”美尻のカリスマ”が考案!筋肉を覚醒させる尻トレに挑戦。
キュッと上向きのヒップを目指すなら、やはりトレーニングは必須。とはいえ闇雲に始めても意味がない。眠ったままのあなたの筋肉を、まずは覚醒させるところから段階を踏もう。
取材・文/松岡真子、宮田恵一郎 撮影/内田紘倫 スタイリスト/川合康太 ヘア&メイク/村田真弓 トレーニング監修・指導/岡部 友
初出『Tarzan』No.896・2025年2月6日発売

教えてくれた人
岡部友(おかべ・とも)/女性専用フィットネススタジオ〈SPICE UP FITNESS〉代表。ヒップアップを特徴とした「Glutes in Action」というメソッドを考案。日本の美尻トレブームの火付け役。スタジオは東京、名古屋、大阪などで展開。
目次
お尻が変われば、生活のすべてが変わる。
“美尻のカリスマ”ことフィットネストレーナーの岡部友さんは、「座ることが多い現代生活は臀筋が弱りやすく、カラダの不調の引き金となっている」と警鐘を鳴らす。特に、遺伝的に臀筋が小さいアジア人は尻トレが急務だ。
「臀筋は、上半身と下半身を繫ぎ、骨盤と下肢を支える筋肉です。座る、立つ、歩くという基本動作の要となるため、機能が低下すると生活の質すらも低下していきます。例えば、歩行や階段の上り下りが疲れやすくなったり、お尻を横に振って歩くブサイクな後ろ姿になったり。また、臀筋の機能をハムストリングスや腰まわりの筋肉が代償することになり、腰痛や膝痛の原因にも。つまりお尻の弱さは、老若男女すべての人が自分事と捉えるべき問題なんです」
そのトレーニングにも、独自の3ステップがある。
「臀筋と一言で言っても、一つ一つの筋肉に鍛える目的があります。最も出力が大きい大臀筋はパフォーマンス向上に直結します。中臀筋と小臀筋は美しい姿勢を整え、深層部にある外旋六筋は股関節の動きを滑らかにする。これらを効率よく鍛えるには、一つ一つの筋肉を“ほぐし”て、“目覚めさせる”準備が必須。“鍛える”のもお馴染みのものでよりお尻に効かせる方法があります。それらをカラダが覚えてからでないと、いくら重いウェイトを持っても非効率なだけ。自体重トレを完璧にマスターして初めて、筋肥大でキュッと上がった“美尻”行きの切符が手に入る。そう心得てトレーニングに励んでください」
狙うべき筋肉。
3つの臀筋の中で最も大きいのが、大臀筋。続いて、中臀筋、小臀筋。その深層部には外旋六筋といわれるインナーマッスルがある。大臀筋と連動して股関節を伸展させるハムストリングスも尻トレを語るうえでは重要だ。
“ほぐす”3メニュー|痛いものを1つ以上選択。
カラダの“ココが効いている”と脳に伝える受容体は筋膜に多いため、凝りがあるとそちらが優位と感じ、トレーニングの理想の効果を得られない。その脳へ伝達するバグを解消し、ターゲットをしっかりとカラダに意識させるため、まずは筋肉・筋膜をほぐし、緩める。
1.ハムストリングスストレッチ(左右各深呼吸を6回)
骨盤後傾のクセがあるとハムストリングスが縮こまり、筋肉の緊張がピークに達していることも。まずはそこを緩める。
- 仰向けになって膝を曲げた左足裏にタオルをかける。
- 左爪先が胸のあたりに来るように伸ばし、深呼吸。逆側も同様に。
2.腸腰筋ストレッチ(左右各深呼吸を6回)
骨盤前傾タイプはここが縮こまっているので、しっかり伸ばそう。
- 右膝を立て、左膝は床につく。
- 前腿に両手を置き深呼吸をして重心を傾ける。太腿、股関節、下腹部の伸びを感じたらキープして深呼吸6回。逆側も同様に。
3.テニスボールコロコロ中臀筋(左右各1〜2分程度)
- 床に横向きに寝て肘をつき腰にボールを当て、前後左右に転がしながら鋭痛を感じるポイントを探る。
- 鋭痛ポイントが見つかったら上半身は動かさず、お尻でボールを前後左右に転がす。痛みが半減するまで、1〜2分続ける。
“目覚めさせる”5メニュー|2〜3つ選択。
外旋六筋や体幹に刺激を入れて目覚めさせてから筋トレに臨まないと表層筋だけが鍛えられ、インナーマッスルが置いてきぼりに。前段階としての動的ストレッチも兼ねたトレ。慣れるまではキツいが、ここをしっかりやるのが美尻への近道。
1.クラムレイズ(左右各10回)
中臀筋と腹斜筋、大臀筋と外旋六筋の連動を高め、股関節を自由自在に動かすためのトレ。
- 床に横向きに寝て肘をつき、膝を曲げ、お尻を前傾させてスタート。
- 腰を前に出しながら膝を開き、元に戻る。これで1回。呼吸を止めずに行う。
2.四つん這いキックバック(左右各15回)
- 手は肩、膝は腰の真下につき、片膝を宙に浮かせた状態で下腹に力を入れる。
- 膝を曲げたまま脚を持ち上げて3秒間キープ。外旋六筋、大臀筋にアプローチし、股関節の動きもスムーズにする。
NG
脚を高く上げるエビのようなポーズは間違い。
3.ハンドウォークプランク+脚上げ(10往復)
- 軽く膝を曲げて床に両手をつき、左右交互に手を1歩ずつ前に出して5歩進んだところで腕立てのポーズを取る。
- お腹に力を入れながら脚を交互に上げ、下ろしたら逆再生するように手を戻し、元の姿勢に。これで1往復。
4.バンドサイドウォーク(4歩進み戻る×10往復)
中臀筋を活性化させるアクション。
- 腰幅に開いた足にバンドを装着し、膝を軽く曲げて股関節からお尻を引く。
- 片足を2秒ほど上げて横に歩いたら、下ろす。これを繰り返す。進んでいくうちに背中が起きてこないように注意。
5.グルートブリッジ(20回)
- 仰向けに寝て、腰幅に足を開き、膝から肩が一直線になるまでお尻を上げる。
- その姿勢でお腹とお尻をギュッと収縮させ3秒キープ。腰を床に下ろしたらすぐ同じ動き。ハムストリングスに効く感覚があれば、ほぐしてから行う。
NG
お腹とお尻にしっかりと力が入っていないと、腰が反り、あばらが出る。
【男性編】“鍛える”6メニュー|必須+2つを選択。
お尻の機能を向上させ、本来のポテンシャルを取り戻すための自体重トレ。お馴染みのトレーニングも、よりお尻に効かせるポイントを知ろう。ヒップアップにつながる筋肥大を目的としての重りを使ったウェイトトレは、これを完璧にマスターしてから。
1.【必須】片脚上げヒップスラスト(左右各15回)
- 椅子を壁に固定し、背中を預け、片足は浮かす。
- 反動は使わずにお尻を締めると、自然と上体が上がってくる。軸脚の膝が直角になったら元に戻る。片脚上げのヒップスラストが難しければ、両足がついた状態から始めても。
2.【必須】ブルガリアンスクワット(左右各15回)
- 座面が膝小僧の下くらいの高さの椅子を用意。後ろ足を座面に乗せ、前脚は膝が爪先より出ない位置で曲げる。
- 重心が前足の拇趾球に乗っていることを意識し、お尻を後ろに引くようにスクワット。逆側も同様に。
Point
上がる時の体重はほぼ前足にあるのが理想。
3.スクワット(15回)
- まず肩幅で立つ。やや前傾姿勢から、お尻をグッと後ろに引きながらゆっくりと腰を下ろし、膝が直角になったら上がる。
- 膝は爪先よりも前に出さないこと。大腿四頭筋やハムストリングスではなく、お尻に効いてるのを意識。
4.バックランジ(左右各15回)
スクワットより低く下がれるバックランジは、足首やハムが硬くスクワットが深くしゃがめない人に有効。
上体は前に残しながら片足を1歩後ろに引き、お尻をグッと後ろに引きながら腰を下ろし、右膝が床につく寸前で上がる。
Point
元の姿勢に戻る時は、逆再生するイメージで斜め前に上がる。
5.スクワットジャンプwithミニバンド(15〜20回)
- 膝上にミニバンドを引っ掛け、肩幅で立ち、中腰姿勢からジャンプ。
- 跳んでいる時はお尻にグッと力を入れ、膝を広げたまま着地し、脱力。スタート時の姿勢よりも深く腰を落とすことで重力をすべてお尻で受け止める。
Point
着地時により深く腰を落とすことで強度が高まる。
6.片足ツイストルーマニアンデッドリフト(左右各15回)
- 足を1歩引き、前足に重心を乗せる。
- お尻を斜め上方向に張り出すイメージで骨盤を前傾させ捻ることで、股関節の動きにつられて上体が自然と前に倒れる。捻る塩梅は、お尻がストレッチされている感覚を自ら探る。
【女性編】“鍛える”6メニュー|必須+2つを選択。
6つの自体重トレから体調に応じて日替わりで4種を選ぶ。技術の習得に伴い、腰痛は解消され、機敏に動ける下半身へとバージョンアップし、美しい立ち姿に生まれ変わる。これをこなして初めて、筋肥大を狙うウェイトトレーニングへの道が開ける。
1.【必須】ヒップスラスト(15回)
大臀筋を中心にヒップ上部を強化。
- 椅子の座面に、肩甲骨の下辺りを乗せて腕を胸の前で組む。
- 足は肩幅と同程度開いて膝を90度曲げる。
- お尻を引き締めながら腰を持ち上げて、最も高い位置で3秒間静止し戻る。
2.【必須】ブルガリアンスクワット(左右各10回)
- 膝下くらいの高さの台に後ろ足の爪先を乗せ、前脚は膝が爪先より出ない位置で曲げる。
- 手を椅子の背もたれに添えながらゆっくりと腰を下ろし、臀部の筋肉が伸びたのを感じたらお尻から上げる。重心は前足に。逆側も同様に。
Point
お尻を引きつつ前足体重の絶妙なバランスで上がる。
3.プランクジャンピングジャック+足上げ(10回)
中臀筋と大臀筋、腹筋群に働きかける強度高めの種目。
- ふくらはぎにバンドを巻いてうつ伏せになり肩の真下で肘をつき、爪先を立てる。
- 上半身はそのままにジャンプして足を開閉させたら、片足ずつ腰の位置まで上げて下ろす。
4.カートシーランジ(左右各15回)
- 上体を倒し、腰幅で立って膝を軽く曲げる。
- 胸の前で軽く手を組み、片足を大きく斜め後ろに引きながら腰を落とす。
- 後ろ脚の膝が床につく寸前で体勢を戻す。その際の重心は前足に置くことで、大臀筋がしっかりと伸びる。
5.片足ルーマニアンデッドリフトwithミニバンド(左右各15回)
- 膝にバンドを巻き、上体を45度傾けたら、後ろ足の爪先を約1歩分後ろに置く。
- この体勢から背中と膝下の力を抜き、尻の筋肉を収縮。その反動で上体を起こし、股関節から初めの位置に素早く戻る。膝を動かさないように注意する。
6.ランジウォーク(20〜40歩)
駅の階段でも応用できる下半身トレ。まっすぐ立つ。手を胸の前で組み、お尻を引きながら片足を大きく前に踏み出す。前脚の太腿と地面を平行に保ち、前方に体重をかける。後ろ足で床を強く蹴ってお尻から立ち上がり、踵から着地する。