春の頭痛や肩こりはなぜ? 上手く乗り切るための3つの簡単養生(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は春に出やすい症状に対しての、3つの簡単養生をご紹介します。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
東洋医学にみる「春」という季節
新年度のスタートで気持ちも引き締まり、新たな目標を設定した方も多いことでしょう。春は冬にため込んだエネルギーが外へと勢いよく飛び出す季節です。
植物も動物も、みんなそうです。とても前向きで清々しい季節である一方、カラダの上の方の不調が出やすい季節でもあります。頭痛、肩こり、めまい、耳鳴りなど、いつもはない症状が急にあらわれたら、ちょっと不安になりますね。
こうした体調のゆらぎは陰から陽に自然界のバランスが変わる春、身の軽い風邪(ふうじゃ)によってもたらされると考えます。
風邪(ふうじゃ)は他の邪気を伴いやすく、たとえば湿気や暑さ、寒さの邪気などとタッグを組んでカラダに侵入します。身軽で上昇することが得意な風邪(ふうじゃ)の性質は主に上半身に影響しやすく、先に挙げたような症状を引き起こします。
最近、急な頭痛を感じたという方も、それはとても自然なことですので慌てなくて大丈夫です。春の体調の揺らぎは季節性、一過性のものです。やり過ごしているうちに、なくなってしまう程度なら心配はいりません。やり過ごすための簡単な養生法も試してみましょう。
春の簡単養生①|体側部を伸ばす
乱れがちな気の巡りをととのえることが、春の不調をケアするポイントです。普段動かすことの少ない体側部も、巡りを意識してぎゅーっと広げます。立ち姿勢でも座ったままでもいいです。わき腹からわきの下にかけて、深い呼吸をしながら伸ばしてみましょう。
春の簡単養生②|足湯に浸かる
足湯といえば冷えにいいイメージですが、足湯の力はまだまだそんなものではありません。春の上昇しがちな気をおろして理想の巡りを取り戻すのにも足湯はいいです。
42度以上のお湯にふくらはぎより下の部分を、しっかり20分間浸けてください。入浴でこの条件はのぼせてしまいますのでご注意を! 手軽な足湯桶から、本格フットバスまでいろいろありますが、好きなスタイルでOKです。ちなみに私は簡単に出す・しまうができてお手入れも簡単な足湯桶を愛用しています。
春の簡単養生③|漢方薬を使う
体質にもよりますが、春の揺らぎにおすすめの処方は香りのいい半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香蘇散(こうそさん)です。
どちらも気の流れをととのえるのが得意な漢方薬です。吐き気や喉のつかえなど、消化器系の症状を伴う場合は半夏厚朴湯、カゼのような症状が出やすい場合は香蘇散が、それぞれ合うでしょう。
香りのいいものをそばにおいてみたり、香りのいいお茶を楽しむのもいいですね。ピンと張りつめたものがふっと緩む感触があれば効果大。
春の不調は誰にでも起こりうるものでそれ自体は心配いりませんが、こじらせると日常生活に支障が出たり、五月病へと発展しやすいのでその点は注意したいところです。
簡単なケアで上手にやり過ごして、気持ちよく新年度をスタートさせましょう!