筋肉量を保って痩せるのにビタミンDが欠かせない理由

食事を減らせば痩せる!は大正解だけれど、それだとツラいのも事実。贅肉の浮き輪(=お腹まわりの脂肪)を取るには、普段の食事に栄養・機能をプラスする「足す食事」を取り入れたい。今回は、脱・贅肉浮き輪にビタミンDが効く理由を解説。

取材・文/井上健二 撮影/大嶋千尋 スタイリスト/西森萌 監修・料理作製/河村玲子

初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売

イワシとディルのパスタ
浮き輪ゾーンの贅肉とは?

浮き輪ゾーンの図説

浮き輪ゾーンとは、ヘソと左右の腰骨との間を中心に、腰まわりを贅肉が帯状にグルリと一周する部分(写真上の色で示した部分)。内部には内臓脂肪が溜まり、外側を皮下脂肪が腰まわりを一周するように囲み、溜まった体脂肪が、浮き輪をハメているように見えることから名付けた。

ダイエットというと、これまではカロリーや食事量を減らす「引く食事」が主流だった。でも、カロリーや食事量を減らす食生活は窮屈だし、辛くて長続きしない。

そこで脱・浮き輪のためにぜひ取り入れたいのは、贅肉を落とすために欠かせないものをプラスする「足す食事」(詳しくはこちらの記事:本気で痩せたいなら食事にタンパク質をプラスすべき理由)。

今回は足したい9つの栄養素と機能性成分の中から、ビタミンDを解説。

筋肉量を保つダイエッター必須の成分

そもそもビタミンとは、カラダの機能を保つのにマストなのに、体内で合成できない微量成分のこと。その意味では、ビタミンDは正確にはビタミンではない。太陽を浴びると皮膚で合成できるからだ。

ところが、シミや日焼けを避けるのが嗜みとなった現代人は、日光浴の機会が減り、サンスクリーンを使うのが常識となったため、ビタミンDの体内合成量が激減。食事から摂り入れない限り、多くの人はビタミンD不足に陥っている。

日本人は長らくイワシや鮭といった魚類から多くのビタミンDを摂取してきた。だが、昨今の魚離れにより、ビタミンDが足りない人は少なくない。血中ビタミンD濃度が欠乏レベルの日本人は、80%を超えると指摘する研究もある。

ビタミンDの重要な働きは、骨とカルシウムの代謝のサポート。加えてダイエット関連で見逃せないのが、筋肉量を保つことだ。

従来ビタミンDは骨や腸管、腎臓などで作用すると考えられていたが、実は筋肉にもビタミンDをキャッチする受容体があると判明。ビタミンDは、筋肉を作る必須アミノ酸の3分の1を占めるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)の分解を抑える。

また、筋肉を萎縮させる遺伝子のスイッチをオフにすることも知られている。このためビタミンDが足りないと筋肉量が減り、代謝が落ちて太りやすくなるのだ。

これ以外でも、ビタミンDは体内でホルモンに似た振る舞いをし、免疫力を高めたり、脳を守る抗酸化レベルを調節したりするなど、幅広い役目を担う。近年、ビタミンDの不足は認知症のリスクになるとも考えられている。浮き輪をカットし、免疫力を高め、ボケない脳が欲しいなら、魚類などから摂取しよう。

ビタミンDの1日の摂取推奨量
男性 女性
8.5μg 8.5μg

ビタミンDが摂れる食材例

イワシ
いわし

可食部100g当たりのビタミンD:32.0μg

まいたけ
まいたけ

可食部100g当たりのビタミンD:4.9μg

しらす
しらす

可食部100g当たりのビタミンD:12μg

サーモン
サーモン

可食部100g当たりのビタミンD:28μg