け。掃除機と雑巾掛けが一度に済ませられるから、忙しい平日でも苦にならない。
雑巾掛け
掃除機をかけたら、仕上げに床を磨く。四つん這いになって、雑巾などで床を磨く動作は股関節の動きを伴い、下半身の大きな筋肉を動員するため、カロリーを消費しやすい。
④ 調理
料理を作るプロセスは頭も使うし、カラダも使う。ハーバード大学の研究では「料理をする人は体重が増えにくく、糖尿病にもなりにくい」とか。男も女も厨房に入り浸ろう。
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パンを作る
コロナ禍で一時期小麦粉が売り切れたという話題がニュースになった。パンを手作りする人が増えたのだ。ハンドメイドで強力粉を捏ねるのには、15分ほどの時間がかかる。
調理
料理を作るプロセスは頭も使うし、カラダも使う。ハーバード大学の研究では「料理をする人は体重が増えにくく、糖尿病にもなりにくい」とか。男も女も厨房に入り浸ろう。
テーブルセッティング
料理の完成が近づいたら、テーブルをセッティングしておく。テーブルを拭いてきれいにしたら、クロスかランチョンマットを敷いて、食器、カトラリー、グラスを並べる。
皿洗い
食事を終えたら、次は食器を片付けて洗い物。食器洗い機に頼らず、手洗いするとメッツが稼げる。立ったままでひたすら食器を洗っていると、案外無心になれてストレスも和らぐ。
⑤ 洗濯
地味でメッツ低めだが、毎日コツコツ続けていると、チリツモで徐々に痩せられる。
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洗濯物を洗濯機に入れる
洗濯板で手洗いしていた頃はかなりの重労働だったはずだが、いまは洗濯機に放り込むだけでOK。せめてポケットの中をチェックし、色柄モノを分けるなどの手間をかけよう。
洗濯物を干す
全自動で乾燥までできるタイプでも、晴れた日はあえて洗濯物をベランダに干そう。洗濯機とベランダの往復でメッツが案外伸びる。太陽と風を受けるようにシワを軽く伸ばして。
洗濯物を片付ける
全自動で洗濯物を折り畳むマシンの事業化を目指したベンチャーは、開発難航で昨年破綻したとか。洗濯物を畳んでクローゼットにしまう作業は、最後まで残る家事労働かも。
アイロンをかける
おうち時間がたっぷりあるからこそ、洗濯物が乾いたら、シャツやハンカチなどは丁寧にアイロン掛けを。アイロンをかけると、善行を積んだような晴れやかな気分になれる。
⑥ ケア
自分自身やパートナーを大事に思いやる姿勢が、コロナ太りリセットの一助に。
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シャワーを浴びて浴槽入浴する
じっと浴槽に入っているだけだとメッツは1.5だが、立ってシャワーを浴びるとメッツは2.0となり、消費カロリーは33%もアップする。合わせ技で無駄な体脂肪を退治する。
立ってヘアスタイルを整える
洗髪後は雑なタオルドライだけで済まさずに、きちんとドライヤーで乾かし、頭皮をケアしてヘアスタイルを軽く整える。すると翌朝慌てなくて済むし、薄毛リスクもダウン。
ストレッチをする
筋肉は温まっている方が伸びやすいから、お風呂上がりはストレッチに最適。首まわり、胸、肩、背中、腰、お尻、太腿、ふくらはぎと主要なパーツをゆっくり気持ちよく伸ばす。
パートナーをマッサージする(立位)
椅子やベッドでリラックスしたパートナーを立ってマッサージする。凝りやすい背中と腰まわりをほぐすのに15分くらいはかかるはず。終わったら攻守を変えてやってもらう。
⑦ 趣味
好きな趣味を見つけて、活動量を増やしながらコロナ禍のストレスも解消。
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ガーデニング
一戸建て+立派な庭がなくても、都会のマンションのベランダでもプランターや鉢を使えばプチガーデニングが楽しめる。しゃがむと股関節の動きを伴うから、運動量は上がる。
果物や野菜を摘む
どうせガーデニングをするなら、趣味と実益を兼ねて果物や野菜を育てて食べてみよう。イチゴ、ラズベリー、サニーレタス、ミニトマト、ラディッシュなどがオススメだ。
坐ってクラシックギターを習う
コロナ禍を奇貨として、「いつかやりたい」と思っていた新たな趣味を始めるのもいい。ギターなどの楽器は教本を使うのが手軽だが、オンラインで本格的に習う手もある。
ダーツをする
ボードと投げ矢(ダーツ)を買えば、自宅でもダーツは楽しめる。プラスチック製のソフトダーツなら安全。約2.4m先の的に命中させるのは難しく、時間が経つのを忘れてしまう。