【エビデンスに基づく美容法】シワ・くま・くすみ・毛穴…大人の肌&髪の悩みを解決

刻一刻と老化は進んでいくから、“なんとなく”な美容法で手入れしている暇はない! 肌と髪のエイジングスピードを遅らせ、若々しさを保つために今すぐできる、エビデンスに基づいた美容法を紹介します。

取材・文/間宮寧子 イラストレーション/前田豆コ(vision track) 撮影/幸喜ひかり 監修/吉木伸子(よしき銀座クリニック院長)

初出『Tarzan』No.880・2024年5月23日発売

肌と髪の悩み解決

肌と髪の悩み解決

美肌&美髪の精:たまご肌先生

エビデンスに基づいた美容法を伝授してくれた、美の精霊。うるおいに満ち溢れた、まるで茹でたての卵のような肌は、正しいエイジングケアの賜物。

シワやたるみといった明らかな老化のサインを目の当たりにしても、若い頃と同じ美容ケアを続けている人も多いのでは。

「エイジングは止められないけれど、速度を緩めることはできる」とは皮膚科医の吉木伸子先生。加齢とともに、肌の中ではさまざまな変化が起きる。それに対応する適切なケアが、老化を遅らせる鍵になる。

ここでは肌や髪の老化の原因を解説しながら、エイジングにまつわる悩みに回答。正しい知識を身につけて、的確に老化を予防しよう。

顔のシワ・たるみは増えていく一方ですか?

肌の老化はケアで緩められる。過去は無理でも未来は変えられる!

シワやたるみをセルフケアで改善するのは、残念ながら難しい。ならば時計の針を巻き戻すのではなく、進む速度を遅らせる対策を。加齢によるシワとたるみは、張りの決め手となるコラーゲンが減り、弾力がなくなることが原因。だからまず実践したいのが、コラーゲンを増やす成分を含む化粧品を使うこと。

代表的な成分は、レチノールやナイアシン、ビタミンC誘導体。こまめな保湿がシワ対策になると誤解されがちですが、保湿でコラーゲンは増えません。加えて、肌に触れることで摩擦が生じてコラーゲンを傷めかねない。日中は肌に触れなくてもいいように、朝、保水力のあるスキンケアを使いましょう。

コラーゲン減少がシワやたるみの原因

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加齢により真皮のコラーゲンが減少すると、皮膚を支え切れなくなり、シワやたるみが現れる。シワのケアは真皮のコラーゲンを増やすことが必要。

肌の保湿対策は化粧水→乳液がマスト?

“油分で蓋”は少し古い。それよりセラミドに注目!

肌に水分を与えたら、クリームなどの油分で蓋をすることがスキンケアの基本とされてきましたが、蓋をしてもさほど維持できないことがわかってきました。

そこで注目したいのがセラミドの力。セラミドは角層細胞の間を埋めている脂質のひとつで、水と結合する特殊な性質を持っています。水分維持に一番効果的な成分で、角質の間にたくさんあれば潤いをしっかり蓄えることができる。

年を重ねるごとにセラミドの量は減少してしまうので、セラミド配合の美容液や乳液で補いたい。また、洗浄力が強い洗顔料は肌が持つセラミドを奪うので、マイルドなものを選んで。

これからの季節、紫外線対策はどうすべき?

吸収剤と散乱剤、成分に着目して選びましょう

UVケアは各種メーカーから出ているし、どれを選ぶか迷ってしまいますよね。

日焼け止めの成分は「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があり、吸収剤は白浮きせず、なめらかにのびて使用感がいいものが多いのですが、散乱剤の方が効果が持続しやすいメリットが。

パウダーファンデーションは一種の散乱剤を含むので、女性の場合は化粧をしていれば十分な場合も。SPFは数値が高いほど効き目がありそう、と思いがちですが、日常生活では20以上のもので十分。どれも持続時間は2時間ほどなので、肌に優しいものを選び、こまめに塗り直すのが賢明です。

カラダや髪の乾燥が気になります。日々できることは?

洗う頻度に注意。1日1回だと多い場合もありますよ

乾燥が気になる人は、洗いすぎの可能性が大。毎日洗うのは当たり前という固定観念は捨ててしまいましょう。

脚や腕など皮脂分泌が少ない部分は、石鹼を使って洗うのは週1、2回でもいいんですよ。洗髪は1日おきで問題ないですし、お湯のみで洗う“湯シャン”でも十分。シャンプーで洗いすぎるとターンオーバーが過剰になり、成熟していない角質が剝がれ落ち、フケが発生することも。

汗をかいたら洗いたくなるものですが、汗は濃度がたった0.3%程度の、薄い塩水。泡で洗わなくても、シャワーだけで落とせます。洗顔は夏でも日に2回までに留めましょう。

皮脂の少ないパーツはシャワーだけでOK

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皮脂腺が多い場所は、上図の赤で示した部分のみ。石鹼やボディシャンプーの泡は皮脂を落とすためのもので、皮脂分泌が少ない場所に毎日使うと乾燥の原因になりかねない。

加齢とともに、白髪や抜け毛が増えました

自宅ケアの基本として、まずは生活習慣の見直しを

自宅で抜け毛をケアするならば、「ミノキシジル」という成分配合の育毛剤がおすすめ。ただ、生活習慣の改善も重要で、まずは規則正しい睡眠、バランスのとれた食事、ストレスをなくすことを意識しましょう。

カラダ作りと同様で、髪も普段の過ごし方の影響を受けるのです。遺伝性の場合は、AGA外来に行くこともおすすめします。白髪はさらに原因が解明されておらず、改善が難しい。染めるなら、髪が傷みにくい、低アルカリ度のヘアカラーを。ダメージヘアに悩んでいる人は美容室で相談してみるのもいいでしょう。

髪にツヤを出したいんですけど、すべきことは?

ヘアケアを見直しつつ、食事を意識しましょう

髪は生きた細胞ではないので、ダメージを受けると根本解決するのは難しいのです。美容室でトリートメントを受けたり、ヘアオイルなどを活用してカモフラージュしつつ、目を向けるべきは、新しく作られる組織のこと。

髪も肌と同じく、食が及ぼす影響が大きい。健康な髪を育てるために、成長を促すビタミンAや、髪の主成分となるタンパク質、そして栄養を行き届けられるよう、鉄分を積極的に摂りましょう。

また紫外線も頭皮環境に悪影響を及ぼすので、UVケアスプレーや帽子を日頃から意識的に使用して、余計なダメージを受けないための対策を心がけて。

ツヤのない髪は、内部が空洞だらけ

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髪の構造の大部分を占めるのがコルテックスというタンパク質の層。パサつく髪は、側面のキューティクルが剝がれ、コルテックスが流出し内部がスカスカになった状態。こうなってしまうと修復は不可能。

目元のクマを目立たなくするケアはありますか?

おすすめはレチノールのアイクリーム

くまは大きく分けて、血行不良による「青ぐま」、たるんで影ができる「黒ぐま」、色素沈着による「茶ぐま」の3種がありますが、年をとると目の下の皮膚が薄くなり、どのタイプのくまもできやすくなる。それもやはりコラーゲン減少によるものなので、そこに働きかけるスキンケアアイテムでケアをしましょう。

コラーゲン生成を促す成分はいくつかありますが、くま予防にはビタミンAの一種であるレチノール配合のアイクリームがおすすめです。青ぐまの場合は、老廃物を溜めないように、ホットアイマスクで目の周りを温めたり、ツボ押しで血流を促すのも効果的。

目まわりのツボ押しで血行促進してくまを予防

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目頭、目の中央と目尻の間の骨の縁、頰骨の下のくぼみ。それぞれ3秒押して、パッと放すのが1セット。これを3〜5セット繰り返す。洗顔後に化粧水や美容液などをつけた状態でやるのが基本。

毛穴が広がった気がします。対処法は?

摂る油を選ぶことから。皮脂を残さないのも有効ですよ

毛穴が目立つ原因のひとつが、皮脂。皮脂は食べたものから作られるので、対策としてできることはまず、良質な油を口にすること。手に入りやすく使い勝手がいいのがオリーブオイル。調理油に使ってもいいですし、ドレッシングにしてもいい。

同時に、調理加工されて時間がたった油脂の摂取はなるべく避けるように意識しましょう。皮脂が残ると毛穴が開くので、朝晩は洗顔料でしっかり落とし、べたつきを感じたら、脂取り紙で皮脂を取り除いて。

たるみも毛穴を広げる一因なので、レチノールなど、コラーゲンを増やす成分を配合した化粧品を使うのもよいでしょう。

もっと肌のくすみをなくすことはできますか?

洗い流すピーリングを試してみて

年を重ねると肌のターンオーバーの周期が長くなり、古い角質が溜まってくすみやすくなるので、ピーリング化粧品で不要な角質を除去すればトーンアップを期待できます。摩擦で悪化することもあるので、スクラブより、塗って洗い流すタイプがおすすめ。

ただしピーリングで解消できるのは肌表面のくすみ。加齢によるくすみは、体内のタンパク質が糖と結合して変性する“糖化”が原因であることも多い。予防策はまず、糖分摂取を控えること。また、料理する際は焼く、揚げるという高温調理よりも蒸したり茹でたりする水を使った調理法を選べば、糖化を抑えられます。