「いくつになっても、新しいバッシュに足を入れる瞬間はワクワクする」プロバスケットボール・田中大貴

text: Kai Tokuhara photo: Yoshio Kato illustration: Shinji Abe

初出『Tarzan』No.807・2021年3月25日発売

機能性だけではない。

アスリートにとってギアはプレークオリティに直結する“相棒”であり、何を選ぶかは心身を鍛えるのと同等のタスクである。そんな視点でさまざまな選手の私物を紹介してきた当連載も最終回。ラストは日本バスケ界を牽引するシューティングガード、田中大貴選手のバッシュ愛にフォーカス。

プロバスケットボール選手・田中大
田中大(たなか・だいき)/1991年、長崎県生まれ。Bリーグ・アルバルク東京所属。2016年のリーグ発足から4年連続シーズンベストファイブ、18年にチャンピオンシップMVP、昨季はシーズンMVPに輝く。

「もちろん機能が最優先。僕は最初に足を入れた時の感触が硬すぎず、重さを感じないものを必ず選びます。しかしバッシュである以上、見た目も大事。子供の頃にNBAのトップ選手たちが履くバッシュを見て“自分もあんなふうに上手くなりたい!”と憧れましたし、今でもかっこいいバッシュと出会えるとワクワクしますから」

親友のすすめもあって。

プロバスケットボール選手・田中大
〈ナイキ〉が長く展開しているケビン・デュラントの名を冠したシグネチャーコレクション。その最新作《KD13》は最先端の「ズームエア」ユニットが攻守にアグレッシブなプレーを支える。「このベーシックバージョンの他に、つい最近チームカラーにカスタムしたものも届きました」。

最近はNBA屈指の実力者ケビン・デュラントの最新シグネチャーモデルを常用。

「実はコービー・ブライアントのモデルを長く履いてきました。同じ背番号24ということもあって思い入れが強く、何よりローカットの作りがすごく自分のスタイルにマッチしたので。《KD》を履き始めた理由は、デュラントと高校時代からの親友である伊藤大司選手(滋賀レイクスターズ)から“履きやすいよ”と勧められたから。彼がアルバルク東京のチームメイトだった頃にデュラントの話をいろいろと聞かされたので勝手に親近感も湧いています(笑)」

田中選手は今や日本代表でも欠かせない軸。となれば当然、東京五輪ではそのデュラントとの“直接対決”に期待したくなる。

「あの大舞台でどの色を履くか。想像するだけで、やはり気持ちが高ぶりますよね」