初心者必見!快適に登山を楽しむ“必需品”の選び方。

河川敷や丘陵を歩くならTシャツやスニーカーでもいい。ただもし山の中に入るなら、最低限の装備は揃えよう。安全性と快適性を備えた服と道具の選び方を紹介。

取材・文/小林百合子 イラストレーション/Miltata

初出『Tarzan』No.912・2025年10月9日発売

登山を快適に歩く装備と選び方

安全な登山には必須!基本の3点セット。

登山における“三種の神器”と呼ばれるのがバックパックと雨具、シューズ。山を歩く際に危険から身を守り、快適で安全な登山を支えてくれる必須アイテムだ。それぞれ性能も価格も幅が広く、どれを選んでいいか頭を抱えてしまう人も多いはず。ここでは日帰りから1泊の登山に使いやすいモデルを紹介する。

1.バックパック|大は小を兼ねない!コンパクトで軽いものを。

バックパック

バックパックの容量が大きいと余分な荷物を入れたくなるのが人間の性。軽やかに歩くためには30〜40Lにとどめるのがベター。近年は軽量素材を使ったモデルもあるので、体力に自信がない人におすすめ。雨よけのカバーは別売りのこともあるので別途購入を。

ポイント

  • 容量は30〜40L
  • 本体の重量が軽い
  • 雨用のカバーも用意
2.レインウェア|気軽に持ち運べるコンパクトさを重視。

レインウェア

動きやすさを考えると上下セパレートタイプがマスト。レインパンツはサイドがフルジップタイプが脱ぎ着しやすい。天気が変わりやすい山では晴れ予報でも雨具は必須。荷物になると背負って持ち運ぶのが億劫になるので、コンパクトで軽量なモデルを選ぼう。

ポイント

  • 上下セパレート
  • 透湿性に優れたもの
  • 軽量&コンパクト
3.シューズ|山道も舗装道も快適な軽量ミドルカット。

シューズ

ときに舗装道も歩くフラット登山では、ゴツくて重い登山靴だと足が疲れ、痛くなる。とはいえ足場の悪い山道では捻挫が不安なので、軽快に歩け、程よく足首をホールドしてくれるミドルカットの軽量登山靴がベスト。雨に備えて防水素材を選ぶとなお快適だ。

ポイント

  • 片足が300〜400g台
  • ミドルカット
  • 防水素材のモデル

ウェアは体温調節できるレイヤリングが基本。

調整できるウェア

登山の服装の基本は「レイヤリング」。肌に一番近い「ベースレイヤー」、中間の「ミドルレイヤー」、一番外側の「アウターレイヤー」という3層の重ね着からなり、天候や気温、体温の変化に合わせて脱ぎ着することによって常に快適な状態を保つ。それぞれのレイヤーに必要な要素が異なるのでチェックを。

アウターレイヤー|防風・防水性はマスト。雨具と兼用してもOK。

アウターレイヤーは雨や風から身を守るジャケットのこと。防風・防水性に優れた素材を選ぶこと。レインウェアで兼用してもいい。少々値は張るが、ストレッチ性のある素材を選ぶとカラダが動かしやすく、行動中もストレスフリー。

ポイント

  • 防風・防水性が高い
  • 汗や蒸れを放出する
  • 薄手でコンパクト
ミドルレイヤー|暖かさと通気性を両立したモデルを。

中間着のミドルレイヤーの役割は主に保温。フリースやダウンなどの素材を選ぶといい。重ね着すること、行動中にも着用することを考えると薄手がベター。ダウンは保温性に優れるが、汗などで濡れると保温力が落ちるので注意を。

ポイント

  • 保温性がある
  • 濡れても冷えにくい
  • 重ね着できる薄手
ベースレイヤー|化繊かウールか?肌触りも要チェック。

肌に直接触れるベースレイヤーは、いわば肌着。汗を素早く吸って放出する化繊やメリノウール素材が最適だ。化繊は速乾性に優れるが、肌触りに抵抗がある人も。天然素材のメリノウールは滑らかな質感で消臭性があるのが特徴。

ポイント

  • 汗を吸い、すぐ乾く
  • 肌触りがいい
  • 消臭機能がある
パンツ|フィット感が命! 面倒でも、ぜひ試着を。

同じように見える登山用パンツだが、素材や形状は千差万別。歩くことが主目的の登山では、足さばきや着心地に違和感があると強いストレスになる。自分の体型や好みにフィットするかどうか、試着して確認するのがベターだ。

ポイント

  • ロング丈
  • 脚曲げが楽
  • 中厚手タイプ

危険を回避し、万が一に備えることはマスト。

どんな低い山でも、道迷いや怪我による行動不能など遭難の危険が絶対にないとはいえない。万が一に備えて準備をしておくことが大切だ。山に入る前には必ず家族や知人に行き先と戻る時間を伝え、応急処置セットや地図などを携行すること。

登山用マップアプリとモバイルバッテリー|現在地がわかるマップアプリが便利。

登山用マップアプリとモバイルバッテリー|

登山地図には紙とアプリがあるが、紙の地図では道迷いの際に読図技術が必要になる。『YAMAP』など登山用マップアプリならGPSで現在地がわかるので初心者でも安心だ。電源切れに備えてモバイルバッテリーもお忘れなく。

ヘッドライトとエアージェンシーキット|日帰り登山でもヘッドライトは必須。

エマージェンシーセット

秋の山は日没が早い。日帰りでももし道に迷えば、周囲は真っ暗に。両手が空くヘッドライトは必携だ。絆創膏や消毒液、テーピングなど、万が一の怪我に備えるグッズを入れたエマージェンシーキットも用意しておくと安心だ。