鎮静効果のある「ヒノキの葉」を使った、ウフマヨと燻製茶。|3月のハーブ・ヒノキ

木材として活用するイメージの強いヒノキですが「実は、葉っぱも食材としての価値が高い」と〈ハーブスタンド〉の平野優太さん。既知の植物の、未知なる可能性を引き出すべく試行錯誤を続ける平野さんは、ヒノキを「スーパー有用植物」と位置付けています。人と植物の関係を新たに定義する連載「ワンモア・ハーブ」。第17回は、日本で馴染み深いヒノキについて。

取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 提案/平野優太・北山詩織(HERBSTAND) 料理/阿部匠海

ヒノキ

ヒノキ風呂で知られるように、ヒノキは古くから活用されてきた日本の固有種です。神社仏閣の材としても重用され、精神的な意味でも日本に深く根付いた植物と言えます。抗菌、防腐の効果にも優れているので、葉は刺身のあしらいとして使うことも。ただ、僕らはそれで終わりではなく、実は食べても美味しい食材として活用できることを提案したい。

ヒノキの葉を少し口に入れただけでも、森の香りと柑橘のニュアンスがあることがわかるはずです。ピネンとリモネンという成分が多く含まれていて、これは柑橘類に含有されているものと同じ。なので、料理にレモンやライムを合わせるように、ヒノキの葉を刻んで、ハーブやスパイスとして合わせていただきたい。素揚げにして、チップスとしてサラダに乗せても美味しいんです。

それから、ジンに使われるジュニパーベリーもヒノキ科です。ヒノキの実も同じ成分を含有しているので、ジュニパーベリーをオイルに漬け込んで香りを移すように、ヒノキの実も活用できます。木の幹から葉っぱ、実まで余すことなく活用できる、スーパー有用植物なんです。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
ヒノキのウフマヨ

ー材料ー

ハーブオイル

オリーブオイル 300g
ヒノキの葉 50g

ハーブマヨ

お酢 30g
塩 適量
ヒノキオイル 160g
生卵 1個

ー作り方ー

オリーブオイルを計量し、火にかけて温める。

温めたオリーブオイル、ヒノキの葉をミキサーにかけ、攪拌の摩擦熱で100℃まで上げる。

ヒノキオイル、お酢、塩、生卵を入れ、攪拌。マヨネーズを作る。

半熟ゆで卵にかけ、ヒノキの葉を散らす。

ハーブオイルはさまざまな料理にアレンジできるので、常備しておくと重宝する活用法です。レシピは多様にありますが、油を温めた後にミキサーの攪拌熱を利用して混ぜる方法が、鮮やかな緑色を一番きれいに引き出せておすすめです。また熱処理を加えることで、腐敗しにくく、日持ちが向上する利点も。色・味の面でもより長持ちするので、是非ひと手間かけてみてください。

ヒノキは、オリーブオイルとも香りが似ているので、ハーブオイルにすると特徴がブーストするよう。清涼感がありつつ、スパイシーな感覚もある。時期によってその香りは変化するんですが、冬のヒノキはスパイシー。夏場はもっと青々とした、青リンゴのような雰囲気があるので、同じ手法でアイスにしても美味しいです。今回はヒノキのハーブオイルを丸ごと味わうべく、ヒノキマヨネーズでウフマヨを作りました。

●「飲む」
ヒノキの燻製茶

―材料―(2人分)

乾燥ヒノキの葉 5g
乾燥ヒノキチップ 5g
湯 200ml

耐熱皿にヒノキのチップを入れて火をつけ、煙を出す。

ヒノキの葉と合わせて蓋をし、2分ほど。香りを移していく。

お茶と同じように急須で煎れる。香りが立ったら茶杯に注ぐ。

ヒノキは平たく枝葉を伸ばしていくので、成長すると森の中で葉同士が重なります。常緑の針葉樹なので、冬の間にも葉っぱを落とさず、森に光が差し込まなくなってしまうんですね。だから僕らは剪定し、その枝の活用として、太い枝でチップを作っています。火をつけるととても香り高く、そのポテンシャルには驚かされます。

そして、葉っぱはお茶として活用する。ヒノキのお茶は、燻して淹れるとよりディープで余韻の長い香りを出せるのですが、ここで活きるのが枝のチップです。葉もチップもヒノキを使うことで、一つの植物がレイヤーとなり、より深い味わいに。鎮静効果も高くかつノンカフェインなので、就寝前に取り入れると落ち着いて眠りに着くことができます。

3月のハーブスタンドの様子

3月の富士北麓は、冬の厳しい寒さのピークを越え、山や野に少しずつ芽吹きの気配が広がっていきます。街なかでは、プリムローズや土筆、カキドオシといった草木が顔をのぞかせ、静かに春の訪れを告げてくれます。