血糖値のキケンな急上昇
ごはんやパン、和菓子やケーキをパクリと食べる。これらの食品に含まれる糖質は消化のプロセスでどんどん小さく分解されて小腸から吸収される。その後、肝臓に運ばれ、グリコーゲンに合成されたり、ブドウ糖として血液によってカラダのあちこちに送られる。
ブドウ糖はカラダの基本的なエネルギー源。脳にデリバリーされるほか、全身の筋肉や各臓器に運ばれて消費される。とくに、筋トレや有酸素運動など激しい身体活動を行うときは稼働する筋肉に大量に配送され消費されていく。
さて、100mlの血液中に存在するブドウ糖の量が、いわゆる血糖値。食事で糖質を摂れば数値は上がり、エネルギーとして利用されれば下がる。健康な人はこの血糖値の上下動もすこぶる健全。ところが、必要以上に血糖値が上昇した後、すごい勢いで下降する。こうした乱高下を繰り返すようになると大問題。
血糖値の急上昇は糖代謝に関わるインスリンの大量分泌を促し、体脂肪の合成が必要以上に促される。その後の低血糖→高血糖→低血糖→高血糖の繰り返しが糖尿病のリスクを高めることに。これが世にも恐ろしい「血糖値スパイク」。
つまり、血糖値を適正にコントロールすることが健康を維持し、太りにくいカラダを作るキーポイント。血糖値スパイクの原因を知り、その対策に努めよう。
起きてから眠るまで、血糖値はいつ上がる?
ごはんを食べたら血糖値はじわじわゆっくり上がる。甘いものを食べたらドーンと急激に上がる。なぜなら、前者は吸収が遅く、後者は吸収が速いから。血糖値をコントロールするためには、こうした食品の特性を見極めることがまず大事。
でも、それで完璧かと言えばさにあらず。というのも、たとえ大好物の甘いものを我慢したとしても、血糖値の急上昇を100%防ぐことはできないからだ。
たとえば食べるタイミング、たとえば食べ方、ストレスに睡眠不足にカフェインにアルコール。これらもまた、血糖値に影響する。えっ、そんなことでも血糖値って上がっちゃうの? と、驚く人も少なくないはず。でもこれ、紛れもない事実。起きてから寝るまでのあなたの血糖値は思った以上に上下動を繰り返している。7つのポイントで確認しよう。
1. 睡眠不足
睡眠中は副交感神経が優位な状態。眠りがどんどん浅くなって起きるちょい手前で交感神経優位モードにシフトしていき、血糖値が徐々に上がる。睡眠不足の状態だと常に交感神経優位で血糖値は下がる暇なく高め安定。
2. 食間の空きすぎ
朝は一刻も遅くまで寝ていたいから朝食はパス。午前中は会議と打ち合わせの嵐。そう、かれこれ12時間以上血糖値は下がったまま。で、次の食事を食べるとスパイクが待っている。食間は空けても最大6時間内に抑える。
3. 粉もの
時間がないのでランチは立ち食いで素うどん。同じ炭水化物でも粒状のごはんより粉状のパンや麺の方が吸収が速い。しかも具なし素うどんは血糖値を上げるメニューの筆頭。せめてタンパク質や脂質を含む具入りを。
4. カフェイン
まったりしてきた午後はコーヒーでリフレッシュ! これはコーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用を期待して。覚醒作用とはすなわち交感神経刺激作用だから血圧や血糖値が上昇していく。よってガブ飲み禁止。
5. ストレス
プレゼンなどでストレスを感じて血糖値が上がることも。ストレス時はいわば敵と対峙して「戦うか逃げるか」の瀬戸際状態。どっちにしても血糖値を上げて準備する必要があるのだ。呼吸法で上手にストレスリリースを。
6. 早食い
コンビニで買ったオムライスをガガガと食べる。短時間のうちに糖質がいきなり入ってくるから血糖値は急上昇。野菜から最初に口にして時間をかけて食べるか、誰かと会話をしながらゆっくり食べるなどの工夫を。
7. アルコール
アルコールは肝臓のグリコーゲンをブドウ糖に分解する働きを促し、一時的に血糖値を上昇させる。飲み続けていると肝臓はアルコール分解に手一杯で糖を作り出す仕事がおろそかに。で、低血糖からの〆ラーメンが確定。