稲本潤一の「太らない焼肉術」を、管理栄養士が検証。
3度のW杯を戦い、引退後も現役時代とほぼ変わらぬ体型を維持する稲本潤一さん。その秘訣は、無理な制限ではなく食べ方の工夫にあった。焼肉を楽しみながらも太りにくい、アスリート流の食事術を管理栄養士・エダジュンさんの解説とともに紹介する。
text: Soh Kuroda photo: Hiroshi Nakamura styling: Daisuke Kamii (demdem inc.) hair & make-up: Taichi Yoneo (untitled.)
『Tarzan』No.923 on sale April 9, 2026.

Profile
稲本潤一(いなもと・じゅんいち)/1979年生まれ。181cm、78kg。97年に当時史上最年少でJ1出場。3大会連続W杯出場。海外でも9年半プレーするなど活躍し、2024年に現役引退。今年から川崎フロンターレのFROに就任。
エダジュン/料理研究家、管理栄養士。フードスペシャリスト等の資格を保持。料理教室や社食プロデュースメディア出演など多方面で活躍。5月1日には著書『たんぱく質たっぷりやせつまみ100』を主婦と生活社より上梓。
現役時代と変わらない体型。稲本潤一さんの食事術とは。

現役時代は日本代表として3度W杯に出場し、2002年の日韓大会では2得点を挙げ日本代表を初のベスト16に導いた稲本潤一さん。2年前に現役を引退し、現在は川崎フロンターレのFRO(フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー)としてクラブの価値向上のための活動に尽力する彼は、いまも現役時代と変わらない体型を維持している。
「フロンターレのアカデミーの練習に参加したり、ジムに行ったりと週2程度はカラダを動かしているので、体重は当時から1kg増の78kg程度。当然現役時代と同じように食べてしまうと肥えてしまうので、自分なりに考えて食べるようにはしています」
家では4歳と6歳の子育ての真っ最中。朝は必ず毎日家族一緒に食べているとか。
「子供たちもまだ小さいので、たまに残してしまう時がある。それをいただくのは僕なので(笑)、そういう場合は昼食を軽めにしたり、時には食べないことも。だから三食きっちり食べることはほぼなくなりましたね」
そんな稲本さんの好物のひとつが焼肉。今回は東京・幡ヶ谷にある〈焼肉たぬき〉にて極上の和牛を堪能することに。稲本流太らない焼肉の食べ方、しかと拝見させていただきます!
【 平均的な一日の食事 】
- 朝…子供たちと和朝食。
- 昼…仕事先で外食。摂らないことも。
- 夜…早めの時間に家族で家庭料理。
心がけは、子供が食べ切れなかった分を食べることもあり、全体の食事量を調整。
脂身少なめの肉をチョイス。さすがはアスリート。

〈焼肉たぬき〉は芝浦直送の厳選されたお肉をリーズナブルに味わえる人気店。稲本さんはまず浅漬けキムチと梅葱サラダを注文。
「現役時代から基本的に野菜から食べるようにしていましたね。それからベタに牛タンや赤身肉というパターン。若い頃はカルビも好きでしたけど、いまは脂っこい肉は食べなくなりました」
いよいよお楽しみのお肉。自慢の上レバー、特上サガリ、特上ハラミが運ばれてきた。どれも分厚くカットされた一枚肉。レバーからじっくり焼いて、いざ実食。
「うん、うまい! レバーって火を通しすぎるとパサついちゃうけど、いいレバーだからサッと焼く程度で十分なんですね」
続けて、サガリにハラミ。
「いやー、どっちも旨味が口に広がりますね。これくらい分厚くカットしてあるとハサミで切るのかな?と思ったけど、赤身なのに柔らかいので歯で楽々嚙み切れちゃいます。幸せだなあ」

ところで稲本さん、ご飯が欲しくなりませんか?
「焼肉屋ではおいしい肉をしっかり味わいたいんです。ご飯があると肉の量が減ってしまうので、食べないようにしています」
ちなみに、アスリートとして肉以外のタンパク質はどんな摂り方をしていたのだろうか。
「僕の場合は納豆です。昔はあのにおいが苦手だったんですけど、妻がタクアンや刻みネギと納豆を和えるなど工夫して出してくれて、納豆嫌いを克服できました。毎朝食べるようになってから目覚めが良くなった気がします」
お肉を堪能したら、ラストは締めの冷麺をオーダー。
「レモン入りの冷麺は初めてだなあ……。うん、すごくさっぱり!それでいて出汁が効いてコクはある。最高の締めですよ」

稲本さんが肉を堪能する様子を見ていたエダジュンさん、今回のオーダー、いかがでした?
「野菜から食べるのは理想的ですね。特にキムチは乳酸菌が豊富なので、焼肉屋では必ずオーダーしたいところ。ひとつ付け加えるならば、野菜の前にスープを摂ってほしい。最初に内臓を温めると代謝が上がって、食べすぎ防止にもなります。あと、焼肉の際はご飯を摂らないとのことですが、逆に序盤のうちに肉と一緒にご飯を食べるといいんです」
ホントですか?と狐につままれたような表情の稲本さん。
「肉のタンパク質とご飯の糖質が合わさると、肉の分解がより早くなるので余計なカロリーが体内に残らない。だから肉オンザライスはありなんです」
まだまだ知らないことがたくさんあるなあ、と稲本さん。今後もそのアスリート体型、頑張ってキープしてくださいね!
稲本潤一さんのオーダーを管理栄養士がチェック!
浅漬けキムチ|キムチ抜きに焼肉は始まりません。

白菜を30分塩水に漬けて軽くシナッとさせつつ、シャキシャキ感を残した食感重視のキムチ。調味料は店オリジナルの調合で、ニラとネギを混ぜて発酵させている。500円。
「キムチは通常100gで30kcal程度なのでカロリー制限、糖質制限されている方どちらにもオススメです。発酵食品なので乳酸菌が摂れて腸活にもうってつけ。肉の前にはとりあえずキムチを食べましょう」。
梅葱サラダ|キムチプラス、野菜をもう1品頼みたい。

焼肉の付け合わせといえばチョレギサラダだけど(もちろんメニューにあり)、もう一つ店独自のサラダを、と梅干し好きの店長が考案。梅干しの漬け汁にネギと出汁、ドレッシングなどを混ぜてさっぱりと、かつコクのある一品に。600円。
「肉の前に野菜類を2品頼むのは、ベジファーストの観点からもベストなチョイスです。野菜である程度お腹を満たせば食べすぎも防げますよ」。
上レバー|焼きすぎ注意。ゴマ油をたっぷりつけて。

レバーの中でも特に血管が少なく、美しい見た目のごくわずかな部位だけを毎日仕入れて、新鮮な状態で上レバーとして提供。レア気味に焼いて、焼いた後もゴマ油をまぶすのが〈たぬき〉流。1カット1,000円。
「レバーは100g当たり約132kcal。最初に食べるお肉として最適だと思います。ダイエット的に見るとゴマ油はややハイカロリーなのですが、1品程度なら問題ないでしょう」。
特上サガリ|希少部位を分厚い1カットで贅沢に。

牛の横隔膜の背中側にあるサガリ。ハラミに近い柔らかさを持ちつつ、より脂が控えめで赤身の旨味を味わえる。1カット800円。
「稲本さんは脂の多いカルビ等は頼まず、代わりにサガリやハラミなど赤身肉をオーダーするとのことで、非常に良いチョイスだと思います。ヘルシーなイメージのあるタンも意外と脂質が多いんです。もしオーダーされる際はガッつかないでゆっくり味わいましょう」。
特上ハラミ|訪れたら必ず頼みたい、店一番の名物肉。

脂のサシは少なめで、上質な赤身を堪能できる売り切れ必至の芝浦直送ハラミ。ちなみに〈たぬき〉のタレには酒粕を混ぜて味に深みを出している。もちろん塩でいただくのもオススメ。1カット1,100円。
「管理栄養士からすると焼肉は糖分が多いタレよりも塩を選んでほしいところですが、こちらのお店の酒粕入りのタレはナイスアイデアです。酒粕もキムチと同じく発酵食品ですからね」。
冷麺|冷麺の汁はこれくらいサッパリでいいんです。

冷麺というと甘めのスープのイメージがあるが、こちらは鶏ガラをベースに、昆布と鰹出汁で仕立てている。愛媛産の無農薬レモンがさっぱり感をさらに際立たせ、〆の一杯に人気。1,100円(ハーフサイズは700円)。
「焼肉の締めに冷麺は定番ですけど、その前にお肉やご飯を結構食べている場合はカロリーオーバー。冷麺を食べたい場合は稲本さんのように肉は少なめにしましょう」。
おいしくて、太らないための焼肉的心得。
1.スタートは温かいスープから。
肉の前にいきなりスープ? と思う方もいると思うが、焼肉屋なら大抵ワカメスープや卵スープがあるはず。最初にお腹を温めて、ついでに代謝をアップしよう。
2.ご飯を序盤から投入せよ。
序盤からご飯を食べるのも意外だが、「ご飯はビタミンなどいろんな栄養素を含む健康食かつ、水を入れて炊くので水分摂取の点でも効果的」とエダさん。さらには少し冷ましてから食べると米の中の糖質が食物繊維に変わるのでオススメだとか。
3.キムチはマスト。サンチュもGood。
肉にサンチュを巻くのも良し。タンパク質と食物繊維を一緒に摂ると腸の中での吸収がゆっくりになり、太りにくくなる。
〈焼肉たぬき〉

2024年オープンながら、通常新店では仕入れが難しい芝浦市場からの仕入れルートを確立。新鮮なハラミやホルモン、ハツ刺しやセンマイ刺しを手頃な価格で味わえる。おまかせコースは5,500円。東京都渋谷区幡ヶ谷2-7-9酒井ビル1F。17:00〜24:00(料理L.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)、無休。WEBサイト
