気持ちのいい稜線が続く、高山植物の楽園。|5月の山・平標山
季節によって異なる表情を見せる日本の山。その時期だけに出会える風景や体験を求めて、写真家の根本絵梨子さんに毎月おすすめの山と、その歩き方を教えてもらいます。
interview, text: Yuriko Kobayashi photo: Eriko Nemoto
今月の山 平標山
|群馬県・新潟県
標高/1,984m(平標山)
おすすめコース
1日目
平標山登山口(2時間)松手山(1時間10分)平標山(40分)平標山ノ家
歩行時間計:3時間50分
2日目
平標山ノ家(45分)分岐(55分)平標山登山口
歩行時間計:1時間40分
夏を待ちきれず、高山植物たちに会いに行く。
5月、関東近郊の中低山では日差しが強くなり、初夏の陽気です。これからやってくる夏山シーズンに胸が高鳴る時期ですが、北アルプスなどの高山にはまだ雪がたっぷり残っていて、登山を楽しむにはもう少し時間がかかりそう。
そんな5月に必ずといっていいほど足を運ぶのが平標山。私は群馬県で生まれ育ったので、平標山周辺は小さな頃から父親と一緒に歩いた思い出深いエリアです。
この時季、平標山にはたくさんのハイカーが集って、週末はとても賑やか。お目当ては5月末ごろから咲き始める様々な高山植物で、シラネアオイやハクサンコザクラ、ハクサンイチゲ、チングルマなど、可憐なお花に出会えます。
高山植物といえば日本アルプスなど2,000m以上くらいの高い山でしか出会えないかと思われがちですが、平標山の標高は1,984m。それでも多様な高山植物が生育するのは、雪と地形が関係しているそうです。
平標山がある谷川連峰は日本有数の豪雪地帯。たっぷりと積もった雪が春に少しずつとけることで植物に水分が行き渡り、たくさんのお花が咲くのだそう。また雪の重みや雪崩などで木々が育ちにくく、森林限界が低いことで、お花畑が形成されやすいそうです。平標山は、どこよりも早く高山植物に会える山ということで、多くのハイカーがやってくるというわけです。
待ちに待った高山植物の季節ということで、昼間は花を求めて登山者でかなり賑わうので、日帰り登山者がいなくなる夕方に山頂付近にまた行くのがおすすめ。そのために私は山小屋に一泊してのんびりと歩くことにしています。登山道脇でもお花の姿は見えますが、見事なお花畑があるのは、平標山の山頂から隣の仙ノ倉山へ続く稜線のあたり。仙ノ倉山の山頂まで行くのは大変なので、途中でお花を見て、そこから引き返すのが定番です。
宿泊する平標山ノ家はご夫婦で営むアットホームな山小屋で、この時季には小屋の周りでとれた山菜を使った天ぷらなど、手作りの料理が並びます。時間があれば南側にある大源太山へ続く道でもお花を見て、翌日はのんびりと下山します。
山頂を踏むことにこだわらず、お花を探して歩く山旅は、とても自由で豊か。晴れた日には気持ちのいい稜線歩きができて、夏山を先取りできる気持ちのいい山行ができますよ。
豪雪がもたらす初夏の美しい風景。
5〜6月にかけての平標山は、高山植物が咲くベストシーズン。山麓はポカポカ陽気だが、稜線に出ると風が強く吹くことがあり、急な雷雨にも注意が必要だ。
平標山登山口からの松手山コースは急な登りが続くため、体力配分や水分摂取に気をつけること。雪解け時期は雪を踏み抜く危険があるので、注意して歩くこと。初心者はストックなどがあるといい。また雪解けで道がぬかるんでいることがあるので、防水性の高い登山口は必須。雨具や防寒具もしっかり準備すること。
5〜6月にかけてはハイカーが多く、登山靴の駐車場が早い時間から満車になることも多い。公共交通機関を使う、平日に登山するなど、工夫するとよい。
おすすめスポット情報
平標山ノ家
平標山頂から300mほど下ったところにある山小屋。電気はほぼなく、夜になるとランプが灯る素朴な雰囲気で、手作りの食事も好評。テント泊も可能。要予約。
090-7832-0316
https://tairappyouyama.wixsite.com/yamanoie
猿ヶ京温泉 いこいの湯
群馬県みなかみ町にある共同浴場。地元の人に愛されてきた湯で、レトロな雰囲気がたまらない。源泉掛け流しの熱湯は登山の疲れを癒やすのにぴったり。
群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉346
0278-66-0296
コルネット
みなかみ町にあるカフェ。手作りのピザや手打ちの生パスタは忘れられない味で、車で少し足を延ばしてでも立ち寄りたい店。デザートにはこちらも手作りのバスクチーズケーキを!
群馬県利根郡みなかみ町下津1819ー1
0278-62-1192
https://www.instagram.com/cafecornett/












