豆腐にはオリーブオイルを。今日からできる減塩テクニック10選。

こと高血圧な人に贈る、今日から実践すべき減塩テクニックを紹介。しょっぱいものを食べた時の対策や、朝ごはん、ランチでの心構えを、専門家が伝授する。

取材・文/井上健二 取材協力・監修/渡辺尚彦(日本歯科大学生命歯学部客員教授)

初出『Tarzan』No.898・2025年3月6日発売

減塩テクニック 豆腐にはオリーブオイルを。
教えてくれた人

渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)/高血圧専門医、日本歯科大学客員教授。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。東京女子医科大学教授、早稲田大学客員教授などを経て現職。1987年から自らの血圧を30分おきに測り続けて研究に活かす。医学博士。

1.いますぐ実践・モーニング減塩。

1位朝に減塩

血圧は寝ている間は低く、朝目覚める前からホルモンなどの働きで少しずつ上がり始め、活動の準備へ移る。朝食で塩分を摂りすぎると血圧は余計に上がりやすいから、朝食こそ減塩すべきなのだ。

先生のお薦めはフルーツグラノーラ+牛乳の組み合わせ。「フルグラ1食50g+牛乳200mgで塩分量はおよそ0.4gに抑えられます」。外食で減塩するのは難しいが、朝食なら自宅で食べられるから絶好の減塩チャンス。すぐ試せてハードルも低い。

2.朝は和定食ではなく洋定食を選ぶ。

ご飯、味噌汁、干物、梅干し、お浸し……。和食の定番的朝メシだが、これで1日の塩分摂取の上限6gを軽く超えてしまう恐れがある。味噌汁、干物、梅干しにはそれぞれ2g前後の塩分が含まれるからだ。

「味噌汁の塩分は血圧に響かないという報告もありますが、和定食が塩分リッチなことに変わりはありません」。ホテルなどの朝食で和洋が選べるなら洋食をセレクト。トースト、ハムエッグ、野菜サラダといった献立なら和定食より塩分は抑えられる。

3.しょっぱいものは夕食で摂取。

血圧は朝高くなりやすいが、夕方以降は時刻が進むにつれて少しずつ下がる。

「ナトリウムの排出もスムーズになりますから、夕方以降は多少塩分を摂っても大丈夫。朝食と昼食でしっかり減塩していれば、夕食はややしょっぱいものを食べても許されるでしょう」。

過度な飲酒は血圧を上げるが、夕飯時に1〜2杯飲むのは平気。少量のアルコールは血管を広げ、血圧を下げてくれる。ただ、酒肴は塩分の多いものばかりなので、軽くつまむだけに留めよう。

4.醬油はかけない、つけるのだ。

4位醤油はかけない、つける

血圧を下げたいなら醬油を控えるのが鉄則。醬油は日本人の食生活に欠かせない大切な調味料だが、大さじ1杯当たり約3gの塩分を含む。大さじ2杯で1日の塩分摂取量のリミットに達してしまうのだ。

醬油の使用量を減らすのに役立つ心掛けは、醬油の使い方を「かける」から「つける」にスイッチすること。かけると食材全体に醬油が染み込み、大量の塩分を摂るハメに。小皿に醬油を注ぎ、刺し身も寿司もごく一部だけつければ醬油も塩分も大幅カット可能。

5.しょっぱいものを食べたらコンビニへ。

5位しょっぱいものを食べたらコンビニへ

外食で頼んだメニューが想像以上にしょっぱいことがある。「そんなときはコンビニへ駆け込み、野菜スティックかミニトマトを買って食べ、毒消ししましょう」。これらの食材はナトリウムを排泄するカリウムが多い。

可食部100gのカリウム量は、野菜スティックのキュウリ200mg、大根230mg、ニンジン300mg、そしてミニトマト290mg。野菜はいずれも低カロリーなので、追加で食べてもオーバーカロリーの憂いナシ。野菜がなければキウイでも。

6.枝豆に振り塩は厳禁。

塩茹での枝豆に振り塩をすると明らかに塩分過多。枝豆に限らず塩茹ですると下味はちゃんと付くから、振り塩は厳禁だ。

もう一つ塩を振りたくなる食べ物の代表といえば、茹で卵。茹で卵は塩ではなくマヨネーズをつけると美味しく食べられる。茹で卵にマヨを合わせた「ウフマヨネーズ」というフランス料理があるように相性抜群(そもそも卵黄はマヨの原料)。そしてマヨは小さじ1杯(4g)で塩分は0.1g未満だ。

7.豆腐にはオリーブオイルを。

7位豆腐にはオリーブオイルを

豆腐には条件反射的に醬油をかけたくなるが、血圧が不安ならそれは禁じ手。そのまま食べるのはいくら何でも味気ないから、代わりにオリーブオイルをかけてみよう。案外マッチするし、原料の大豆の旨みや甘みが引き立つ。

オリーブオイルをかけるなら、加工されていない良質のエキストラバージンタイプを。エキストラバージンオリーブオイルに含まれるポリフェノールやビタミンEなどの成分が血管を広げて、血圧を下げるという嬉しい報告もある。

8.減塩ランチはそばよりステーキ。

8位減塩ランチはそばよりステーキ

血圧を重視するなら、ランチはあっさりそばか、それともこってりステーキか。イメージ的にそばの方がよさそうだが、実はステーキが正解。温かいそばの汁には塩分がどっさり溶けているし、ざるそばなどの冷たいそばのつけ汁にも塩分は多い。

ステーキにはごく少量の塩を振り、粗挽き胡椒とワサビで食べれば減塩に。血糖値が気になる人にとってもそばは糖質が多く血糖値を大きく上げやすい反面、ステーキ自体は糖質ほぼゼロで血糖値は上がらない。

9.餃子には酢・コショウをつけて。

9位餃子には酢・コショウをつけて

餃子は糖質、脂質、タンパク質が偏りなく摂れるし、キャベツやニラなどの野菜もたっぷり。塩分量も1個0.2g程度。5個食べても1g前後だが、問題はタレ。タレは醬油と酢のブレンド。

「かける」より「つける」としても、餃子のタネに染み込むまで浸していたら、5個完食する頃には醬油大さじ1杯3gほどの塩分を追加摂取する恐れもある。小皿にはタレの代わりに酢&白コショウを。餃子の味わいが引き立ち、酢の摂取量も増えて血圧降下に◎。

10.反復1週間。減塩法にトライ。

1日6g未満に抑える減塩のコツはいくつかある(下参照)。でも、10g以上摂っていた人が減塩に挑むと薄味に感じて長続きしない。そこで試したいのが「反復1週間減塩法」。1週間限定で外食を避け、塩分が多い麺類などを断ち、醬油や味噌などの調味料も一切使わない。

「この“修行”明けは従来の食事を塩辛く感じ、塩分が自然に減らせる。1か月に1週間、数か月続けると味覚が変わり、薄味に慣れて減塩できます」。

減塩するコツ。
  • 醬油、味噌、ソースを減塩タイプにして使用量を減らす。
  • 麺類のスープを残す。
  • 唐辛子などのスパイス、ニンニクやネギなどの香味野菜で薄味を補う。
  • レモンなどの柑橘類、酢などの酸味で薄味を補う。
  • 昆布、鰹節、干し椎茸などの旨味を生かして薄味を補う。