香り高き「金木犀」は、桂花醤白玉と、金木犀のアーモンドミルクティーに。|11月のハーブ・金木犀
身近な植物である金木犀は、秋を知らせるように香り高い花を咲かせます。台湾では桂花と呼ばれ、茶や酒など、さまざまに活用する文化があるといいます。〈ハーブスタンド〉の平野優太さんは、海外の文化を参照しつつ、日本の金木犀の可能性を探究しています。今回で2年目を迎える連載「ワンモア・ハーブ」では、料理での使い方と、それに合わせたハーブを用いたドリンクを提案します。第13回は、金木犀について。
取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 提案/平野優太・北山詩織(HERBSTAND) 料理/阿部匠海


金木犀
日本でも庭木として馴染み深い金木犀ですが、台湾や中国では桂花茶という名前で、お茶として広く親しまれています。どのお茶屋さんに行っても、必ずあるくらいポピュラーなもの。ハーブスタンドでも金木犀の花はお茶のブレンドによく使っています。
主役級の華やかさもありますが、ほんの少し香りを纏わせるようなイメージで使うと、他のお茶を引き立ててくれます。特に僕が好きなのは、クロモジと金木犀の組み合わせです。まとめ役としても有能で、金木犀を合わせれば大抵のお茶は美味しくできてしまう。むしろ使いすぎないようにセーブをしているくらい万能な植物なんです。
ジンのような蒸留酒の香りづけに使われることも増えています。季節感の演出にもすごく適しているので、秋になると料理にもよく使われますね。観賞用としてだけでなく、食の世界でも非常に有用性が高い。銀木犀や柊など同じ木犀科の植物は、少しずつ方向性が異なる良い香りの花を咲かせるので、とてもポテンシャルを感じています。
こんなふうに使ってみるのはどう?
●「食べる」
桂花醤シロップと金木犀白玉

ー材料ー
・金木犀 乾花 20g
・水 100g
・砂糖 35g
・桂花陳酒 40g
・白玉粉 100g
・金木犀のお茶 90〜100g
・干し柿 1個
・バニラアイス 1個
ー作り方ー
金木犀のお茶を出汁のように使って白玉を作り、同じく金木犀を使ったシロップと合わせました。台湾には桂花茶と同じように、桂花陳酒という金木犀のお酒があります。食用としての文化が深いことがわかるのですが、調べてみると台湾と日本の金木犀は、少し品種が違うそう。日本の金木犀できちんと乾花を作ったら、より香りが高いかもしれません。今回は、フレッシュの金木犀も入れています。ぜひ花を収穫して、食用として使ってみてください。
●「飲む」
台湾烏龍茶と金木犀のアーモンドミルクティー

―材料―(2〜3人分)
・台湾烏龍茶(凍頂烏龍茶、鉄観音など)10g
・お湯 300ml
・金木犀の乾花 小さじ1弱
・アーモンドミルク(無糖) 200〜250ml
金木犀を使ったドリンクは甘いものが多いので、今回は香りが強めの烏龍茶とアーモンドミルクを合わせて、砂糖を使わずに仕上げました。金木犀には「βイオノン」という香り成分が含まれているのですが、これは桃や杏にも共通するもの。牛乳や豆乳ではなく、アーモンドミルクを使っているのも、桃や杏と同じバラ科だから。植物は、同じ「科」をブレンドすると相性が良く、まとまりやすいです。金木犀は喉に優しいハーブなので、乾燥してくる今の時期からぴったりのドリンクだと思います。
11月のハーブスタンドの様子

富士北麓の森はいよいよ朝晩は肌寒く冷え込んできました。紅葉、果実、キノコ、落ち葉など、秋らしい景色が広がっています。
































