教えてくれた人
AYA(アヤ)/1984年、兵庫県生まれ。体育系大学を卒業後、フィットネス業界に飛び込み、多方面に活躍。2022年、虎ノ門に自身のプロデュースするジム〈Feelin’Good〉をオープン。
古屋武範(ふるや・たけのり)/1962年、山梨県生まれ。早稲田大学卒業後からスポーツビジネスの道へ。フィットネス業界唯一の経営情報誌『フィットネスビジネス』を隔月で発行する。
吉山一利(よしやま・かずとし)/1971年、神奈川県生まれ。競技エアロ全日本大会優勝の実績を持ち、現在は〈ゴールドジム〉にてエリアマネージャー、スタジオディレクターとして活動する。
フィットネスのトレンドは、コロナ禍で変化した。
長い時間をかけてカラダに程よい負荷をかけ続ける有酸素トレ。ランニングのイメージがもちろん強いが、それ以外にも実はたくさんの選択肢があって、時代によっても変化しているという。最新のトレンドを探るべく、3人のエキスパートが集結。自身もカラダを鍛えるトレーナーのAYAさん、フィットネス業界をあまねく知る古屋さん、そして〈ゴールドジム〉で働く吉山さんだ。
—最初に「有酸素トレ」のトレンドや昨今の変化について、皆さんの考えをお聞かせください。
古屋
前提として、コロナ禍の前後でトレンドが変わってきているように思います。コロナ禍より前を思い返すと、グループ形式のレッスンはもちろん、それをエンタメに昇華させたようなイベントが流行っていました。それが一気に「ソーシャルディスタンス」「密を避ける」となったわけです。人と人との距離が保てるピラティスやヨガといった類いが増えてきたのも、その頃からではないでしょうか。
吉山
確かに私の勤務するジムでも、マシンとマシンの間にパーテーションが置かれたり、使用したら消毒する文化が浸透したり。フィットネスにおける「安心・安全」の考え方というのが大きく変わった印象です。
AYA
ポストコロナの動きについては、私も同じように感じます。それにもう一つトレンドを付け加えるなら、「筋力トレーニング+有酸素運動」のようなミックスしたスタイルが徐々に支持を得られるようになってきました。ランニングとワークアウトを組み合わせた「HYROX(ハイロックス)」が広まってきたことにも象徴されるかもしれません。
—確かにサーキット型やレース形式のイベントも増えているように感じます。
AYA
それに伴って、自分を見せる場・評価してもらえる場が増えていることは、すごく良い傾向だと私は感じています。
吉山
仰る通りですね。私たちゴールドジムでは『マッスルゲート』というボディコンテストの大会を主催しているのですが、ビギナーの方々の出場が年々増えてきました。従来のボディビル大会はガチガチにカラダを鍛えている人ばかりだったのですが、現在はマッスルゲートのように入門者向けの部門が一番人気です。
—少し視点を変えて、トレーニングを指導する立場としての変化は何かありますか?
吉山
指導者としての教えやすさは、プレコリオという概念が出てきて大きく変わりました。私は30年前からエアロビクスのインストラクターをしていますが、当時はレッスンを組み立てるのが本当に大変でした。それが今はプレコリオというあらかじめ決まった振り付けのプログラムができて、習得すればレッスンができる仕組みが整っています。
古屋
吉山さんの話に少し付け加えると、参加する側にとっても、プレコリオのように運動を続ける・通い続けるための仕組み作りがこれからも求められるように思います。3大プレコリオが広まったことで、全国どこでも同じ内容のレッスンが受講できて、みんなと一緒に少しずつ習得していけるわけですよね。これってライフイベントが重なりやすい世代にとっても、大きなメリットだと思います。
主な有酸素トレの歴史。
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1970年
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ジョギングブーム
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1980年
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エアロビ人気が高まった第1次グループレッスンブーム
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1990年
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トレッドミル、バイクマシン、ステップ台など、家庭用マシンの普及が進む
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2000年
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市民マラソンブーム
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2010年
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クロスフィット、HIITトレが広がり、暗闇フィットネスなどのエンタメ化も進む
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2020年
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有酸素とさまざまなフィットネスを組み合わせた多様化の時代へ
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かつてアメリカから始まったジョギングブーム。日本ではフィットネスクラブが次々に誕生すると、やがて家庭用マシンも広まった。東京マラソンを機に、「走る」文化は再びブームに。近年はマシンやスタジオ環境も多様化し、さまざまな有酸素トレが頭角を現している。
質の高いトレーニングと“続けやすさ”を支えるもの。
—トレーニングのサポート役として、ウェアラブル機器が普及している点についてはいかがでしょうか?
AYA
私のジムでは、入会された方全員に運動記録を数値化できるスマートウォッチをお渡ししています。レッスンの受講中も身に着けていただくことで、どれくらい心拍が上がって、どれくらい努力しているかが数値化されるんです。本人にとってこれが自分を追い込む指標になるのはもちろん、指導をする側にとっても、より適切な声掛けができるように。それにジム以外での活動もきちんと残りますから、ライフスタイルにトレーニングが溶け込む状態が作れる。私としては運動することが当たり前の文化になってほしいとずっと思っているので、こうしたデバイスには可能性を感じています。
古屋
今のAYAさんの話で言うと、生活の延長にカラダを動かすことだったり、トレーニングをすることだったりがあって、それが“ロンジェビティ”、いわゆる“健康長寿”に繫がる、といった考え方にますます重きが置かれるんじゃないかと思います。もちろん一時的な追い込みだったり流行りものに乗っかったりもいいのですが、もっと中長期的な視点ですよね。
—フィットネスに限らず“時短志向”“タイパ”といった言葉をよく耳にしますが、これについてはいかがでしょうか?
AYA
時短志向の流れは大きいですね。今はレッスンを組むうえでも、1時間以内で全てが完結するように心掛けています。一日の時間は当然限られていますし、その中でフィットネスの優先順位が必ずしも高くないからこそ、短くて効果が出やすいものというのは今後も求められていくはずです。
吉山
昔に比べて短いレッスンプログラムが増えたのは、まさしく“時短”の象徴かなと思います。このあたりの傾向は、“単・多・短”と呼べるでしょう。“単”は1つのプログラムの中に1つの要素しかない、ストレッチだけ、とか有酸素だけ、とか。そして“多”は多様化、“短”は短い時間です。
有酸素トレの未来予想と続けるための“キモ”。
—最後に、今後のトレンドについても予測をお願いできますか?
AYA
ジムを運営する側の課題でもあるのですが、ジムを出た後も運動する、ジム以外でも自分のカラダに興味を向けられるきっかけがすごく大事。先ほど触れたスマートウォッチ以外にも、日常的に自分のカラダと向き合える環境がますます整ったらいいなと思います。
古屋
一般的に新しいことを始めるうえで障害になり得るのって、スキル・マネー・アクセス・タイムの4つだと思うのですが、そのハードルを越えられるサービスがきちんとお勧めされていくといいなと思います。ウェアラブルデバイスだって、もっと相棒のような存在として活用できるはず。各々に合った励ましやアドバイスをくれる「パートナートレーナー」としての役回りを期待したいです。
吉山
私は“コミュニティ”の存在が今後も求められていくのではないかなと思います。実はこれってグループで参加するものだけに限らず、一人で挑戦するものにも見られるんです。『マッスルゲート』や「HYROX」でも、一緒の舞台に立った者同士が終わったらハイタッチしたり、みんなで写真を撮ったり。スタジオプログラムも、集まった人たちとの一体感が長く支持されている秘訣のように感じます。
古屋
今は本当にいろいろな有酸素トレがありますよね。その中から自分に合ったもの、無理なく長く付き合えるものが見つかるといいですね。
あなたの性格や志向から導く、自分に合う有酸素トレ診断。

なんとなく動くより、自分がやる気になる“燃えどころ”に合った有酸素トレを選んだほうが、長続きするし、楽しい。
そんな発想から生まれたのが、この「有酸素トレ診断チャート」。直感でYES/NOをたどって、自分が時短・コミュニティ・競技・エンタメのどこ寄りかをまずは知ろう。結果が意外でも、それが新しいスタートになる。