
教えてくれた人
友岡和彦(ともおか・かずひこ)/1971年生まれ。クリードパフォーマンス取締役・パフォーマンスディレクター。1999年から10シーズン、MLB3球団でストレングス&コンディショニングコーチを務めた。
肩こりの慢性化は、肩甲骨ケアから。
肘や膝といったオープンな関節と異なり、肩甲骨と股関節の存在を意識する機会は少ない。肩甲骨は背中側にあるし、股関節は鼠径部の奥にあり、居場所さえいまいちよくわからないからだ。
手足がスムーズに動かない、肩こりや腰痛が慢性化しているといった自覚があるなら、肩甲骨も股関節も機能不全を起こしている。そこで必要なのは、肩甲骨と股関節のリアルを“見える化”して、それを踏まえた修正エクササイズに取り組むこと。
「肩甲骨が作る肩関節も股関節も、安定性と可動性の両立が大切です。そのうえで負担なく思い通りに動かせるモーターコントロール(運動制御)を身につけることが、エクササイズの大きな目標となります」(パフォーマンスコーチの友岡和彦さん)
肩甲骨と股関節は密接に連携しているから、どちらか一方ではなく両者はセットで改善すべき。まず“見える化”として、続くステップで肩甲骨と股関節の機能を評価する「確認」を行う。肩甲骨も股関節も多様に動くけれど、それぞれ代表的な2つの動きに絞ってチェックしてみたい。
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『日常動作が軽くなる!股関節を目覚めさせる4ステップ。』
その結果に応じて「緩める」→「広げる」→「動かす」→「まとめる」という4ステップのエクササイズを実施し、段階的に肩甲骨と股関節を整えていく。すべてこなしたら、全身をひとつにするための「統合」にもトライしよう。
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『“共同作業”で滑らかな動きに。肩甲骨&股関節の統合エクササイズ。』
7日間のプログラム
| DAY | 種目 |
| 1 | 肩甲骨 |
| 2 | オフ |
| 3 | 股関節 |
| 4 | オフ |
| 5 | 肩甲骨 |
| 6 | オフ |
| 7 | 股関節 |
まずは肩甲骨、股関節を交互に1日1テーマで順番に行う。3週間ほど続けたら「かくにん」に戻り、動きが改善していることを確認してみよう。その後、別々で整えた肩甲骨と股関節をつなげていく「統合」のエクササイズに取り組む。
ステップ0. 肩甲骨の状態を確認する。
エクササイズを始める前に、肩甲骨の現状を把握するために「かくにん」を行い、何に重点を置くかをはっきりさせる。そして4タイプに分け、それぞれやるべきプログラムを明確化する。
チェック1.外旋
NG
チェック2.屈曲
NG
あなたにピッタリなメニューはこれだ!

ステップ1. 肩甲骨を緩める。
本来なら自由自在な肩甲骨の動きを邪魔している筋肉がある。それをテニスボールと自体重を用いて「緩める」。
骨と関節まわりの筋肉のテンション(筋トーン)を揃えることで、これから行うエクササイズに取り組みやすくなり、効果も一層アップする。
筋肉マップ

【小胸筋】
肩と大胸筋の膨らみの間で、硬さを感じるところを重点的にほぐす。
【菱形筋】
肩甲骨と背骨の間で、硬さを感じるところを重点的にほぐす。
【広背筋】
肩甲骨と肋骨の間で、硬さを感じるところを重点的にほぐす。
【 for A・B・C】硬くなると猫背を促しやすい筋肉を緩める。
広背筋リリース1(左右各30秒)

ボールに体重をしっかりかけ続ける。
- 右側を下にして床で横になり、広背筋にボールを当てる。右腕を床でまっすぐ伸ばし、手のひらを床につける。左手をお腹の前について姿勢を安定。両膝を軽く曲げ、左脚を軽く引く。頭は背骨の延長線上に保つ。
- 体重をかけたまま、左手でコントロールしてボールを前後に軽く動かす。左右を変えて同様に行う。
広背筋リリース2(左右各30秒)

腕の重みと動きを使ってリリースする。
- 上体を軽く起こし、左手を胸の前でつく。頭の先に伸ばした右腕の手のひらを天井に向ける。
- 右腕を軽く床から浮かせ、できるだけ大きな半円を描くようにお腹の前まで動かし、元に戻す。左右を変えて同様に行う。
【for A・B・C】肩甲骨を引き寄せる筋肉を復活させる。
菱形筋リリース1(左右各30秒)

お尻を浮かせると体重がかけやすくなる。
- 床で仰向けになり、右側の菱形筋にボールを当てる。両膝を腰幅で曲げて立て、両腕を肩のラインで左右に伸ばし、手のひらを床に向ける。
- お尻を浮かせてボールに体重をかける。両足でコントロールしてボールを前後に動かす。左右を変えて同様に行う。
菱形筋リリース2(左右各30秒)

肩甲骨を動かしながらリリースする。
- 右腕の手のひらを天井に向ける。お尻を浮かせてボールに体重をかける。
- 右腕を軽く床から浮かせ、できるだけ大きな半円を描くように頭の先まで動かし、元に戻す。左右を変えて同様に行う。
【for A・B・C】肩を前へ引っ張っている筋肉をオフに。
小胸筋リリース1(左右各30秒)

背中を丸めず、胸を少し張ったままで行う。
- 床でうつ伏せになり、ボールを小胸筋に当てる。左腕を肩のラインでまっすぐ横に伸ばし、手のひらを床に向ける。右肘を曲げ、右手のひらを床につく。両脚を腰幅でまっすぐ伸ばす。
- 体重をかけたまま、右手でコントロールしてボールを左右に動かす。左右を変えて同様に行う。
小胸筋リリース2(左右各30秒)

体重をかけたまま、肩甲骨を動かす。
- 左腕を斜め前方へまっすぐ伸ばす。手のひらを床につける。
- ボールに体重をかけたまま、できるだけ大きな孤を描くように左腕を体側まで動かし、元に戻る。左右を変えて同様に行う。
ステップ2.肩甲骨を広げる。
筋肉の可動域を「ひろげる」。通常のストレッチの大半は受け身(受動的)だが、ここでは自らの意思で主体的に機能的に動ける範囲を広げていく。そのために筋肉をあえて緊張させることで、反対の働きをする筋肉を弛緩させる「相反抑制」をおもに用いる。
【for A・C】背中の筋肉を緊張させ、猫背を促す胸の筋肉を緩める。
Tヒップロール(5秒キープ+8秒リラックス×左右交互に2セット)
NG
【for B・C】胸の筋肉を緩めて、肩甲骨を動きやすくする。
スパインフロアスライド(5秒キープ+8秒リラックス×2セット)
NG

胸椎が硬くて動かないため、腰を反らせて腕を伸ばそうとしている。
【for B・C】固まりやすい胸郭の可動域を広げていく。
ハーフニーリング・ソラシックエクステンション(5秒キープ+8秒リラックス×2セット)
NG

胸椎が動かせないため、腰を反らせてお尻を下ろしている。
ステップ3. 肩甲骨を動かす。
広げた可動域をフルレンジで使い、肩甲骨を思い通りに「うごかす」ように整える。骨と筋肉を安定させておいて、多くの筋肉を協調させながら肩甲骨を制御して動かす「モーターコントロール」の能力を高める。
【for B・C】肩甲骨を安定させる前鋸筋を刺激する。
エルボープッシュアップ(3秒キープ×12回×2セット)

キープしている間、呼吸を止めない。手ではなく肘で床を強くプッシュする。
- 床でうつ伏せになり、両肘を肩の真下について上体を軽く起こす。両脚を腰幅で伸ばして爪先を立てる。肩を下げて首を長く保ち、目線を床に向ける。
- 肘で床を押して股関節から頭までを一直線に保って呼吸をしながら3秒(3カウント)ホールド。元に戻る。
NG
【for A・C】胸を反らせて肩甲骨から腕を動かす。
コブラ(5秒キープ×2セット)
NG
【for A・C】手でサポートしながら胸郭をツイスト。
リブグラブ(8回×2セット)
NG
ステップ4. 肩甲骨をまとめる。
最終的な狙いは、肩甲骨を上手に操り、日常動作や運動のパフォーマンスを上げること。ステップ3が肩甲骨というローカルなモーターコントロールなら、グローバル(全身)なモーターコントロール術を学ぶ。
側面(ラテラルライン)の機能を高める。
ラテラルステップ&アームリーチ(左右交互に各8回×2セット)
NG

胸(胸椎)がきちんと張れていないため、上体が真横ではなく前方へ倒れる。
らせん面(スパイラルライン)の機能を高める。
ラテラルステップ&ローテーショナルリーチ(左右交互に各6回×2セット)
NG

両肩が正面から見えて腕だけの動きになっている。
前面(フロントライン)の機能を高める。
フォワードステップ&アームリーチ(左右交互に各6回×2セット)
NG

膝が爪先より前に出ている。胸を反らさず、腕だけの動きになっている。











お腹から力が抜けて腰が反っている。






















