プロクライマー・楢﨑明智さんの、集中力を高めるBIG 3。
アスリートに欠かせないのは、体力か技術か、それとも気合か? 休みなく自分のカラダと向き合うプロクライマー・楢﨑明智さんに、トレーニングの極意を聞いた。
text: Ryo Ishii photo: Jun Nakagawa, Lee Jae Won, Aflo
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教えてくれた人
楢﨑明智(ならさき・めいち)/1999年、栃木県生まれ。小2からクライミングを始め、2018年のIFSC世界ユース選手権ではリードとボルダリングの2冠を達成。24年ボルダーW杯では年間ランク2位。兄は同じくプロクライマーの楢﨑智亜。日新火災所属。
世界を制する、磨き上げたルーティン。
「筋トレ専用の日を作ると、疲労で翌日カラダをうまく使えなくなる。そのため、練習のアップとして鍛えたい部位への刺激と動作確認を組み込み、カラダの弱点を補強する方法に行き着きました」
身長186cmのリーチを活かしたダイナミックな登りで数々の大会を制してきたプロクライマー、楢﨑明智選手。強さの秘密は、カラダの感覚を研ぎ澄ます独自のウォームアップにある。

「意識しているのは、カラダの“内側(体幹・呼吸)”から“外側(指先)”の順に準備を進めることです。外側の部分からアップを始めると、アウターマッスルに頼ってしまい体幹がうまく使えない。でも内から外だと、カラダの隅々まで意識できるようになる。このトレーニングのおかげで怪我なくシーズンを過ごせていますね」
順番はこうだ。まずハーフポールの上で呼吸をしながらカラダの中心軸を安定させる。次はチューブを使い背中の正しい動作を確認し、仕上げにハングボードと呼ばれる専用器具による指先のケア。楢﨑選手の強さを支えるのは、この完成されたルーティンなのだ。
集中力を高めるBIG 3。
1.自分の軸を見定める。
カラダの軸を作り、背骨まわりをほぐすアップは、楢﨑選手が最も重視する種目のひとつ。大きめのハーフポールに仰向けになり、背中まで膨らませるつもりで深呼吸。アウターの筋肉でごまかすのではなく、「中心にカラダを置く」ことを意識してバランスをとるのがポイントだ。
調子が良ければ手足を動かしながら負荷をかけ、その日のカラダの調子を点検する。首にテンションがかからないよう、タオルなどを使って隙間を埋めるのも大切。
2.チューブで背筋を起動する。
懸垂などでいきなり大きな筋肉を使う前に、まずはチューブを使って背中を「引く」感覚を意識する。足を閉じた状態で肩甲骨を寄せ、横隔膜が上がらないように注意しながら、広背筋の終着点までしっかり意識をして引き切るのがコツだ。
手先や腕の力に頼って引くのではなく、背中の筋肉が末端まで正しく使えているかを確認するのが目的だ。楢﨑選手は、遠征先のホテルなどでもドアにチューブを掛けて、このアップを行っているそうだ。
3.指先に意識を向ける。


指はクライマーの命。腱鞘炎になるのを防ぐためにも、ケアは365日欠かさない。まずは指を1本ずつ揺らしてほぐす。痛気持ちいい程度に緩んだら、次に、セラバンドで各指にテンションをかけ、指全体の伸展と活性化を行う。この時、爪側ではなく指の腹側にテンションをかけないと破れやすい。

そして最後に、木製のハングボードを足で引っ張りながら各指により強い負荷を加え、筋膜の癒着を解いて総仕上げ。オフの日でも欠かさずに行うことで、良い状態をキープできる。
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