毎日の食卓にブロッコリーをプラス。血管を長持ちさせる食事術。
血管がアラートを出す前に、日々の食生活を見直すのが賢い選択。どんな食事を摂れば、血管を守れるのか。自炊や外食で取り入れやすい、すぐに使える食べ方のヒント。
text & edit: Hiroko Kawabata photo: Hiroshi Nakamura cook & styling: Yuki Ishiguro illustration: Adrian Hogan
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教えてくれた人
杉岡充爾(すぎおか・じゅうじ)/すぎおかクリニック院長。医学博士。日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。予防医学の重要性を強く感じ、クリニックを開院。著書やYouTubeで血管に関する情報を発信している。
毎日の食事が血管を長持ちさせる。
経年劣化して硬くなったホースに水を勢いよく流したら、いつ破裂してもおかしくない。血管が老化して硬くなる動脈硬化も、それと同じだ。血管が詰まったり亀裂が入ったりすれば、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす。
「血管にダメージを与える主な要因は、以下に挙げた酸化、糖化、炎症の3つ。動脈硬化は健康診断オールA判定の人でも進んでいる場合があり、しかも、血管を老化させる原因の多くは食習慣に由来します」と語るのは、循環器の専門医・杉岡充爾先生だ。
健康な血管の条件は、弾力性と修復力の高さ。加えて、血液がサラサラの状態を保てば、血栓を防ぐことができる。
「とにかく重要なのは日頃の食習慣。完璧を目指さず、できることから継続しましょう」
しなやかで丈夫な血管を作るために、日々の食事でできることをピックアップ。ちょっとの意識で、ラクに続けられる心がけを紹介しよう。
血管ダメージを引き起こす3つの要因。
酸化|血管をサビつかせて脆くする。
血管の酸化とは、血管内でLDL(悪玉)コレステロールと活性酸素が結びついて「酸化LDLコレステロール」に変化すること。酸化LDLは血管にプラークを作り、動脈硬化を進行させる。
糖化|血管の焦げが老化を早める。
体内で余った糖がLDL(悪玉)コレステロールと結合すると、“カラダの焦げ”ともいわれる糖化が起こり、「糖化LDLコレステロール」に変化する。血管にプラークを作るなど、悪影響を及ぼす。
炎症|血管壁が傷ついてボロボロに。
血管内で敵(悪い物質)と味方(免疫細胞)が戦うと、血管が傷つき炎症が起こる。引き金となるのが、加工食品などに含まれる質の悪い油の過剰摂取。炎症が長引けば、動脈硬化や血栓を招く。
強力な抗酸化成分を含むブロッコリーを常備しておく。

最強食材として薦めたいのは、『Tarzan』読者にもおなじみのブロッコリーだ。抗酸化作用のある食材は数あれど、ブロッコリーは栄養も簡便性も群を抜いている。
「ブロッコリーは血管の酸化を阻止するβ—カロテン、ビタミンC、ビタミンEやフィトケミカルの一種・スルフォラファンが豊富。さらに、メチオニンというアミノ酸が肝臓の代謝機能に関わり、解毒作用をサポート。つまり血管に悪いものを食べても、デトックスしてくれるんです」
今年4月には国の指定野菜に選定され、一年を通して安定した価格で購入できるようにもなった。そんな“お墨つき”野菜を見逃すわけにはいかない。ならば、1房分まとめて茹でてストックすべし。一口大に切って熱湯で1分ほど茹で、冷蔵庫へ。副菜やお弁当にも使える。

ブロッコリーとオリーブオイルは理想的なコンビ。一緒に食べることで、ブロッコリーに含まれるβ-カロテンの吸収率もよくなる。オリーブオイルには心疾患を予防する効果も。 オメガ3脂肪酸を多く含むクルミを散らしてサラダにすれば、血液をサラサラにする効果も加わる。おつまみ用ではなく、食塩不使用で素焼きのクルミを選ぶのがポイント。
主食を玄米に置き換えて血管の糖化を防ぐ。

自宅で玄米や雑穀米を炊くのはちょっと面倒……。手間を減らして簡単に取り入れたいなら、市販のパックご飯を活用するのもアリ。今はスーパーやコンビニでも手軽に購入できる。
腹ペコのときに、白いご飯をほおばるのは格別の喜びだ。しかし、それが血管にとっては負担になる、と知ったらどうだろう。ご飯やパン、ジュースなどの糖質を摂り過ぎると糖化LDLコレステロールが増え、血管の糖化を進めてしまう。これを避けるためには、血糖値を上げない食べ方にシフトするのが最適解だ。
「主食なら、白米よりは玄米や雑穀米。白いパンよりは全粒粉や胚芽入りのパンを選ぶと、食後血糖値の上昇を緩やかにして、血中に糖が多い状態を防ぐことができます。さらに、野菜や海藻など食物繊維が豊富なおかずを先に食べ、最後に炭水化物を食べる“ベジファースト”も血管の糖化を防ぐために効果的です」
ニンニクちょい足しが血管の炎症を抑える。

冷や奴や納豆、刺し身などの薬味に使うと、手軽にニンニクを摂取できる。パスタや炒め物などの調理に使うのも効果的。チューブ入りのニンニクが1本あれば、さまざまな料理に使える。
ニンニクといえば、スタミナ食材の代表選手。その実力も名声も揺るぎないものだが、実は血管にとっても頼りになる存在であることは、あまり知られていない。
「血管の炎症が慢性化すると、血管壁がささくれのようにめくれ上がるびらんができ、血栓を招いてしまいます。それを防ぐためには、炎症を抑える作用のある食材が有効。なかでも効果が期待できるのが、ニンニクです」
ニンニクを手軽に摂るなら、薬味にしたり、汁物に加えたりするなどの“ちょい足し”がお薦めだ。さらに、ニンニクに含まれる「アリシン」には、血流を促す作用もある。しかも、疲労回復効果も期待できるとあれば、ちょいと足さない手はないだろう。
毎日の納豆で血液サラサラ。

「毎朝欠かさず納豆を食べることを習慣にしている」と杉岡先生。納豆に含まれる植物性タンパク質は、丈夫でしなやかな血管や、血液そのものを作る材料としても優秀だ。
腸活のために納豆を常備している人も多いかもしれないが、納豆を食べるメリットはそれだけではない。納豆のネバネバ部分に含まれる「ナットウキナーゼ」には、血栓を溶かし、血流を改善する作用があるとされている。さらに、納豆に含まれている食物繊維やタンパク質は、血糖値の上昇を抑えてくれるのだ。では、食べるのにベストなタイミングは?
「朝食に食べると、“セカンドミール効果”といって、昼食後の血糖上昇も抑えることができます。一方、血栓は夜中から朝にできやすいことから、血栓予防を優先するなら夕食に食べた方が効果的という見方もあります。ただし、朝食べても予防する効果がないわけではありませんのでご安心を」
しなやかな血管を作るラム肉を味方に。

ラム肉を選ぶときは、タンパク質や鉄が豊富な赤身の多い部位を選ぼう。ジンギスカンにすれば、抗酸化作用のある野菜も一緒に摂ることができ、血管も喜ぶはず。
血管そのものを丈夫にすることも忘れちゃいけない。血管の壁は何からできているのだろう?
「正解はコラーゲンです。そして、コラーゲンはタンパク質、鉄、ビタミンCからできています。そのため、この3つを摂ることが血管強化につながります」
タンパク質の摂取に、鶏、豚、牛などの肉は欠かせないが、なかでもお薦めはラム肉だ。
「ラム肉はタンパク質が豊富なのはもちろん、鉄の含有量もトップクラス。しかも、ラム自体は解毒力が強いため、飼料などに含まれる有害な物質も溜まりにくいといわれています」
ブロッコリー、パプリカなど、ビタミンCが豊富な野菜と一緒に食べれば、より血管強化に!
外食でも実践できる、血管ケア術。
ランチの魚定食で血管修復に役立つオメガ3を摂る。

EPA、DHAは、マグロやブリ、サバ、サンマ、イワシなど多くの魚に含まれている。魚のフライも定食の定番だが、揚げ物に使われるサラダ油などの油の摂り過ぎには要注意。
平日のランチは、パッと買えるコンビニのおにぎりやサンドイッチ、あるいはラーメンや牛丼で済ませるケースも多いかもしれない。よく考えてみよう。血管にダメージを与える食事が続いてはいないだろうか。昼食は一日三度の食事のうちの大切な一食。だからこそ、その選択が血管に大きな影響を及ぼす。であれば、ランチは魚定食と決めてしまうのもアリ!
「魚にはオメガ3脂肪酸といわれるEPA、DHAが豊富に含まれ、これらの油には酸化や炎症を抑える作用があります。さらに、オメガ3脂肪酸のEPAには、一度できたプラークを減らす方向に働きかけるという報告もあります」
魚の煮つけや刺し身などの定食を頼めば、心強い血管対策に。
居酒屋の定番、ワカメの酢の物で血管を広げる。

ワカメとキュウリの酢の物は、血管にとって最高のつまみ。海藻サラダやメカブなども積極的に頼みたい。フライドポテトや唐揚げの食べ過ぎには要注意。
仕事帰りに居酒屋でちょっと一杯。なんてときのつまみの中には、意外にも血管の機能を回復させるものがある。真っ先に注文したいのは、ワカメやヒジキ、アオサなどの海藻を使ったメニュー。海藻に多く含まれるマグネシウムには血管を拡張する作用があり、血管の弾力性を回復するのにうってつけだ。豆腐やグリーンアスパラガスも、マグネシウムを多く含む。
さらに、キュウリやゴーヤなどのウリ科の野菜には、アミノ酸の一種であるシトルリンが含まれている。シトルリンは、血管を拡張させるNO(一酸化窒素)の材料となり、健康な血管作りに役立つ。
リラックスしてお酒を飲むことも、血管を広げる効果がある。ストレスは血管の大敵なのだ。

