1日の摂取カロリーの目安を知る|プロ2人に学ぶ「痩せるカロリー管理術」

どれだけ摂取して消費すればいい? 人によって適正なバランスが異なるカロリーについて、管理栄養士の河村玲子さんとトレーナーの澤木一貴さんにじっくり伺いました。今回は「日本人の1日の摂取カロリーの目安」について。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 イラストレーション/德永明子

初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売

教えてくれた人

河村玲子さん と 澤木一貴さん

(左)澤木一貴(さわき・かずたか)/SAWAKI GYM代表。NESTA JAPAN理事。トレーナー活動のほか、メディアで幅広く情報を発信。個々のライフスタイルに基づいた細やかな指導に定評あり。
(右)河村玲子(かわむら・れいこ)/メンタル&フィジカルサポートスーパーバイザー、パーソナル管理栄養士トレーナー。管理栄養士とトレーナーの2軸でダイエットやボディメイクをサポート。

摂取カロリーの目安は活動レベルによって異なる。

河村玲子さん(以下、河) 1日どれくらいエネルギーを摂っていいのかを数値化する唯一の方法がカロリー。私は普段は1,800キロカロリーの摂取量を目安にしています。

澤木一貴さん(以下、澤) 僕は3,000キロカロリーくらいです。

河 3,000! 生活活動強度が最も高い人の摂取エネルギーですね。移動が多かったり、立ち仕事だったり活発な運動習慣を持っている人の場合、それくらいが適正になります。

澤 僕の場合、セミナー中にエクササイズのお手本などでよく動くので、普通の人の参考にはならないかもしれないです。カラダを大きくしたいときは1日4,000キロカロリーくらい摂りますし。たくさん食べてトレーニングをすると、太るのではなくそれなりにカラダのサイズが大きくなります。代謝が高くて食べても太りにくいというのもありますけど。

日本人のほとんどは身体活動レベルが低い?

河 澤木さんのように身体活動レベルが高い人は3,000キロカロリーでも太る心配はありませんが、ほとんどの人の身体活動レベルは“Ⅰ”(下図参照)。30代男性なら1日2,300キロカロリーが適正だと思います。

澤 身体活動レベルが「ふつう」の“Ⅱ”なら1日2,700キロカロリーですけれど。

河 日本人のサラリーマンの場合、ほとんどの人はⅠの「低い」レベルだと思います。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では実際の活動レベルより高く見積もられている傾向があるんです。

推定エネルギー必要量
推定エネルギー必要量(kcal/日)
「日本人の食事摂取基準」(2020年版)より抜粋

澤 河村さんは逆にご自身の活動レベルを低く見積もってますよね。本来ならⅢの「高い」で1日のエネルギー必要量は2,350キロカロリー(30〜40代女性の場合)のはずですから。

河 「日本人の食事摂取基準」は対多数を基準としたときの数値。対個人になると、ひとつの目安なんですよね。適正なエネルギー必要量は体重の増減に表れてくるので各自調整してください、と活用の基本事項に記載されています。

澤 物差しは体重の変化とBMI(体重÷身長の2乗)ですよね。目標BMIより下回っていたらエネルギー不足、上回っていたらエネルギー過剰の可能性がある。

河 当たり前の話ですけど、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太りますし、その逆なら痩せます。現状維持ならイコールの関係。まずはこのことを知っておくことが大事ですね。