香り豊かなハーブ「ラベンダー」で作る、何にでも合う万能だれとルームスプレーの作り方。|6月のハーブ・ラベンダー

花だけでなく、葉っぱだけでもなく、その植物の持つポテンシャルを最大限に引き出すためにはどうすれば良いのか。〈ハーブスタンド〉の平野優太さんは、日々、在野の研究者のようにハーブの持つ魅力を探求しています。その成果の一端を教えてもらう連載「ワンモア・ハーブ」。第8回は、花を使うイメージの強い「ラベンダー」について。

取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 料理/阿部匠海

ラベンダー

ラベンダーには系統がいくつもあります。今回使っているのは、イングリッシュ系とスパイク系のミックスである、グロッソという品種。少しセージのようなニュアンスが感じられるラベンダーですね。

ポプリや食用で活用する場合には花を使うことが一般的ですが、香りが強いため、少し苦手な方もいるかもしれません。「芳香剤のよう」と言って、敬遠される方もいらっしゃいます。そこでラベンダーの花のニュアンスが強すぎない茎や葉っぱの部分を使うことも提案しています。花に比べて香りが優しく、バランスも良く、使いやすいからです。

元々は、花が摘まれて捨てられてしまう茎の部分も、「茎茶」のように活用できるのでは? と考えたところから始まりました。いつも捨てられている茎の部分にも、もしかしたら別の良さがあるのでは、と。

ラベンダー花が持つ香り成分は枝葉にも含まれ、乾燥させた枝葉はシロップの香り付けに使ったり、ハーブティーにブレンドしたり、扱いやすく、アレンジもしやすい。しかも年中収穫する事もできる。

花は時期が限られますが、香りを楽しむのであれば、葉っぱや茎でも良い。ぜひいろんな方に、使ってもらえたら嬉しいと思っています。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
ニラとラベンダーの万能薬味だれ

ー材料ー

・ニラ 半束
・生姜 25g
・ラベンダー 8g(葉っぱ)
・魚醤or白だし 12g
・オリーブの実 30g
・オリーブオイル 15g

ー作り方ー

ニラ、生姜、オリーブをみじん切りにする。

同じようにラベンダーの葉もみじん切りに。

オリーブオイル、鮎の魚醤(ナンプラーや白出汁でも)を加える。

よく混ぜる。

カツオのたたきに乗せて完成。魚だけでなく、豚のしゃぶしゃぶなどにもとてもよく合う。

ニラとラベンダーは、実は香りの相性がとても良いんです。オリーブや魚醤の塩味と合わせると、和洋問わず、万能ソースとして使えます。ケッパーも合いますね。山形の郷土料理である「だし」のようなイメージも。ラベンダーは花よりも葉の方が、口に当たらず、しかも香りもマイルドで使いやすいんです。

●「使う」
ルーム・スプレー

―材料―

・ラベンダーの枝葉 約15g〜20g
・水 150ml〜200ml
・無水エタノールまたは消毒用エタノール 10ml程
・スプレーボトル

沸いた湯にラベンダーを入れる。高温で煮出すと香りが飛んでしまうので、再び沸騰したら火を消して、冷ましながら抽出する。

急須に移して、冷ます。

容器に入れて、エタノールと混ぜる。

ラベンダーにはリラックスする効果があるので、就寝前にルーム・スプレーとしてシュッとひと吹きするのがおすすめです。エタノールを混ぜているのは、保存のため。それでも1週間程度で使い切るようにしてください。他の植物を入れてブレンドする際には、合わせるハーブの効能が互いの良さを消さないように注意してください。

6月のハーブスタンドの様子

6月の富士北麓はいよいよ夏の暑さも感じ始め、動植物が活発に動き出すのを感じます。ちょうど旬のモミジイチゴやアブラチャン、実山椒など、山の果実も実り始める時期です。