内臓脂肪を減らす「油カット」、10のアイデア

タンパク質や糖質の2倍以上のカロリーを有する脂質。このアブラの量を1日大さじ1杯分減らすように気をつければ、糖質制限よりもストレスなく食事制限を続けることができる。

取材・文/小沢緑子 撮影/小川朋央 スタイリスト/矢口紀子 栄養監修/河村玲子(管理栄養士)

初出『Tarzan』No.802・2020年1月4日発売

内臓脂肪を減らすのに、真っ先に行うべきは、アブラカット。

「脂質のカロリーはタンパク質や糖質の2倍以上あるため、食品に含まれるアブラや調理油をカットするのが一番効率的。また、アブラは減らしても見た目のボリュームは変わらず、主食を減らす糖質制限よりストレスなく続けられるのもメリットです」と、管理栄養士の河村玲子さん。

目安は、1日大さじ1杯分の約110キロカロリー減。今回紹介するアイデアを実践すれば、難なくクリアできる。

① 肉の脂は取り除く、の一択。

まずカットしたいのが、肉の脂。

「食品のアブラの中でも一番避けたいのが、鶏肉の皮や豚肉の端っこについている分厚い脂身などの、動物性の脂。現代人は摂り過ぎの傾向があるため、ダイエット期間だけでなく、普段から取り除く習慣をつけたいもの」(河村さん)

カロリー的には、豚ロース110gの脂身を包丁で切り落とせば大さじ1杯以上(148キロカロリー)、鶏もも肉1枚の皮を取り除けば大さじ3杯近く(308キロカロリー)もカットできる。

② 青魚と豚もも、脂質が低いのは?

肉より魚のほうが低カロリーというイメージはあるが、脂が乗った青魚は高カロリーグループ。ダントツがサンマで1尾312キロカロリー、次がサバで1切れ247キロカロリー。一方、肉でも豚もも薄切り肉100gは183キロカロリーと、脂質が少ない銀鮭1切れ163キロカロリーと同レベル。

「青魚に多く含まれるカラダにいいオメガ3系脂肪酸は内臓脂肪の減少にも効果があると示唆されていますが、摂り過ぎればカロリーオーバーになります」

③ 挽き肉アイテムは要注意!

ハンバーグ、ギョーザ、小籠包、ソーセージなど、挽き肉を原料にしている食品も要注意。一般的に、挽き肉は肩ロース、スネ、バラ肉などいろいろな部位の肉をミンチしているため、脂質が高め。

「さらに加工する段階で肉汁たっぷりのジューシーなおいしさを引き出すために、豚の背脂から作るラードを練り込んでいることも。挽き肉アイテムより、脂身をカットできる塊肉を選びましょう」

④ 牛乳の「乗り換え」は有効。

牛乳も脂質が高く、朝ゴクゴク、シリアルにもかけていると無視できない。コップ1杯200mLで牛乳は134キロカロリーだが、低脂肪乳なら92キロカロリー、無脂肪乳なら68キロカロリー。

「味が苦手な場合、最近コンビニでも見かけるアーモンドを粉砕して作るアーモンドミルク(同39キロカロリー)、欧米で人気のオーツ麦が原料のオーツミルク(同86キロカロリー)も選択肢に」

⑤ 意外に脂質が高い5品。

「へルシーに見えて要注意食品の筆頭がアボカド。1個224キロカロリー、すなわち大さじ2杯分以上のアブラに匹敵。大豆も1食分(50g)で88キロカロリーあるため、大豆製品も食べ過ぎないこと」

実は卵も黄身の脂質が高く1個分のカロリーは77キロカロリーもある。家族に譲って脂質が少ない卵白だけ汁物に加えたり、ホワイトオムレツにしよう。間食でつまみがちなナッツやチーズももちろん高カロリー。口寂しいときはあたりめやビーフジャーキーにチェンジ。

⑥ 乳白色の食品は避ける。

牛乳が要注意なら、牛乳の脂肪分だけで作る生クリームはNGアイテム。1カップで865キロカロリーもあり、クリームシチュー、コーンスープなど、生クリーム×牛乳をたっぷり使う“乳白色”のメニューは避けるのが賢明。

「今の時季、とろりとクリーミーなおいしさは恋しくなりますが、ダイエット中は同じシチューやスープならコンソメ味やトマト味をチョイスしましょう」 

⑦ カンタン調理油カットテク。

調理油のカットもマスト。

「フライパンで焼いたり炒めるときはフッ素樹脂加工のものを使うか、片面がシリコーン加工された市販のホイルシートを敷くと、調理油なしでも素材がくっつくことがなくなります。さらに肉の場合、出てきた脂をキッチンペーパーに吸わせて取り除けば大幅なアブラカットに」

スープやカレー、ポトフなどの煮込み料理の場合は、上澄み液に肉の脂が浮いてきたらすくうか、大量であればキッチンペーパーを敷いたざるで濾せば完璧。

⑧ マヨネーズ、ドレッシングは?

アブラが主原料のマヨネーズやドレッシングは、大さじ1杯分でも高カロリー(下表参照)。何にでもかけてしまう食習慣があったら即ストップ。どちらも低カロリータイプやノンオイル、あるいは脂質ゼロのポン酢を使おう。

「外食の場合、すでにマヨネーズやドレッシングがかかっていることもありますが、注文時にかけないように頼み、代わりに卓上の調味料を使う工夫も必要」

マヨネーズ、ドレッシングのカロリー比較表
カロリー表示の数字は赤がNG、黒がOKグループ。ちなみに醬油は大さじ1杯で14kcal、塩は0kcalなので外食時には置き換えを。

⑨ バター代わりのギリシャヨーグルト。

トーストに塗るバターくらい、と思うなかれ。バターは生クリーム同様、牛乳の脂肪分から作られていて、大さじ1杯分塗るだけで89キロカロリー。

「代わりにギリシャヨーグルト(大さじ1杯で15キロカロリー)か、カッテージチーズ(同16キロカロリー)を塗って、ハーブ入りの塩・コショウを振るとカロリーがかなり抑えられておすすめです」

ボリュームが欲しいときは、ロースハムをプラス。低カロリーなのにタンパク質が上乗せされて◎。

⑩ 焼き肉は意外に「優等生」。

「肉を食べるときは網焼きする焼き肉より、湯で脂を落とすしゃぶしゃぶのほうがヘルシー、というのも思い込み。湯に溶け出した肉の脂は、次の肉に再び付着するのでカロリーはそう変わりません」

牛バラ肉の薄切り100g(426キロカロリー)の場合、茹でても417キロカロリーになる程度だが、網焼きにすると320キロカロリーにダウン。ただし焼き肉はタレが落とし穴なので注意。