セロトニンの分泌も促す!散歩の効果と注意点(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回はテーマは「散歩の効果」について。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
お散歩は手軽な健康法として人気
春らしい陽気が心地よく、お花見がてら散歩が楽しいシーズンです。
歩くことは実に手軽な健康法で、例えば運動は苦手、お金をかけずにカラダにいいことをしたい、という方にも取り入れられていますね。
さてこのお散歩ですが、身体的な健康に良い影響を与えることはもちろんなのですが、精神的な健康にも良い影響を与えることがわかっています。
日光とリズミカルな運動が精神的な健康にも良い影響を与える
鍵になるのは日光とリズミカルな刺激です。
1日15〜30分ほどの日光浴と、歩行という単調でありながらもリズムのある運動は、幸せホルモンであるセロトニンの分泌を促すのにちょうど良いのです。
イライラを解消できたり頭の回転を良くしたり、物事に対して意欲的になるなどの効果が知られています。
歩く距離には適切な目安がある
「春で気持ちもいいし、じゃあ散歩に出よう!」という方、でもちょっと待ってください。頭に描く散歩コースが長過ぎはしませんか?
諸説ありますが、1日あたりの歩数は8,000歩ほどが適当と言われています。成人女性なら距離にして6km前後でしょうか。一万歩以上歩くと、一般にはちょっと歩き過ぎのようです。
もちろん体質差がありますが、運動不足の解消もかねて歩いてみようと思われる方でしたら、目安は8000歩です。
歩き過ぎ悪影響を与える可能性がある
実は、素問(そもん)という人間の健康についての理論を解説した古代中国医学の古典的な文献にも、歩き過ぎについて触れている部分があります。
「久しく歩くと筋を傷める」といって、歩き過ぎがカラダに良くないことを記述しているんです。何事もやり過ぎは良くないですが、歩き過ぎることもまたそのひとつのようです。
腸内環境を整えることも幸福感に繋がる
セロトニン分泌を促すリズミカルな運動は歩くこと以外にも、噛むこと、意識的な呼吸などが当てはまります。
また、脳内物質と思われがちなセロトニン、実は90%が消化管にあることが明らかになっています。ですので腸内環境を整えることもまた、セロトニンを使って意欲的で幸福感に満ちた日々を過ごすことに繋がります。
何事も過不足なく、バランス良く、と昔から言いますが、歩いて、呼吸して、噛んで、腸内を整えて、科学の発達した現代でもその原則は同じのようです。