Profile
伊沢拓司(いざわたくし)/1994年生まれ。高校時代に「全国高等学校クイズ選手権」で史上初の個人2連覇を達成後、2016年に「楽しいから始まる学び」をコンセプトに掲げたWebメディアQuizKnockを設立。同名のYouTubeチャンネルは登録者数が260万人超え、個人でもタレントとして活躍中。
埼玉に住んでいたこともあって浦和レッドダイヤモンズの試合も少しだけ観ていて、田中達也や永井雄一郎(ともに元日本代表FW)が活躍していた2006年にJ1初制覇や天皇杯2連覇をしていたのを覚えています。土曜日の朝は、地方局のテレビ埼玉が放送している浦和レッズの応援番組『REDS TV GGR』を観るのが日課でしたね。
その中で一番を挙げるなら、高校生だった2012〜13年頃にサッカーゲームの『ウイニングイレブン』で遊んでいた時、もともとのクラブロゴがカッコいいチームだし使ってみたところ、強かったというのが大きいですね。当時、両ウィングがアーロン・レノン(世界屈指のスピードで活躍した元イングランド代表MF)とガレス・ベイル(フットボーラー史上最速の最高時速36.9kmも記録した元ウェールズ代表FW)で、ゲームでは足が速ければなんとでもなるので“ゲーム映え”したんです(笑)。それから気になるクラブになったものの、ちゃんと試合をチェックするわけでもなく、ニュースサイトで試合結果を見る程度でした。
彼は、2018/19シーズンの途中に中国のクラブへ移籍してしまうんですが、同シーズンにスパーズはクラブ史上初のCL(ヨーロッパのクラブが出場する国際大会)決勝で負けてしまいました。その後のインタビューで、ともにプレーしたキーラン・トリッピアー(高精度のクロスと豊富な運動量で貢献する元イングランド代表SB)が、「ムサ・デンベレがいれば優勝できたかもしれない」と口にしていたんです。1人だけ名前を挙げられるほどの特異な存在で、あの頃からのサポーターはみんな大好きだったし、僕自身も彼のことをとても誇らしく感じていましたね。

それに、スパーズを応援する人が増えたシーズンでもあったので、今に繋がっていることも含めて印象深いですね。当時、ベスト4の観戦会は30人ほどしか集まらず、なんならスパーズサポーターの観戦会なのにアヤックスのサポーターが居る、みたいな状況だったんですが、決勝は200人ほどで観戦し、「こんなにも日本にスパーズのサポーターがいたんだ」と。それから5年後の2024年、国立競技場で行われた親善試合では4万人がスタジアムを埋めましたからね。
地方の仕事が多いこともあり、札幌や仙台、大阪、神戸など行く各地のサポーターズクラブの方々と一緒に観戦することも楽しんでいます。やっぱり、ホテルでスマートフォンやパソコンの小さい画面で観るよりも、筋金入りの皆さんと一緒に見たいですから。それと、ドイツに有名な日本人のサポーターの方がいて、YouTubeも運営されるほど戦術などに詳しいので、最近Discordを繋げて解説してもらいながら観たりもしましたね。

アウェイとサードのユニフォームはAIAのロゴが赤ではないので着やすく、現地のサポーターもアウェイとサードを重視して着ている感じはありますね。2026/27シーズンを最後に胸スポンサーが変わるので、買い方も着方も変わるかもしれないです。
スパーズは、拠点とするトッテナム地区が相対的に貧しい地域ということもあり、常に地域のフックアップを考えているクラブなんです。このサードは地元のデザイナーと一緒に作り、ボディにはトッテナム地区の地図がプリントされているんですよ。この背景も含めて、CL決勝に進出したシーズンでもあったので特に思い出深いですし、未だにスタジアムで着ているサポーターは多いですね。
今シーズンは、ルーカス・ベリヴァル(2024/25シーズンに18歳で加入した万能型のスウェーデン代表MF)、ジェド・スペンス(攻守の切り替えに定評のあるイングランド代表SB)、ペドロ・ポロに加え、期待を込めて高井幸大選手(今季加入した日本代表CB)。昨シーズンは、ミッキー・ファン・デ・フェン(高身長ながら優れた足元と驚異的なスピードを持つオランダ代表DF)、クリスティアン・ロメロ(アグレッシブな守備の対人戦が売りのアルゼンチン代表CB)、パペ・マタル・サール(豊富な運動量で攻守に貢献するセネガル代表MF)でした。
あと、背番号40以上を1〜2着は買いたいと思っています(注:主力級の選手が小さい数字を背負うため、若手には大きい数字を割り振られることが多い)。「この選手の、このシーズンの、このナンバーを持っていますよ」って。観戦会にいらっしゃる60〜70番代のユニフォームを着ている方々を見るとカッコいいんですよね。

この頃のスパーズは、1990/91シーズンにFAカップ(イングランドで行われる世界最古のカップ戦)で優勝し、ポール・ガスコイン(イングランド史上最も優れた才能の持ち主の一人に挙げられる元同国代表MF)やゲーリー・リネカー(卓越した得点能力とフェアプレーで知られた元イングランド代表FW)、テディ・シェリンガム(知的な万能型として活躍した元イングランド代表FW)、クリンスマンら選手の陣容は揃っていたものの、リーグ戦は1991/92シーズンが15位、1992/93シーズンが8位、1993/94シーズンが15位、1994/95シーズンが7位と、全く結果の出ない時期で。だからこのユニフォームは現地では人気がないらしいんですが、デザイン性が90年代っぽくて良いし、今のピチッとしたシルエットとは異なるダボダボな余裕感が私服として着やすいんですよね。
先日、2人の選手が敗戦後に握手をしようと手を差し出したフランクを無視する事態が発生し、サポーターは全員がドキドキしていましたけど、次の試合でその選手たちが活躍したら会見で、「あのパフォーマンスをしてくれるなら、全然無視してもらっていいけど」とジョークを飛ばして事後処理するなど、選手とのコミュニケーションや会見が上手いですね。全部喋ってしまうジェンナーロ・ガットゥーゾ(時折、選手批判とも捉えられる発言をするイタリア代表監督)の真逆というか(笑)。
そして、アーセナルの優勝を阻止するのが我々のやるべきこと。おそらく全サポーターが心の底から思っていて、CL圏内かアーセナルの優勝阻止するかの2択は、後者を取る人が多いんじゃないですかね(笑)。今季はだいぶ優勝しそうなので、本当に危機感があるんです。他のクラブが倒れていく今、ダービーだけは勝ってなんとしても優勝を阻止せねばと。俺たちしかアーセナルを止められないという覚悟でやります(笑)。
ピッチ上では完全なる未知が起こり、どのチームにも勝って、どのチームにも負ける。経営判断もとても難しい。でも、会社として最低限守るべきラインはあるので、ピッチ上のアップダウンを前提として、それでも応援し続けたいと思えるチーム運営の健全性が、社会人が応援するうえで安心できるクラブだと思っています。
最近の試合も、2-0で勝っているのに足裏タックルの一発レッドで退場者を出し、その後にPKを外すも4-0で勝つという、「これだからスパーズを応援してんだよな」という内容でした(笑)。安定なんていう言葉は、この10年全く見たことがない。ピッチ上のハラハラと経営の安心感、この変な両輪が魅力ですね。
クラブ情報
トッテナム・ホットスパー
創設年:1882年
本拠地:イングランド・ノースロンドン
愛称:スパーズ
1882年にノースロンドン・トッテナム地区にある教会に所属していた学生が、前進となるホットスパーFCを結成。ホットスパーは、同地域を拠点としていた貴族を祖先に持つ騎士の名前から名付けられたと言われており、1884年に地区名も冠した現在のトッテナム・ホットスパーに改称。チームカラーはホワイトのシャツとネイビーのパンツで、1898年から現在まで伝統的に受け継がれている。1901年にクラブ初タイトルとなるFAカップ優勝を果たし、1950/51シーズンに初めてリーグ制覇。その後、国内外で何度かタイトルを制するも、1977-78シーズンには2部に降格するなど長らく冬の時代を迎え、“無冠の強豪”と皮肉られていた。しかし、2024/25シーズンにヨーロッパリーグで優勝し、17年ぶりの主要タイトルを獲得している。









