ランニングシューズ戦国時代が到来!2人のキーマンが語る現在と未来。

エリートランナーだけに限らず、幅広い層に浸透したランニング。2025年のトピックスを振り返りながら、現在地とちょっと先の未来を解説する(初出『Tarzan』No.912・2025年10月9日発売)。

取材・文/神津文人 撮影/安田光優

初出『Tarzan』No.912・2025年10月9日発売

教えてくれた人

右:寺島俊之(てらしま・としゆき)/日本一シューズを売る販売員。Alpenランニングスペシャリスト。ランニング歴44年、シューズ販売歴33年。月間200〜250kmを走るランナー。

左:大森英一郎(おおもり・えいいちろう)/ラントレンドの仕掛け人。アプリをはじめとしたラン関連事業を展開するスポーツテック企業〈ラントリップ〉代表取締役。元箱根駅伝選手。

走る場所も距離もどんどん自由になる。

大手スポーツ用品店〈Alpen TOKYO〉ランニングスペシャリストの寺島俊之さんと、ランコミュニティアプリを手がける〈ラントリップ〉代表の大森英一郎さん。人生をランに捧げてきた二人に、ランの最新事情、未来をどう描くのか、話してもらった。

大森さん(以下、大森)
盛り上がりといえば、まず思い浮かぶのが、〈Alpen TOKYO〉さんが2025年7月に達成したランニングシューズの販売足数の世界記録ですよね!
Alpen TOKYOがシューズ販売足数で世界記録を達成。

.Alpen TOKYOがシューズ販売足数で世界記録を達成の写真

ランニングフロアのリニューアルに合わせて開催された、世界記録挑戦イベント。1254足を販売し、12時間に売れたランニングシューズの最多個数記録を見事に更新した。

寺島さん(以下、寺島)
ありがとうございます。6月に大森さんがオープンした〈Runtrip BASE YOYOGI PARK〉も今年のニュースの一つですね。弊社と〈オン〉のランイベントを開催した際、ゴール地点に設定させてもらいました。バーカウンターなどがあり走った後の時間も楽しく過ごせる空間になっていて、自然にランナー同士が繫がって交流が生まれそうな場所だなと。
シューズの試し履きもできるランステが代々木公園そばにオープン。

Runtrip BASE YOYOGI PARK〉

〈代々木公園 BE STAGE〉に、クラブハウス型ランナー施設〈Runtrip BASE YOYOGI PARK〉がオープン。シャワーとロッカーを完備。コーヒーやクラフトビールも楽しめる。

大森
コミュニティとご褒美(リワード)は、ランの継続に大きく影響するというデータがあるので、私自身コミュニティ作りは強く意識しています。レースでの記録更新を目指して一緒に練習をするランクラブ以外にも、さまざまな形のランコミュニティが生まれると思っています。広い屋内環境を活かしたイオンモールでグループランをするイベントは、地域住民の健康促進なども目的にした新しいコミュニティの形かもしれません。
ショッピングモール開店前の館内で走れます。

〈イオンモール太田〉とラントリップによるランコミュニティがスタート

群馬県にある〈イオンモール太田〉とラントリップによるランコミュニティがスタート。メンバーになれば、グループで館内を走るイベントに参加できる。

寺島
イベント繫がりで言うと、2026年は全国6都市開催のハーフマラソン大会シリーズ『ジャパンプレミアムハーフ』が始まりましたね。全て走ると「ハーフマイスター」の称号が得られることもあり人気が出そうな気がします。
大森
ハーフマラソンは、フルに比べ気軽に参加できますし、走り終えた後に観光も楽しめて、お得ですよね。ハーフをシングル、フルをダブルと呼んでしまえば、フルマラソンこそがスタンダード、という風潮もなくなるのでは?
寺島
10kmを走る『表参道ウィメンズラン』のように、ハーフ未満の大会を気軽に楽しむ機会がもっと増えるといいなと思っています。

ランニングシューズは戦国時代に突入。

寺島俊之と寺島俊之の対談画像

1.Adidas Adizero EVO SL

タウンユースでも大人気。ランナーの間で話題沸騰のスーパートレーナー。

2.PUMA VELOCITY NITRO 4

幅広いランナーにフィットする次世代ランニングシューズ。

3.NIKE STRUCTURE 26

新感覚のスタビリティモデル。カテゴリーを牽引するシューズに!?

4.On Cloudmonster 2

〈On〉の人気拡大に貢献。スーパートレーナー人気の火付け役でもあった!?

5.New Balance uelCell Rebel v5

優れた反発性でスピード走行もしっかりサポート。洗練されたデザインも魅力。

6.NIKE VAPORFLY 4

《ヴェイパーフライ》はカーボンプレート入りの厚底シューズの原点。

寺島
2017年に〈ナイキ〉が厚底のレーシングシューズで革命を起こし、一強時代もありましたが、現在は群雄割拠時代。各社がランニングに注力していることもあり、カーボンプレート入りのレーシングシューズだけ見てもかなり選択肢が豊富で、ランナーにとっては嬉しい状況と言えそうです。
大森
〈アディダス〉の《アディゼロ エヴォ SL》や、〈ニューバランス〉の《フューエルセル レベル v5》に代表されるような、ジョグから、スピードトレーニングやレースにも対応するスーパートレーナーというカテゴリーも盛り上がっていますよね。
寺島
今を象徴するようなシューズですね。その元祖とも言える〈オン〉の《クラウドモンスター》はよく売れています。
大森
僕は〈プーマ〉のニトロフォームがとても好みなんですが、近年のミッドソール素材の進化も凄いものがあります
寺島
それこそスーパートレーナーが該当しますが、進化のおかげでプレート非搭載でも大きな反発力が得られますし、各社の厚底モデルも非常に軽量。別トレンドでは、ハイクッションモデル人気も続くのでは? 履いた瞬間の気持ちよさ、走ったときの楽しさがわかりやすいんですよね。
大森
最近履いて印象がよかったのが〈ナイキ〉の《ストラクチャー 26》。安定性重視のシューズだと思っていましたが、一昔前に比べ、硬さがなくなっていて快適。
寺島
これにもミッドソール素材の進化が影響していますね。最近のスタビリティシューズは、強いサポート力があるだけでなく、クッション性も備えて、ライド感が心地よくなっています。
大森
ランもシューズも、ますます楽しくなっていきそうですね!
2人によるランニングシューズのトレンド予測。

1.厚底&ハイクッション人気は継続。

高いクッション性と、心地よいバウンス感が得られるハイクッションモデル。ランの楽しさが味わえるシューズは人気継続の気配。

2.上級者向けモデルは細分化。

エリートランナー向けのレーシングシューズも、複数ラインナップが当たり前。走り心地も各社各様。

3.「スーパートレーナー」の選択肢が増える?

スピードが出しやすいうえに、汎用性も高いスーパートレーナー。各社が注力し始めており、シェア争いが激しくなりそうだ。