不揃いのフロランタンをかじりながら、吉田昌平さんに予定調和の先にあるデザインを教えてもらう。|麻生要一郎のテーブル・トーク

料理家・麻生要一郎さんは、人を招いてテーブルを囲むのが大好き。気心知れた友人から、会ってみたかったあの人まで。「テーブル・トーク」ではさまざまなゲストを招いて手料理を楽しむ時間を音声と写真でドキュメントします。第9回は、アートディレクター・デザイナーの吉田昌平さんをお招きしました。

取材・文/平岩壮悟 撮影/表萌々花 ポッドキャスト録音・編集/浜本壮大 

ここは料理家・麻生要一郎さんの自宅。悩める若者から酸いも甘いも知るアーティストの先輩、旧知の仲から初めましての人まで、夜な夜な一癖も二癖もある人たちが円卓を囲み、麻生さんの手料理をほおばりながら日々のあれこれを語り合います。

この日、麻生さんが自宅に招いたのは、デザイン事務所「白い立体」を主宰し、書籍、雑誌、図録など多岐にわたるブックデザインを手がけるアートディレクターでデザイナーの吉田昌平さん。最新刊の『酸いも、甘いも。あの人がいた食卓 1977-2025』をはじめ麻生さんの著作の装丁を頻繁に手がける出版上のコラボレーターです。

テーブルゲスト

吉田昌平(よしだ・しょうへい)/アートディレクター・デザイナー。広島県生まれ。デザイン事務所「株式会社ナカムラグラフ」を経て、デザイン事務所「白い立体」設立。

吉田さんから麻生さんへ。料理のリクエスト

要一郎さんへ

どうも。お手紙のようなことは初めてですね。

出会ってもう何年でしょうか。たくさんのお話を聞いてもらい、たくさんのお弁当を作ってくれて、たくさんの食卓を囲んでこれたことが、僕はとても幸せもの。要一郎さんいつもありがとう。

この間、要一郎さんが作ったとは知らずにクッキーを食べたことを覚えてますか? あまりに美味しくて、「どこで売ってるんですか?」と要一郎さんに尋ねてしまいました。

その出来事があって以来、僕は要一郎さんは、お菓子作りがむいてるのでは? と密かに思っておりました。なので、僕のリクエストは、大好物の『フロランタン』を食べてみたい!

こんなわがままなお願いですが、どうぞよろしくお願いいたします。

では楽しみにしておりますね。

吉田昌平

予定調和の先にあるデザインから、麻生さんの著作のブックデザインにまつわる裏話、「白い立体」という屋号の由来まで。不揃いのフロランタンをかじりながら交わさせた吉田さんと麻生さんの「テーブル・トーク」の模様はこちらから。

吉田さんが麻生家に導入した、投げ銭用の貯金箱。ご馳走になるたび数百円投入する。ただし古いノベルティのため500円玉は入らないのだとか。

チェリークッキー、生ハム、新たまねぎのポタージュがフロランタンのぐるりを彩る。

コラージュ作家としても活躍する吉田さん。展示会場に麻生さんが遊びに行ったのがふたりの出会いだった。

吉田さんデザインによる麻生さんの名刺。緑は「初めて会ったときの印象」から採用したという。

カバーを剥ぐと、麻生さんが満面の笑みで読者を迎える仕様。

焼き立てのフロランタンと、前日の晩に試作されたフロランタンが皿の上で合流。「でも昨日と今日で大きさが全然違うね」と麻生さんが笑う。

「装丁でも名刺でも麻生さんは”何でもいいよ”って言うから、逆に緊張感がある」と吉田さん。お腹が膨れても、装丁談義は終わらない。

吉田君へ

テーブルトークへのご出演、ありがとうございました。

ほぼほぼぶっつけ本番で焼いたフロランタンは、ご満足頂けたでしょうか? 思いがけないリクエストをしてくるのは流石です。

苗字が変わって、新たな人生を歩み始めた時、コラージュ作品の展示会場で吉田君に出会い、ビビビッときて、名刺のデザインを依頼して、その名刺を片手に駆け抜けた現在地。

本を3冊、様々な雑誌のページ、京都文化博物館で取り組んだSyn01。僕の歩みには、いつも吉田君の視点とデザインと共にありました。

事務所に届けていたお弁当、誰かの誕生日パーティー、普段の食卓。

僕がこのマンションに引っ越してくるきっかけになって、しばらく暮らした2階の部屋は、現在コラージュ作品のアトリエとして、引き継いでもらえたこともとても嬉しいです。

これからも、仕事や暮らしを含め、人生丸ごと一緒に歩んで行けたら良いなと思っています。

僕の葬式の時には吉田君がデザインした本がたくさん積み重なるように、僕も精進します(でも色々上手くいかない時には、一緒にフロランタン屋さんをやりましょう)。

麻生要一郎

本日の一品:フロランタンのつくりかた

―材料(4人分)―

サブレ生地
・無塩バター 115g
・グラニュー糖 60g
・塩 1g
・全卵 25g
・薄力粉 175g
・ベーキングパウダー 1.5g

キャラメルアーモンド
・グラニュー糖 65g
・水あめ 20g
・蜂蜜 12g
・生クリーム 45g
・無塩バター 10g
・生アーモンドスライス 65g

手順

1.サブレ生地のバターと卵は常温に戻して、オーブンは180℃に余熱。ボールに柔らかくなったバターを入れて、砂糖と塩を加えて混ぜ合わせる。2回に分けて卵を加えながらよく混ぜ、薄力粉とベーキングパウダーをふるい、2回に分けてボールに入れて混ぜる。

2.1をオーブンシートに広げて、ラップなどで覆い、めん棒で5mm位の厚さに伸ばして、冷蔵庫に入れて1時間おき、冷やし固める。ラップを外して天板にのせたら、フォークで適当に穴をあけていく。180℃のオーブンでサブレ生地を空焼き、15分焼く。

3.オーブンで焼いている間に、鍋に砂糖、水あめ、蜂蜜、生クリーム、バターを入れて、弱火で加熱しながらよく混ぜる。絶えず混ぜ続けてふつふつして(120℃位のイメージ)、色づいてきたら一歩手前で火を止める。

4.(余熱で加熱が進むので)焼けたサブレ生地に、全体に広げて180℃のオーブンで15分焼いたら、取り出して粗熱をとって、カットしたら完成。

ポッドキャスト出演

麻生要一郎
坂本美雨
井手裕介(Tarzan Webプロデューサー)
平岩壮悟(Tarzan Webライター)

ポッドキャストスタッフ

ジングル・BGM:田中堅大
編集:浜本壮大