トレーニングのやる気が出ない時のスイッチ・オン行動10選。
「今日はやめとこうかな」と思ったあなたへ。脳科学的に正しいほんの小さなアクションが、続くカラダへと導きます。
text: Kei Nakano illustration: ebiayano
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教えてくれた人
毛内拡(もうない・ひろむ)/お茶の水女子大学ヒューマンライフサイエンス研究所助教。1984年、北海道生まれ。近著に『読書する脳』(SBクリエイティブ、2025年)、『世界一やさしい脳科学入門』(河出書房新社、2025年)。
やる気スイッチを入れるアクション10か条。
やる気が出ない日は往々にして訪れる。どうしてもその気になれない日のお守りとして、すぐできる下の10か条を覚えておこう!
- ハードグミを嚙む。
- 側頭部をマッサージする。
- 肺の中にある息を吐き切る。
- ベッドの中で勝負曲をワンコーラス。
- 朝なら、まずカーテンを開ける。
- 気が散るのを防ぐため、部屋を暗くする。
- トレーニングの順番をサイコロで決める。
- 片足だけ靴下を履く。
- ノートに「やる気が出ない」と愚痴を書く。
- 友達とビデオ通話しながらトレーニングする。
脳科学者が考える「やる気スイッチ」の正体。
これらの10か条を教えてくれたのは、脳科学者の毛内拡先生だ。
「“これをやればいいことがあるかも”と未来の報酬を予測する脳内物質がドーパミンです。小さな行動をひとつ決めて、終わらせる。“できた”の手応えが次の一歩を呼んで、やる気はあとから追いかけてきます。好きな曲を歌うのもいいですね。側頭部まわりをやさしくほぐしたり、肺の中の息を吐き切ったり、ハードグミをしっかり嚙んだりする。嚙むという行為と、ドーパミン系との関連を示す動物研究報告もあります。こうした小さな行動が、気分や注意の切り替えに役立ちます」
よく「やる気を出すには、まずやり始めること」と言う。精神論のようだが、実は筋が通っている。
「動作の計画を立てたり、実際の動きを指令するのが脳の中央付近にある大脳基底核。実際に行動して、それが正しいのかをモニタリングするのが脳周辺部の大脳皮質です。やる気や行動の開始には、その2つを結ぶ回路が関わっていて、まず小さなことから動き始めることで、この回路が回りやすくなる面があります。淡蒼球という部位は、その回路を構成する重要な部位のひとつ。近年は、その淡蒼球が“やる気スイッチ”ではないかといわれているんです」
やる気が出ないときは、まず“カーテンを開ける”などの簡単な行動を頭の中で計画し、完了させる。その一連の動作で淡蒼球に電気信号を通すことが重要なのだ。

顔の正面から見た脳の断面図。行動することで大脳基底核と大脳皮質のループが回り、その回路内にある淡蒼球を通ることで、やる気が出ると考えられている。
長期的にトレーニングのモチベーションを保つには?
もっとも、ここまで紹介したアクションはあくまで特効薬。現代人はスマホや情報過多によって脳疲労が蓄積していて、長期的にトレーニングを続けるには、モチベーションを保ちきれないという。
ならばトレーニングをしながら脳疲労を解消できる、一石二鳥な行動はありますか? そう質問すると、こんな分類を教えてくれた。
「1.新奇体験(いつもと違うことをする)、2.情動喚起(感情を動かす)、3.社会性(誰かと一緒にする)の3つに当てはまることをやってみましょう。
1なら部屋を暗くしてダンベルトレをしたり、行うメニューの順番をサイコロで決めてみたり、片足だけ靴下を履いてトレーニングしたりするなど、普段しない行動をプラスしてみる。2ならノートに“やる気が出ない”と愚痴を書く。3なら友達とビデオ通話しながらトレーニングをするのも手です」

