
Profile
ラムダン・トゥアミ/アーティスティックディレクター。総合美容ブランド〈オフィシーヌ・ユニヴェセル・ビュリー〉を蘇らせた、立役者。今夏はアラスカの山を目指す。
澄んだ空気を吸い込み、風の音に浸る。山を感じるのに余計な荷物はいらない。
水と風を寄せつけない綿100%の「ベンタイル」生地のアノラック、革と天然ゴムのシューズ、アセテートで作ったサングラス。
「この3点があれば十分です」
そう話すのは、石油素材を用いない服づくりを掲げる〈DIE DREI BERGE〉の主宰者、ラムダン・トゥアミさんだ。これまで、アルプス、パタゴニア、アンデスなどの峻峰を歩いてきたという。そう聞くと、彼の装備では心許ない気もするが。
「むしろこれはクラシックなスタイルなので、何の心配もありません。1960年代のハイカーにいたってはジーンズを穿いてたくらいだし。真偽が気になるならカウボーイ映画を観てみてほしい」
古来の素材を貫く理由もある。
「摩擦によってすり減った化繊は、マイクロプラスチックとなって山中に落ち、流れていく。そんなふうに地球を脅かす存在になりたくない。これまで崖から落ちそうになるなど、20回ほど命を失いかけたことがあります。でも、それは装備とは関係のないところで起きました。ギアよりも知識と技術を身に付ける方がよほど大事です」

〈DIE DREI BERGE〉アノラック、トレッキングシューズ、サングラス。アルパカが草を食むアンデスの高地でも、ニットと綿のショーツで快適に歩いた。

