極上の浮遊体験、「WATSU」を知っていますか?
浮力に任せてカラダをゆるめ、日常のざわめきから離れる。水の中には、自律神経を深く休めるためのヒントがある。水中ボディーワーク「WATSU」を、俳優・後藤さりさんが体験。
text: Shintaro Kawabe photo: Naoto Date
『Tarzan』No.931 on sale August 6, 2026.

Profile
後藤さり(ごとう・さり)/1996年生まれ。文化服装学院卒業後、モデルを経て俳優に。TBSのドラマ『スイートモラトリアム』などに出演。
水と人の手にカラダを預け、深い休息へと導かれていく。

情報が絶えず行き交うなかで、リラックスするのは意外と難しい。だからこそ、心とカラダを深く休ませるために、水にカラダを預けてみるのはどうだろう?
水中では、水圧で血液が心臓へ戻りやすくなり、浮力で筋肉や関節の負担も軽くなるといわれている。流通経済大学の大槻毅先生らの研究では、プールを歩いたり走ったりした後に仰向けで浮かぶと、副交感神経の働きを示す指標が実施前より高くなった。水圧や浮力など、水中ならではの環境が心身の休息を後押しする可能性があるのだ。
こうした水に浮かぶ心地よさを深く味わえる水中ボディワークがある。アメリカの詩人ハロルド・ダルが、日本で学んだ禅指圧を温水の中で応用し、1980年に考案した「WATSU」だ。WaterとShiatsuを組み合わせて名づけられ、世界約40か国へ広がったが、日本で体験できるスポットは数か所のみ。
その一つが、空と街を望むプールを備えた立川の〈SORANO HOTEL〉。体温調節の負担が少ない約34度の水に入り、耳栓をして足に浮き具をつける。
世界水中ボディワーク協会WABA認定のセラピスト・秋谷智子さんにやさしく支えてもらいながら、ゆっくりと揺らされたり、ストレッチやマッサージを受けたりする。
泳ぐことも、姿勢を保つこともなく、深呼吸しながら水とセラピストに身を預ける。水の流れに合わせてカラダが伸びたり、ゆるやかに回転したりする立体的な動きも、一般的なベッド上の施術とは異なるところだ。

運動習慣やカラダの悩みなどのカウンセリング後、プールへ。水中でカラダの状態を確認しながら施術内容を調整し、後藤さんは腕まわりを中心にストレッチやマッサージを受けた。顔など水面に出た部分に風が触れる心地よさも、〈SORANO HOTEL〉ならでは。
目を閉じ、耳まで水に浸かると、外からの刺激がやわらぎ、肌を流れる水の感覚だけが残る。水中では上下の感覚が曖昧になり、自分のカラダと水との境目も次第にわからなくなっていく。
考え、判断し続ける日常から離れ、浮かぶ感覚に身を任せる。すると、カラダのこわばりがほどけ、呼吸が深くなり、頭の中のざわつきも遠のいていく。その感覚を、宇宙を漂っているようだったと表現する人もいるという。
水から上がった後には、全身がすっきりと整ったように感じることも。そんなリラクセーション効果に加え、慢性痛や抑うつ、睡眠の質に一定の改善がみられたという研究も報告されている。何かをしようとせず、ただぷかぷかとカラダを委ねる。日常ではなかなか持てない、贅沢な時間がここにある。

母親のお腹の中で羊水に包まれていたような安心感。終わった後は頭もカラダもすっきりしました!
〈SORANO HOTEL〉
ベーシック40分19,800円、スタンダード60分29,700円。毎月、満月または新月に合わせた30分の体験コースも開催9,900円(次回は8月28日)。東京都立川市緑町3-1 W1、7:00〜9:00、18:00〜21:00、不定休。WEBサイト


