森山直太朗

樽型コロッケでホクホクしながら、森山直太朗さんと「親とのコミュニケーション」について話し込む。|麻生要一郎のテーブル・トーク

料理家・麻生要一郎さんは、人を招いてテーブルを囲むのが大好き。気心知れた友人から、会ってみたかったあの人まで。「テーブル・トーク」ではさまざまなゲストを招いて手料理を楽しむ時間を音声と写真でドキュメントします。

取材・文/平岩壮悟 撮影/表萌々花

ここは料理家・麻生要一郎さんの自宅。悩める若者から酸いも甘いも知るアーティストの先輩、旧知の仲から初めましての人まで、夜な夜な一癖も二癖もある人たちが円卓を囲み、麻生さんの手料理をほおばりながら日々のあれこれを語り合います。

この日、麻生さんがリノベーションを終えたばかりの新居に招いたのは歌手で俳優の森山直太朗さん。ふたりは知り合ってからまだ1年。それでも森山さんと麻生さんには、コロッケにまつわる特別な思い出がありました。

森山直太朗
テーブルゲスト

森山直太朗(もりやま・なおたろう)
1976年東京都生まれ。フォークシンガー。2002年のメジャーデビュー以来、独自の世界観を持つ楽曲と唯一無二の歌声が幅広い世代から支持を受け、定期的なリリースとライブ活動を行っている。20周年を記念した107本に渡るツアーを終え、その2年弱にわたるドキュメンタリーと102本目の両国国技館でのライブを収めた映像作品『素晴らしい世界 in 両国国技館』を11月6日に発売した。

森山さんから麻生さんへ。料理のリクエスト

要一郎さん、その後自宅のリフォームは順調に進んでいますでしょうか? 私はもっぱら山小屋の修繕に励む毎日です。さて、久々にお会いできるということでとても楽しみ。最近お伺いできていなかったこともあり、お腹がgoo〜と申しております。リクエストは満場一致で私の父が生前愛した樽型コロッケを。青紫蘇のジュース持参で参ります。ではでは諸々ご自愛ください。

森山直太朗

大勢で会うことはあっても、じっくりと話すのはこの日がはじめてだというふたり。一体、どんな会話が交わされたのでしょうか。大きなコロッケをほうばってホクホクしていた森山さんと麻生さんの「テーブル・トーク」の模様はこちらから。

コロッケを調理する麻生要一郎

森山さんの到着を待ちながら、リクエストのあった樽型コロッケを準備する麻生さん。リノベーション後はじめて使うキッチンで、まだ慣れない模様。

コロッケを揚げる様子

カラカラと小気味よい音を立ててコロッケが揚がっていく。こぶし大に成形するのが麻生さん流。

キッチンカウンター越しに近況を話し合う森山直太朗さんと麻生さん。

キッチンカウンター越しに近況を話し合う森山直太朗さんと麻生さん。料理が完成するまでの時間もまた楽しい。

切り昆布の煮物
麻生さん宅では定番の切り昆布の煮物。
お吸い物
コロッケのお共となるお吸いもの。
コロッケ

コロッケを頬張る森山直太朗

コロッケを食べるために朝から絶食していたという森山さん。「え、もう一個? 全然いけるよ」。

御櫃に入ったおかかごはん
トークでも話題にあがったおにぎりを握ってくれる麻生さん。
おにぎりを握る様子
おかかをまぶした白米に、これまた大粒の梅干しをイン。
おにぎり

この日の締めとして振る舞われた特大のおにぎり。

森山直太朗

おにぎりを食べ終わっても話題は尽きず。おしゃべりは深夜まで続いた。

森山直太朗さんへ

今日は忙しい中、時間を作ってくれてありがとう。

この連載が決まった時、1回目のゲストは直太朗さんにお願いしたいと心に決めていました。

会う機会は多いけれどお互いのことを話す時間は意外と少なくて、仕事を口実にお誘いしていろいろなことをゆっくり話せて本当に楽しい時間で嬉しかった。

僕たちの交流が始まったのは割と最近のことなのに、その関係性がずっと前から続いているように感じるのは、直太朗さんのお父さんのおかげだとこの日話していて改めて思いました。入院先に差し入れするコロッケやおにぎりを作らせてもらった時、一緒に食べている時の様子やお父さんからの感想をいつも丁寧に伝えてくれて、大切な人たちの役に立てた喜びは何にも代え難いもの。

僕の父はもう30年近く前に亡くなっていて、すごく大人に感じた父は今の僕よりも年下で、記憶の中にいる父はずっと若いまま。もし今も生きていたとしたら、背中が丸まったりしているのかなあと、おにぎりやコロッケを作りながらイメージしました。

入院したりせずに、突然亡くなったので、実は気持ちの整理がついていなかったことにも、その時に気がついた。直太朗さんのお父さんを思って過ごした時間は、自分の父親にできなかった親孝行の真似事をさせてもらったような気がして、亡くなられたことを電話で報告をもらった時に、まるで自分の父親を見送ったような気持ちになりました。

森山直太朗は、かけがえのない友人であり、家族のようであり(僕が年上だと思われがちですが、実際は直太朗さんが少しお兄ちゃん)、いつも刺激を与えてくれる存在で、人生で初めてファンクラブに入るほど間近に応援したい、本当に魅力的な人。

これからも同じ時代を生きとし生けるものとして、一緒に生きて行きましょう。僕の進行がもう少し小慣れた頃に、またぜひ出演してください。

P.S. 当日、調子が悪かった喉は、おすすめしてくれたマヌカハニーのおかげですっかり回復しました。

麻生要一郎

左、麻生要一郎。右、森山直太朗

本日の一品:コロッケのつくりかた

コロッケ

―材料(4個分)―

  • ジャガイモ 6
  • 玉ねぎ 1
  • 合い挽き肉 200g
  • バター 20g
  • 塩 小さじ1
  • こしょう 小さじ1/2
  • ナツメグ 適量
  • 小麦粉 適量
  • 卵 2
  • パン粉 適量
  • 揚げ油 適量

手順

1.ジャガイモは、皮のまま丸ごと茹でる。竹串で刺して中まで火が通ったら、皮を剥き、熱いうちにマッシャーで潰す。
2.フライパンにバターを入れて熱し、みじん切りにした玉ねぎを炒め、しんなりしてきたら、ひき肉も加えて炒めます。塩とこしょうとナツメグを加えて味を調える。
コロッケのタネ3.大きなボウルに1を入れ、そこへ2を加え、滑らかになるようによく混ぜる。粗熱をとり、冷蔵庫に入れて1時間以上おいて、冷ます。

コロッケにパン粉をつける様子

揚げる前のコロッケ

4.3を好きな大きさに(僕のは拳サイズ)成形して、揚げている時に崩れないように最後にギュッと握ってから、小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけていく。パン粉をつけたら最後にまたギュッと握る。

コロッケを揚げる様子

コロッケの調理風景

5.油を170度に熱して、コロッケを静かに入れる。パン粉に色付いてきたら、菜箸でひっくり返してきつね色になるまで揚げれば完成。大きく成形することで、周りはさくっと、中はふっくらと仕上がる。成形の時にしっかりと握っておくことが大切。

ポッドキャスト出演
麻生要一郎
森山直太朗
井手裕介(Tarzan Webプロデューサー)
平岩壮吾(Tarzan Webライター)

ポッドキャストスタッフ
ジングル・BGM:田中堅大
編集:浜本壮大