
教えてくれた人
満尾 正(みつお・ただし)/〈満尾クリニック〉院長。2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを開設。食事療法に関する著書多数。
断食で懸念すべき「心身へのリスク」とは?
心身の活性化に大切なのが、細胞のオートファジー機能。細胞内の不要なものを分解・浄化し、さまざまな病気から生体を守り、過剰な老化を抑制してくれる、生命維持に欠かせない機能だ。以前は、飢餓状態を作ると機能を促進できると考えられ、断食が推奨された。
「断食は心身へのストレスが増すリスクも懸念されます。腹7分目を三食心がけ、ほどよい空腹感を感じられるようにすれば、オートファジー機能は維持できます」(医学博士の満尾正さん)
空腹を感じることでホルモンの分泌は促され、解毒システムを担う胆汁が生産され、体内時計の乱れが改善される。さらに、気をつけたいのがプロテインやアミノ酸の過剰摂取だ。
「代謝するために肝臓の負担が増し、肝機能が低下。心身の疲労を促進する可能性もあるので問題です。偏食をやめると、疲労感が軽減することもありますよ」
「正しいファスティング」のための3箇条。
1.絶食より、三食腹7分目を目指す。
絶食後の食事で血糖値の急上昇が起き、心身への負担が増す可能性がある。また絶食時の疲労感や頭痛などもストレス。適量を定期的に食べるのがおすすめ。
2.プロテイン、アミノ酸は適量を維持。
タンパク質の推奨摂取量はアメリカでも日本でも、体重1kgにつき0.8g程度。過剰に摂取すると代謝に負担がかかり、肝臓や腎臓の機能低下につながる。
3.ほどよい空腹感が心身へのごほうび。
多くの人が普段食べすぎていて、間食も多く、内臓が休む時間がないのが問題。空腹感が心身を活性化させる鍵。何を食べるかだけではなく、食べ方にも注目を。
正しいファスティングを実践することで得られる効果。
- 細胞の疲労回復。
- 腸内環境の改善。
- 体内時計の乱れを改善。
- ホルモンの分泌を促進。