戦術の美しさが魅力。女子野球の世界に迫る!

「女性選手にも野球を続ける道を」と、3度胴上げの名投手、宮本和知さんが動いて発足した巨人軍女子チーム。宮本さんと歴代主将に、その魅力や活動内容を尋ねた。

取材・文/鈴木一朗 撮影/内田紘倫

初出『Tarzan』No.922・2026年3月26日発売

宮本和知さんと、初代キャプテンの金満梨々那さん、2代目の田中美羽さん、現キャプテンの中江映利加さん
Profile(写真左から)

田中美羽(たなか・みわ)/外野手。1998年生まれ。埼玉西武ライオンズ・レディースなどを経て入団。

中江映利加(なかえ・えりか)/捕手。1998年生まれ。阪神タイガースWomenを経て入団。

金満梨々那(かねみつ・りりな)/捕手。1999年生まれ。平成国際大学から入団。

宮本和知(みやもと・かずとも)/初代監督。巨人軍の元左腕エース。1990年代に先発として活躍。2022年11月の女子チームの発足とともに監督に就任し、来年度からは野球振興のための新規事業に携わる。

女子野球とは?

硬式の女子野球の基本はプロ男子に準ずる。塁間、ピッチャー間の距離は同じ。DH制を採用。違いは金属製バットの使用と1試合7回制であること。

パワーがある男子と違い、主に組織力で勝負する女子には別の魅力がある。読売ジャイアンツ女子チームは関東女子硬式野球連盟が主催する、全12チーム参加のヴィーナスリーグで昨シーズン優勝した。野球好きなら、ぜひ一度は見てもらいたい!

男子とは一味違う! 知られざる女子野球の世界。

2022年の発足以降、昨年はリーグ優勝を果たすなど、その規模も成績も進化を続ける巨人軍の女子チーム。その土台を作ったのが宮本和知さんだ。

3月で監督を勇退するが、野球が女性選手の将来の選択肢のひとつとなることを願って、誠心誠意尽くしてきた。

ボールを投げる姿

そんな宮本さんと、初代キャプテンの金満梨々那さん、2代目の田中美羽さん、現キャプテンの中江映利加さんに話を聞いた。

「女子はプロではないんです。今はクラブチームという位置づけでプレーしているんですよ」(初代監督・宮本和知さん)

「チームの練習は週3回。普段の仕事は球団勤務だったり、子供たちに野球の指導をしたり」(初代キャプテン・金満梨々那さん)

女子野球の奥深さは、その戦術にあると宮本さんは語る。

宮本和知さんが考えている様子

「男子のようなパワーはないから、その分サインプレーなど細かいところが面白い。作戦も多いから、指揮を執っていて楽しいんですよ。日本野球の原点であるスモール野球だから、野球ファンは見ていてたまらないと思います。僕が特に好きなのはダブルプレー。男子にはない“間”としなやかさがあるから、見ていてすごく美しいんです」(宮本さん)

「ライトゴロを狙って守備をするなんていうのも、男子の野球では考えられないですからね」(金満さん)

「うちのチームは恵まれていると思いますよ。だって、ジャイアンツの男子選手にアドバイスをもらえたりできるんですから」(宮本さん)

「子供のころから憧れだった、ジャイアンツの選手を間近に感じられるというのも、野球をやっていてよかったと思いますね」(2代目キャプテン・田中美羽さん)

女子選手が集まっている様子

バッドを振る様子

選手だからこそ知る、宮本さんの素顔を尋ねると……。

「宮本監督、涙もろいんですよ(笑)。そして熱い。また、いつもバッティングピッチャーをやってくれるのですが、ピッチングマシンかなと思うほどコントロールが正確で驚きます」(田中さん)

キャッチボールをする様子

今後の女子チームの目標は?

「女子の試合でも有料の時があります。ただ、プロになるにはまだ力が足りない。これから先、努力しないといけません」(宮本さん)

「子供たちが大人になった時に満員の中でプレーしてほしくて、そのために私たちが今から女子野球の魅力をもっと伝えていかなくてはと思っています」(現キャプテン・中江映利加さん)