お弁当を箸でつつきながら、大脇千加子さんと旅先で健康でいる方法を語り合う。|麻生要一郎のテーブル・トーク

料理家・麻生要一郎さんは、人を招いてテーブルを囲むのが大好き。気心知れた友人から、会ってみたかったあの人まで。「テーブル・トーク」ではさまざまなゲストを招いて手料理を楽しむ時間を音声と写真でドキュメントします。第10回は〈WONDER FULL LIFE〉の大脇千加子さんをお招きしました。

text: Sogo Hiraiwa photo: Momoka Omote podcast production: Sota Hamamoto 

ここは料理家・麻生要一郎さんの自宅。悩める若者から酸いも甘いも知るアーティストの先輩、旧知の仲から初めましての人まで、夜な夜な一癖も二癖もある人たちが円卓を囲み、麻生さんの手料理をほおばりながら日々のあれこれを語り合います。

この日、麻生さんが自宅に招いたのは、染や織物など多分野の日本の作り手たちと協働しファッションやプロダクト、アートに展開する〈WONDER FULL LIFE(ワンダーフルライフ)〉のディレクターを務める大脇千加子さん。麻生さんとは一緒にライブイベントを開催する間柄であり、またモロッコの僻地への長い車旅をともにした旅行仲間でもあります。

テーブルゲスト

大脇千加子(おおわき・ちかこ)/〈WONDER FULL LIFE〉主宰。2005年、自身のブランド〈Kitica〉を立ち上げ、出産を機にキッズブランド〈cokitica〉もスタート。ブランドの活動休止後の2016年、新たな創作活動として〈WONDER FULL LIFE〉 を始動する。染や陶芸、真鍮や織物など、さまざまな分野の日本の作り手たちと協働しファッション、プロダクト、アートに展開。展示会やイベントの開催、オリジナルの作品制作、書籍の発表、ライブなど幅広い活動を行う。

大脇さんから麻生さんへ。料理のリクエスト

麻生要一郎 様

いつもありがとう。

たくさん食べてきたようちゃんのごはんの中からひとつリクエストするのが難しくて100週まわってお弁当に辿りつきました。

わたしにとってようちゃんのお弁当は縁結びのようにここぞという時に食べさせてもらってきた、とても特別なものです。美しく巻かれた卵焼き、ひとつとして同じ形のない唐揚げ、丁寧に刻まれた野菜がぎゅうぎゅうに詰まってる(なんなら重なり合って)。

言葉を語らないお弁当の佇まいは、ようちゃんの姿勢を物語っている気がしてひとつ食べるたびに背筋が伸び、美味しさに心が解けていくのです。

手間も暇もかかってしまうリクエストでごめんなさい!

一緒に詰めるのでお手伝いさせてね。

とっても楽しみにしています。

大脇千加子

二人の最初の出会いから、旅先に必ず持っていく梅肉エキス、家族が寝静まった後にいく銭湯の話まで。お弁当をほお張りながら交わさせた大脇さんと麻生さんの「テーブル・トーク」の模様はこちらから。

完成したと思いきや、具の上にどんどん具が盛り付けられていくお弁当。ギュッと蓋で押し込んでなんとか箱に収める。

筆ペンで書き下ろしたお弁当のお品書き。

麻生さんが長年愛用している、〈WONDER FULL LIFE〉の展示会で出会った名刺入れ。

「具が重なってる!」と嬉しそうな大脇さん。ふたりの出会いもお弁当がきっかけだった。

この日は、お弁当の残り具材を入れたお吸いものもテーブルに並んだ。卵焼きや高野豆腐がゴロゴロと入り、メインボックスの脇を彩る。

麻生さんから託された芭蕉布を大脇さんが仕立て直したエプロン。「ボロボロになっても気にせず使うのがようちゃんらしいね」という大脇さん。

大脇千加子さんこと、チコちゃんへ

テーブルトークにご出演ありがとございました。

2025年は、たくさん一緒に旅をしたような気がします。特にモロッコの旅は、4泊6日(飛行機の遅延で結局5泊7日)朝から、晩まで、ずっと一緒でした。

税関で怪しまれ、砂埃にまみれ、空になったはずのスーツケースをまたパンパンにしつつ、トイレは流れず、眠い中民族音楽で踊って……。

旅慣れているのか、旅慣れていないのか、もしくは慣れすぎちゃったのか、空港を走って、走って、走りまくったような気がします。

他にも、京都はじめ新幹線にも、たくさん一緒に乗って東奔西走。

待ち合わせをしなくても、京都の街角で、表参道の路地、必要な時に会えてしまう僕たちは、ちょっと特殊な関係かもしれません(テレパシー)。

ずっと昔からの関係ではなくて、今の年齢で出会ったからこそ、お互いの積み重ねてきたことを理解して尊重し、ほどよく高めあえるのだと思います。

定年という概念がない、生涯現役の我々にとって、公私共に良い仲間がいるということは、ウェルビーイング、そしてまさにWONDER FULL LIFE!

これからも、一緒に駆け回りましょう。

麻生要一郎

本日の一品:お弁当の残りのお吸いもののつくりかた

―材料(4人分)―

お弁当を作る時、おかずの分量が足りなくなると困るし、急に1個追加とかもあるので、何かと多めに用意します。そんな日に作るのがこのお吸いもの。

・出汁 720ml
・小松菜(煮浸しの残り) 適量
・油揚げ(煮浸しの残り) 適量
・卵焼き(切り落とした端っこ) 適量
・高野豆腐(煮物の残り) 適量
・スナップエンドウ(塩茹でした残り) 適量
・にんじん(型抜きしたもの残り) 適量

手順

1. 出汁(昆布と鰹の合わせ出汁)を鍋で沸かし、お弁当のおかずの余りものを食べやすい大きさに切って、加えていきます。卵焼きの端っこ、小松菜とお揚げの煮浸し、高野豆腐の煮物、スナップえんどう……お味噌汁だと、相性があるけれど、お吸い物は、どんな具材も合わせやすいもの。これと同じ余りものは、僕のお弁当じゃないと出ませんね、何もお弁当の余りものじゃなくても、冷蔵庫にあるものを生かしたら良いのです。かまぼこ、きのこ、もずく、海苔、貝割れ…。案外美味しいものです。

2. 味付けは、出汁のままでも、醤油や塩を少々加えても。

ポッドキャスト出演

麻生要一郎
大脇千加子
井手裕介(Tarzan Webプロデューサー)
平岩壮悟(Tarzan Webライター)

ポッドキャストスタッフ

ジングル・BGM:田中堅大
編集:浜本壮大