ヨガと気づき|vol.3

メルボルン出身・東京在住の人気イラストレーター、エイドリアン・ホーガンさんは、数年前にヨガを始めて以来、ライフスタイルが少しずつ変わってきたそう。ヨガが与えてくれるささやかな日々の気づきを、毎週コミックエッセイ形式で紹介します。

イラスト・文/エイドリアン・ホーガン

新しいことを始めるときに最も難しいことのひとつは、ファーストステップを辛抱強くやり遂げることです。何が正しいことなのか頭ではわかっていても、まったくできない。アートの趣味が良かったり、素晴らしい音楽が聴き分けられるのに、それを自分でできる才能がまったくないのと同じです。

達成感も表彰もないという意味で、ヨガを継続するのは難しい。10年間のデスクワークとビジネスで長い間放置されていたぼくの筋肉は、セッションのたびに痛む。そして、時には自分の年齢の2倍も離れた人たちが、自分には想像もつかないような優雅さで、難なくポーズをとり、バランスをとっているのを見るたびに、謙虚さを学ぶような気持ちになります。

しかし、セッションを重ねるごとに、少しずつ何かが見えてくる。倒れずにこのポーズをとれるようになるとか、そういう小さなこと。その感覚は、ゴルフのボールをまっすぐ打てたときの感覚や、バスケットボールのスリーポイントシュートを決めたときの感覚に似ていると思う。

そして突然、すべての葛藤と恥ずかしさが、ほんのわずかな達成感に打ち消され、マットに戻る原動力となる。来る日も来る日も。また小さな達成感を感じられるようになり、それがぼくを奮い立たせ、前進し続ける原動力となる。

先生のコメント

私達の生活においては、結果やゴール、達成感をもつことが社会的に良い傾向だとされていますよね。結果やゴール(欲望)、今日の予定(1秒前&後の過去や未来)の事を一旦横に置き、ただただ自分とヨガマットに意識を向けるてみる。ここが大切な第一歩。

ヨガには「八支則」という8つの基本プロセス・行法があります。サンスクリット語で”8本の枝”を意味し、人類がより良く生きるための道しるべをヨガで実修する8段階のことです。

8つうち、1つめは”ヤマ”からです。ヤマとは日常的にしない方が良い事。嘘や人を傷つけることを止め、エゴや欲、執着から離れること。目的や希望をもって、結果や願望はほどほどにという感じでしょうか。結果を求めずマットと自分に向き合えば向き合うほど、沢山の気づきに出会い内部の成長に繋がっていくことでしょう。