火山と高山植物が織りなす、北の山の風景。|7月の山・旭岳
季節によって異なる表情を見せる日本の山。その時期だけに出会える風景や体験を求めて、写真家の根本絵梨子さんに毎月おすすめの山と、その歩き方を教えてもらいます。
interview, text: Yuriko Kobayashi photo: Eriko Nemoto
今月の山 旭岳
| 北海道
標高/2,291m(旭岳)
おすすめコース
大雪山旭岳ロープウェイ姿見駅(20分)姿見の池(2時間30分)旭岳(1時間50分)姿見の池(15分)大雪山旭岳ロープウェイ姿見駅
歩行時間計:4時間55分
どこまでも続く、高山植物の花の絨毯。
7月は本州ではまだ梅雨ですが、各地の山々では山開きを迎え、本格的な夏山シーズンを迎えます。どこの山へ行こうか、そわそわと胸高鳴る時期ですが、真っ先に「行きたい!」と思うのは、北海道の大雪山(たいせつざん)です。
大雪山では例年、7月上旬に高山植物の開花が始まり、広大なお花畑が出現します。特に真っ白な花を咲かせるチングルマの大群落は見事で、どこまでも、どこまでも花の絨毯が続いている、夢のような風景が見られます。北アルプスなどでもお花畑は見られますが、そのスケールはさすが北海道!という感じで、北の山ならではの魅力です。
とても大きな大雪山。ヒグマの心配もあるし、少し怖いなと思う人もいると思います。そんな方には、ロープウェイを使って登れる旭岳がおすすめです。姿見駅から20分ほど歩くと、もくもくと噴煙を上げる旭岳の姿が見えてきます。足元にはチングルマのお花畑。ダイナミックな火山と可憐な高山植物のコントラストがよくて、絶好の撮影スポットです。
活火山である旭岳では、噴火によって運ばれた大きな岩があったり、足元には色とりどりの石が見られたり。なんだか違う惑星に来たような不思議な光景が広がります。緑があふれる山とはまた違った、様々な造形や色。それらに出会うたび、シャッターを切りたくなってしまいます。
山頂は気持ちよく開けていて、晴れれば360度の大パノラマ。どこまでも続く大雪山系の山々が見えて、次はあの山へ、もっと遠くまで、と夢が広がります。帰りは同じ道を引き返しますが、今度は足元をよりじっくりと見ながら、小さな高山植物を探して歩きます。本州で見たことがある花でも、少しサイズが大きかったり、形が違ったりしていて、後で調べるとそれらは、北海道の固有種だということがわかりました。同じ日本の山でも、そこに息づく生命は違っている。そんなことに気付けるのも、北海道の山のいいところです。
下山後は若い人たちが新しいカルチャーを作り続けている東川町に滞在して、街の時間もたっぷり楽しみます。旭岳のお膝元である東川町は、北海道で唯一、上水道がない町です。各家庭では大雪山系の湧き水をポンプで汲み上げ使っていて、その水のおいしいこと! 東川町で食べるもの、飲むもの、すべてがおいしいのは、大雪山のおかげなのです。街で過ごしながら、山を感じる。そんな素敵な体験をくれた旭岳への旅でした。
手軽な山でも、ヒグマ対策は万全に。
旭岳はロープウェイで標高1,600mまで上がれることもあり、大雪山系の中でも比較的登りやすい山。ただロープウェイ姿見駅から山頂まで樹木がなく、風を遮るものがないので、夏でもしっかりとした防風対策を忘れずに。
登山道には足を取られやすい砂礫や岩が多く、特に下山時にはスリップしやすいため、足首をホールドする登山靴を。初心者はストックなど体を支えるものがあると安心。
旭岳周辺はヒグマの生息地で、目撃情報も多い。入山にあたってはヒグマ用の熊スプレーを必ず携帯し、ビジターセンターなどで直近の出没状況を確認すること。
おすすめスポット情報
居酒屋 りしり
大雪山系の雪解け水を使った料理は、何を食べてもおいしい! 北海道全土からその時期おいしい食材を集めた一品料理は種類豊富で、日本酒などお酒も充実。東川町で作られるお米や味噌、野菜など、ローカルの食も楽しめる。
北海道上川郡東川町東町1-6-14
0166-82-4088
https://www.instagram.com/rishiri_higashikawa/
SALT
東川カルチャーを牽引するアウトドアと暮らしの道具の店。上質なライフスタイルウェアや、フィールドで活躍するウェアやギアが揃う。街と山をシームレスに繋ぐようなセレクトが素敵。
北海道上川郡東川町東4号南1
0166-82-6660
https://salt-life.com/
Less Higashikawa
長く愛せる日用品やウェア、グロッサリーを扱うライフスタイルショップ。道内の作家が手がけるクラフトにも出会える。
北海道上川郡東川町南町1-1-6
0166-73-6325
https://less-web.shop/
NATURES Brewing
東川町に今年6月オープンしたブルワリー。山を愛するアウトドアズマンたちが作った醸造所で、自分たちが遊ぶフィールドである大雪山系の雪解け水でビールを造る。タップルームでは飲み比べセットも。
北海道上川郡東川町東町3-6-8
0166-56-1307
https://www.instagram.com/natures_brewing/
本屋 積日
こちらもニューオープンしたばかりの書店。元米倉庫をリノベーションした空間で、店主がセレクトした新刊のほか、日用雑貨も取り扱う。地元ショップのコーヒーやビール、焼き菓子なども楽しめる。
北海道上川郡東川町南町3-1-1
0166-56-0099
https://www.instagram.com/tsumuhi_books/











