伸ばす前に、緩める。筋肉痛を抑えるマッサージガン活用術。
ストレッチで気持ちよくカラダを伸ばしたい。でも張りが強すぎたり、動きが鈍かったりする日もあるだろう。そんな時は、まず緩めてから伸ばす、という考え方もある。そんな“もうひと手”の道具として頼りになるのが、マッサージガンだ。
text: Kenji Inoue photo: Shintaro Yoshimatsu
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Profile
宮﨑喜美乃(みやざき・きみの)/プロトレイルランナー。高校・大学では駅伝部に所属し全国駅伝にも出場。大学院時代に専攻した登山の運動生理学の研究をきっかけに山に魅せられ、2022年からプロトレイルランナーに。23年UTMB本戦で15位、25年Tarawera by UTMBで優勝。
通常5日続く筋肉痛が、2日後には消えている。

トレイルランニングは距離によっていくつかのカテゴリーに分かれる。なかでも100マイル(約160km)を超えるウルトラカテゴリーで活躍するのが、プロトレイルランナーの宮﨑喜美乃さん。
彼女には2つの武器がある。
「120km超のレースは、陸上競技の要素に加えて、山岳での運動時の生理を踏まえる必要がある。私は大学まで駅伝選手で、大学院では山の運動生理学を学んでいるのが強みの一つだと思います」(プロトレイルランナー・宮﨑喜美乃さん)
そしてもう一つの武器が、マッサージガン。先端のアタッチメントが高速振動し、硬い筋肉や筋膜を緩め、スムーズな動きを引き出してくれる便利なギアである。
「プロになった3年くらい前から愛用しています。ことに重宝するのはハードな練習やレースの後。使わないと筋肉痛が5日ほど続きますが、マッサージガンを用いると2日後には筋肉痛が消えて、次に向けて練習を再開できます」
トレランに限らず、通常のランニングや筋トレの後でも、ストレッチ+マッサージガンの相乗作用で早めにリフレッシュできれば、つねにベストなコンディションでトレーニングに臨めるはずだ。
これまでの経験を踏まえたその活用術にも特徴が2つある。
1つ目は、アウターマッスルとインナーマッスルのバランスを整える目的での使用。
「ついついアウターばかり使いたくなるけれど、インナーが働かないとフォームは崩れる。酷使したアウターをマッサージガンで十分にほぐしておくと、その分だけインナーが機能しやすくなります」
2つ目は、筋肉の流れに沿って動かしながら押し当てること。
「すると血液とリンパの循環が促されてリカバリー効果が高まるという実感があります」
海外レースを転戦する彼女は、飛行機による長距離移動が多い。機内でじっと動かさない時間が長くなると筋肉も筋膜も固まり、到着後のパフォーマンスが落ちる。それを防ぐためにマッサージガンを機内へ持ち込む(*)。
「狭い機内ではストレッチもできないから、マッサージガンで全身を緩める。機内って静かなようでエンジン音などで案外騒然としているので、音も振動も思ったより気にならない。着いて即全力で観光したい人にもお薦めです」
*バッテリー容量などにより、機内持ち込みが制限される場合がある。事前に航空会社に確認が必要。
走った後にほぐしたい5つの場所。
お尻

お尻のアウターである大臀筋と中臀筋も股関節を動かすときに働きやすいものの、できればその仕事は大腰筋に任せてオフにしておきたい。使ってしまったらしっかりケアする。
太腿

ランは本来股関節中心の運動。股関節はインナーの大腰筋(腸腰筋)で駆動すべきだが、疲れてくるとアウターの太腿の大腿四頭筋などで動かしがちになり、ガチガチに固まる。
肋骨の下

トレランは上りで激しく呼吸するし、下りでは体幹でも着地衝撃を受け止めなくてはならない。しかもレースは食べながら走るから、横隔膜周辺には疲れが溜まりやすいのだ。
足裏

着地時の衝撃を受け止めるのは足裏にあるアーチ。練習やレース後はアーチが落ち込んでいるので、マッサージガンで復活させる。ふくらはぎをほぐすのもアーチ復活に役立つ。
ふくらはぎ

アウターの腓腹筋とインナーのヒラメ筋のキワに当ててアウターとインナーを剝がす。ここに圧をかけた状態で足を動かすと血液の流れが良くなり、筋肉はより緩みやすくなる。
《Hypervolt Go 3》
試してもらったマッサージガン《Hypervolt Go 3》は外出先での使用も想定した軽量コンパクトモデル。30,800円。WEBサイト


