立体的にカラダを整える、台北養生ツアー。

漢方薬文化や中医学の考えをベースにした台湾の注目養生スポットを、「飲む」「巡らせる」「味わう」「冷ます」「押す」「動く」の6視点からガイド。

取材・文/重信 綾 撮影/吉松伸太郎 コーディネーター/片倉真理

初出『Tarzan』No.919・2026年2月12日発売

束て、飲む、押す、台北のスポット集めた画像
教えてくれた人

張 文徳(ちょう・ぶんとく)/中国医薬大学中医学院中薬学科教授。中医漢方と教育の両面から漢方・中医医療の現状を研究。特に中薬学、生薬学、薬用鉱物学、漢方薬の品質管理、薬用植物の細胞工学、環境制御型栽培などに焦点を当てている。中医学と漢方薬をテーマにした〈立夫中医薬博物館〉の副館長を務め、中医学の歴史や知識などの普及に努める。

飲む|今日の調子は、今日の一杯から。

一滴滴(イーディーディー)。漢方甜點工作室|美味しく健康に。創造性豊かな絶品生薬スイーツ。

一滴滴のの生薬スイーツ

一滴滴

一滴滴の外装

老舗漢方薬局〈信源蔘藥行(シンユエンサンヤオハン)〉の中で2代目が営業する、生薬を取り入れたデザート店。《黑夜・芝麻杜仲生乳捲》(150元)は、滋養強壮や鎮痛作用がある杜仲と黒ゴマに、フランス産生クリームを合わせたロールケーキ。活力を補う《粉光養氣茶》(80元)や、冬虫夏草のラテ(180元)などの漢方ドリンクも充実、若い人も足を運ぶ。台北市松山區復興北路427巷20號

苦茶之家(クーツァーズーチア)忠孝店|優しい店主が煎じる、苦くもカラダをいたわり、癒やすお茶。

苦茶之家(クーツァーズーチア)忠孝店

苦茶之家(クーツァーズーチア)忠孝店

1929年の創業以来の看板メニューが《苦茶》(70元)。36種類の生薬を煎じたお茶で、カラダの熱を取る、胃腸を良くする、デトックスなどオールマイティに効果を発揮。名前の通りなかなかの苦さだが、奥行きのある味わいは定期的に飲みたくなる。白木耳がたっぷりの《桂花木耳湯》(70元)などスイーツにもファン多し。台北市大安區忠孝東路四段223巷49弄4號

巡る|削って、刺して、吸って。巡りを起こす台北メンテ。

元氣堂(ユエンチータン)|巡りを良くする「放血」は見た目も効き目もすごい。

元氣堂(ユエンチータン)の放血

元氣堂(ユエンチータン)の放血

鍼や手で行う整体法「推拿」など、中医学の治療が受けられる。日本であまり目にしない「放血」(800元)は、不調を感じる場所(今回は肩)を剣山のようなもので3秒間ほど刺し、滞っていた血をガラス瓶で吸い出す治療法。終わった瞬間から肩と腕が軽くなり、驚くほどの効果を実感。施術中は先生が常に体調を気にかけてくれるので安心だ。台北市中山區吉林路223號

信義馬光中醫(シンイーマークワンツォンイー)|経絡と解剖学を融合した即効性ある鍼で健康顔に。

信義馬光中醫(シンイーマークワンツォンイー)の鍼灸

信義馬光中醫(シンイーマークワンツォンイー)の鍼灸

1991年に設立された、台湾全土のみならず海外にも展開する台湾最大規模を誇る中医クリニックグループ。未然に病気を防ぐことを理念として掲げ、漢方や鍼灸、推拿、美容など、専門医による優れた治療を受けることができる。信義にあるクリニックは、まるで美術館のような佇まいで、心地の良い空間が広がっている。髪の毛よりも細い約70本の鍼を顔全体に打ち、ツボを刺激して血行を促す「美容鍼」(3,000元)が人気。鄭鴻強先生の手つきは素早く安定感があり、痛みはほぼなし。30分ほど時間を置いて抜針すると目がしっかりと開き、肌に張りが生まれ、明るく健やかな顔色に。台北市信義區莊敬路8號

桃園長榮中醫診所(タオユエンツァンロンツォンイー)|糸を埋めてツボを長時間刺激。痩せる中医治療のパイオニア。

桃園長榮中醫診所(タオユエンツァンロンツォニー)の治療の様子

桃園長榮中醫診所(タオユエンツァンロンツォニー)の様子

桃園長榮中醫診所(タオユエンツァンロンツォニー)の様子

桃園長榮中醫診所(タオユエンツァンロンツォニー)の様子

ダイエット治療が有名。「埋線」(1,100元)は、脂肪が気になる場所に羊の腸でできた糸「羊腸線」を鍼で埋め込み、ツボを持続的に刺激。代謝アップや体質改善にアプローチして3か月で12kgなど大幅減量する人も多い。施術は一瞬、糸は1週間ほどで体内に吸収されていく。処方される漢方薬が効果を高める。今回は桃園店に行ったけど、台北にも店舗あり。桃園市民生路56號

味わう|鍋とおやつで仕上げる、“食べる養生”。

雞膳食坊(ロンシエンチュィ) 師大總店|台湾の人に愛される薬膳鶏。スープで冷えにさようなら。

雞膳食坊(ロンシエンチュィ) 師大總店の薬膳鶏

雞膳食坊(ロンシエンチュィ) 師大總店の薬膳鶏

鶏肉がたっぷりと入った薬膳スープの店。特に生薬の風味を濃厚に感じられるのが《帝王雞湯》で、滋養強壮にいいツルドクダミを使用。他にも高麗人参入りや、産後の女性が食べる《麻油雞》など全12種類をラインナップ。鶏肉は好みの部位が選べて値段は199元〜。どのスープもコクがあり、食事中からカラダが温まるのを感じる。台北市大安區師大路105巷3號

楊婆婆八寶粥(ヤンボーボーバーバオツォウ)|漢方食材がぎっしり。屋台で味わう薬膳デザート。

楊婆婆八寶粥(ヤンボーボーバーバオツォウ)の薬膳デザート

楊婆婆八寶粥(ヤンボーボーバーバオツォウ)の様子

店主の楊婆婆が、「子どもたちに栄養のあるおやつを食べさせたい」という想いから誕生したお店。《山薬芋頭蓮子木耳》(80元)は、胃腸虚弱を助ける蓮の実や、気血を補う龍眼、木耳、大麦、小豆、紫山芋、タロイモを温かいシロップでいただく。もともと畑仕事をする人が食べていたデザートで、街歩きのエネルギー補給にもおすすめだ。台北市大安區臨江街102-5號

本鼎堂(ヘンディンタン)|額に汗が滲む!辛くも滋味深いオリジナル鍋。

本鼎堂(ヘンディンタン)の鍋

本鼎堂(ヘンディンタン)の様子

本鼎堂(ヘンディンタン)の外装

オーナーが生まれ育った迪化街の生薬を組み合わせて作り上げた漢方鍋。《漢方麻辣湯》のスープは山椒の痺れが心地よく、しっかりと辛いのに箸が進む。他に甘みを感じる《玉露薬膳スープ》なども用意。産地や質にこだわった具材はバリエーション豊かで、それぞれの旨みが溶け出したスープは飲み干したくなる美味しさだ。1人418元〜。台北市大同區南京西路277號

冷ます|熱と重さを抜く、“青草”のレスキューケア。

一兩十錢青草舗(イーリャンスーチエンチンツァオブー)|クリエイティブな青草茶を、おしゃれなカウンターで。

一兩十錢青草舗(イーリャンスーチエンチンツァオブー)

一兩十錢青草舗(イーリャンスーチエンチンツァオブー)のお茶

一兩十錢青草舗(イーリャンスーチエンチンツァオブー)の様子

長年青草業界で働いてきた店主による洗練されたブレンドが支持を集める。台湾仙草や薄荷を使った《青草茶》(40元〜)、眠りにアプローチする《夜猫養生茶》(45元〜)など15種以上をラインナップ。試飲ができ、各メニューには“冷(カラダを冷ます)”“温(温める)”“平(バランス調整)”と性質が書かれているので参考にしよう。台北市大安區通化街39巷24號

老濟安(ラオチーアン)|自分にぴったりの青草茶を目の前で調合&ドリップ。

老濟安(ラオチーアン)のドリップしている様子

老濟安(ラオチーアン)のお茶

老濟安(ラオチーアン)の外装

老舗の薬草店が手がける、落ち着いた雰囲気のティーバー。「くしゃみ・鼻炎」「胃トラブル」などの症状が書かれた問診票に記入して体調を相談すると、バリスタがおすすめの青草茶をブレンド、ハンドドリップで淹れてくれる(280元)。苦みを抑えた飲みやすい味わいが嬉しい。ティーバッグタイプのブレンドハーブティーはお土産にもおすすめ。台北市萬華區西昌街84號

押す|悶絶足ツボと刀療で、感覚を叩き起こす。

中華世界刀療協會(ツォンホワスーチエンダオリャオシエホェイ)|包丁でカラダをトントン。ツボにアプローチ!

中華世界刀療協會(ツォンホワスーチエンダオリャオシエホェイ)包丁で背中をほぐしている様子

中華世界刀療協會(ツォンホワスーチエンダオリャオシエホェイ)の外装

約2500年前の春秋戦国時代に中国で誕生した「刀療」は、特殊加工がされた包丁で全身を叩き、ツボの深部まで刺激するマッサージ療法。施術を担当するのはベテランの刀療師たち。リズミカルな刺激が心地よく、痛みは一切なし。血流が促され、カラダが温まるのを感じる。コースは最短で1時間1,200元〜、街歩きの合間にぜひ。台北市中正區市民大道一段台北地下街Y區97號

明易足體按摩(ミンイーズーティアンモー)東門旗艦店|筋膜&筋肉をがっつりとほぐすハード系マッサージ。

明易足體按摩(ミンイーズーティアンモー)東門旗艦店のマッサージの様子

明易足體按摩(ミンイーズーティアンモー)東門旗艦店のマッサージの様子

明易足體按摩(ミンイーズーティアンモー)東門旗艦店の外装

NBAで活躍する台湾人選手に帯同していた羅先生が施術を行う、アスリートも足を運ぶマッサージ店。経絡の流れを整えて筋肉を緩める「身体マッサージ」(60分1,100元、羅先生指名の場合は5,000元)や、深層までほぐす「デプス身体マッサージ」(90分1,650元)などのメニューがあり、施術にはカッピングや筋膜刀を取り入れることも。台北市大安區金山南路二段13巷8號

呉若石神父全人發展協會台北辦公室(ウールオスーセンフチェエンレンファーザンシエホェイタイベイバンコンスー)|足裏を揉んで不調を改善。台湾式リフレクソロジー。

呉若石神父全人發展協會台北辦公室(ウールオスーセンフチェエンレンファーザンシエホェイタイベイバンコンスー)の施術の様子

呉若石神父全人發展協會台北辦公室(ウールオスーセンフチェエンレンファーザンシエホェイタイベイバンコンスー)の様子

1979年にスイス人宣教師の呉若石神父が指導を始めた、中医学を取り入れたリフレクソロジーメソッドを発展させた「FJM」。指や棒で足裏にある89個の反射区を刺激することで不調を和らげ、免疫力を高める。施術後は肩が軽くなり、カラダが温まるなど変化をしっかりと実感できる。一般的なものより高さのある専用チェアは、施術者の健康を考え、カラダの負担を少なくするために独自開発されたもの。FJMは日々進化を続けているそうだ。40分800元〜。台北市中山區中山北路一段2號中央大樓7樓706室

動く|ゆっくり動いて、内側のスイッチを切り替える。

台北の朝は、なぜ公園から始まるのか。

早朝の公園を散歩すると、大勢の運動を楽しんでいる人たちに遭遇する。特に目を引くのが太極拳で、刀を使うものなど種類もさまざまだ。週に4、朝6時30分から活動している台湾大学の太極拳サークルの代表を務めるLisaさん曰く、「毎日の規則正しい運動は健康への最高の投資です。太極拳は集中力と忍耐力を養うもの。表面は柔らかく穏やかでありながら、内側には確かな強さや意志があることが大切です」。それは、街の中で出会う、健やかで温かい、台湾の人たちそのものだといえる。

中山公園(ツォンサンコンユエン)|立派なガジュマルも。緑豊かな都会のオアシス。
中山公園(ツォンサンコウエン)の様子

7:00 AM

中山公園(ツォンサンコウエン)の様子

近代的なビルに囲まれた中山公園は、黄色い屋根の「国立国父紀念館」を取り囲むように広がる都会のオアシス。「翠湖」のほとりや芝生の広場では、早朝から太極拳や体操のサークルが静かにカラダを動かしている。台北市信義區仁愛路四段505號

二二八和平公園(アーアーパーフービンコンユエン)|歴史の真ん中でひと息つく、都会のくつろぎ公園。
二二八和平公園(アーアーパーフービンコウエン)の様子

8:00 AM

二二八和平公園(アーアーパーフービンコウエン)の様子

MRT台大医院駅すぐの都会型パーク。噴水や池を囲む遊歩道にはベンチや東屋が点在し、ジョギングや散歩を楽しむ人が絶えない。足ツボ歩道や簡易な運動器具もあり、オフィス街の合間でカラダをほぐすのにちょうどいい。台北市中正區凱達格蘭大道

※レートの目安:1TWD(元)≒5円(2026年1月10日現在)