短時間でしっかり効く。時短自宅トレを入江陵介さんが実演!
入江陵介さんが実演するのは、週2〜3回・1種目1セットで効かせるシングルセットトレ。追い込まず、つらくなったら軽くする“ダウンシフト”で、短時間でもしっかり効く自宅トレを提案。
text: Kenji Inoue photo: Yuki Oe styling: Yutaka Aoki exercise supervisor: Takuya Shirato
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Profile
入江陵介(いりえ・りょうすけ)/イトマン特別コーチ。0歳から水泳を始め、中学時に背泳ぎ一本に絞る。4大会連続五輪日本代表で、ロンドン五輪では男子200m背泳ぎで銀、同100mで銅など3個のメダルを獲得。2024年現役引退。
競泳を引退、その後のカラダづくり。
現役時代「世界一美しい泳ぎ」と称された入江陵介さん。フォームが美しい人は、だいたいカラダも美しい。引退後、その輪郭はもう一段濃くなった。ボリュームがひと回り増え、筋肉の線がくっきりしている。支えているのは、週3回のペースで行っているウェイトトレーニングだ。
「水泳でカラダを作ってきたのに、引退した途端ダランとしたら残念すぎるじゃないですか。水泳教室などで脱ぐ機会もあるから、鍛えておこうと筋トレを始めたらハマりました(笑)。PPL法で胸・三頭(上腕外側の上腕三頭筋)、背中・二頭(上腕内側の上腕二頭筋)、脚・肩と3分割して鍛えています。脚はもう少し太くしたいですね。もともとスイマーは脚が細いものですから」
ちなみにPPL法とは、プッシュ(押す)、プル(引く)、レッグ(脚)の3大カテゴリーに分類して鍛えるメソッド。そんな言葉がサラリと出てくるあたり、ウェイトへの真剣度が伝わる。
筋トレが続くもうひとつの理由は心にもポジティブだから。
「しんどいときもありますが、終わった後はすっきりして達成感もある。そしてトレーニングは、それ以外何も考えずに頭を空っぽにできる貴重な時間。僕自身はいまとくに悩みがあるわけではないのですが、筋トレによる身体的なストレスは精神的なストレスを上回るから、筋トレをするとメンタル面の悩みを忘れられるという話を聞いたこともあります」

普段はジムでウェイト。けれど今回は、自宅トレを想定した自体重トレを体験してもらった。そこで見えてきたのは、家トレならではの利点……“裸足”だ。
「自体重は裸足で筋トレできるのがいい。選手時代も、プールサイドで行う補強トレは裸足だった。裸足だと体重の乗せ方の左右差などもはっきり自覚できるから、体型や筋力の偏りの修正につながる。ジムは裸足NGですからね」
もうひとつ、意外な習慣もある。それは、週1回くらい家の周りを軽く走ること。
「水泳選手は基本走らないので、引退したら新たな挑戦としてフルマラソンに出るのが一つの目標だった。24年のホノルルで初フルを体験しました。記録は5時間2分。蒸し暑くて苦しみましたが、ゴールしたときの充実感は久しぶりに味わうものだった。日本ではまだハーフまでしか出ていないので、気候条件のいい時期に日本でもフルに挑んでみたいですね」
ジムでも、家でも、外でのランも。共通しているのは「続く形」と「次の目標」。目的がはっきりしている人は、強い。
シングルセット法は、週2〜3回、1セットだけ。つらくなったら軽くする。
短いのに効く、だからまたやりたくなる。
シングルセット法は週2〜3回。通常は各種目3セットほど行う筋トレを1セット(シングルセット)のみで済ませる。加えて同じセット内で負荷を下げていくダウンシフト法も導入。追い込む必要がないから、気分よくトレーニングが終えられる。ノーマルフォームで始め、8回前後でつらくなったら、負荷を落としたライトフォームに切り替え、12回でフィニッシュする。
実演してくれたのは、競泳オリンピックメダリストの入江陵介さん。現役引退後はジムでの筋トレにハマっているという彼も「自体重を使って自宅で鍛える魅力に触れた」と語る。世界を知る経験豊富なメダリストは果たしてどこに心を動かされたのか?
Protocol
- 1セッション4種目以上の筋トレを1セットのみ行う。週2〜3回。
- 8回前後までノーマルで行い、つらくなったらライトに切り替えて12回。
【ノーマルフォーム】スケータースクワット
ターゲット:太腿前側(大腿四頭筋)、太腿後ろ側(ハムストリングス)、お尻(大臀筋)
- 椅子の背もたれに両手を添えて、腰幅でまっすぐ立つ。右膝を曲げて右足を浮かせ、左脚の膝を軽く緩める。右膝・股関節・肩が一直線になるのが正解。肩甲骨を寄せて背すじを伸ばす。
- 上体の姿勢を保ち、左脚の膝が90度曲がるまでゆっくりしゃがみ(膝は爪先の真上)、踵で床を押して戻る。
【ライトフォーム】バックステップランジ
- 両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。両手を腰に添える。肩甲骨を寄せて背すじを伸ばし、両膝を軽く緩める。
- 上体の姿勢を保ち、右足を1歩真後ろに引き、前後の膝が90度曲がるまでゆっくりしゃがみ(左脚の脛は床と直角)、右足を蹴って戻る。以上、左右を変えて同様に行う。
【ノーマルフォーム】シングルレッグスティッフレッグ デッドリフト&リーチ
ターゲット:太腿前側(大腿四頭筋)、太腿後ろ側(ハムストリングス)、お尻(大臀筋)
- 両足を揃えてまっすぐ立ち、右膝を曲げて右足を浮かせる。両腕を体側で下げ、手のひらを向かい合わせる。肩甲骨を寄せて背すじを伸ばす。
- 右脚を後ろにまっすぐ伸ばしながら、へそを床に向けるように股関節から深く前傾。両腕を床と平行に伸ばし、戻る。上体の姿勢を崩さない。
【ライトフォーム】シングルレッグスティッフレッグデッドリフト(トップハーフ)
- 先ほどと同じように立ち、手のひらを後ろに向ける。
- 右脚を後ろにまっすぐ伸ばしながら、手の指先を床へ伸ばすように股関節から上体を45度ほど前傾し、元に戻る。上体の姿勢を崩さない。以上、左右を変えて同様に行う。
【ノーマルフォーム】エアプルダウン
ターゲット:背中(広背筋、僧帽筋、菱形筋)
- 床でうつ伏せになり、両脚を揃えてまっすぐ伸ばす。両腕をまっすぐ前に伸ばして手のひらを床に向け、胸を反らせる。前腕を床と平行にする。
- 胸を反らしたまま、肘を鎖骨のラインまで引き、元に戻す。前腕はつねに床と平行に動かす。
【ライトフォーム】スーパーマン
- 両腕でY字を作るようにまっすぐ前に伸ばし、手のひらを向かい合わせる。両腕を床と平行に浮かせる。
- 肩甲骨を寄せて胸を反らし、両腕をさらに引き上げ、ゆっくり元に戻る。
【ノーマルフォーム】ワンレッグプッシュアップ
ターゲット:胸(大胸筋)
- 両手を床についてうつ伏せになる。両手を肩の真下にまっすぐつき、両脚を肩幅でまっすぐ伸ばす。右脚を床と平行に浮かせて爪先を伸ばし、左足首を直角に曲げる。顎を引いて目線を真下に向ける。体幹を一枚板状にキープ。
- 肘を曲げて胸を床すれすれまでゆっくり近づけ、両手で床を押して戻る。
【ライトフォーム】プッシュアップ
- 次は両足を床につけて普通のプッシュアップ。両足首は90度曲げる。
- 肘を曲げて胸を床すれすれまでゆっくり近づけ、両手で床を押して戻る。
【ノーマルフォーム】アップライトロウ
ターゲット:肩(三角筋)
- 両腕を下ろし、肘を軽く曲げ、ボトルを股関節の前で床と平行に構える。
- 肘を天井へ向けて引き上げながら、ボトルをみぞおちの高さまで上げ、ゆっくり元に戻す。ボトルの落下に注意。
【ライトフォーム】ショルダープレス
- 両手にペットボトルを持ち、両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。肘を伸ばしてボトルを肩の真上で構える。
- 肘を曲げ、前腕を床と直角に保ち、ボトルを耳と肩の間までゆっくり戻し、押し上げる。前腕を常に床と垂直に保つ。ボトルの落下に注意。
【ノーマルフォーム】ペルビックリフト
ターゲット:腹(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)

- 仰向けになり、両脚を揃えてまっすぐ伸ばし、床から浮かせる。膝を軽く曲げる。両腕は体側で「ハ」の字に開き、手のひらを床に向ける。
- 骨盤が床から浮くまで両脚を高く上げ、ゆっくりブレーキをかけながら戻る。
【ライトフォーム】ベントニーレッグレイズ
- 次は両膝を90度曲げて床から浮かせる。
- 膝が股関節の真上に来るまでお尻を上げ、ゆっくりブレーキをかけながら戻る。
『Tarzan』No.924「絶対に続けられる自宅トレーニング。」では、今回ご紹介したシングルセット法のほか、短時間の筋トレを1日2回以上行う「スナッキング」や、週末に集中して取り組む「ウィークエンドウォリアー」など、ライフスタイルに応じた自宅トレの戦略をご提案。






















