「副作用がない」は間違い。漢方薬の基本、これだけは。
ドラッグストアでも病院でも手に入る今、漢方薬はぐっと身近になった。だからこそ、どこで相談し、どう選び、どこまで自己判断にするのか。その「基本ライン」を一度きちんと整理しておこう。
取材・文/井上健二 撮影/吉松伸太郎 イラストレーション/ダン・マトゥティナ 取材協力/砂川正隆(昭和医科大学医学部生理学講座生体制御学部門准教授)
初出『Tarzan』No.919・2026年2月12日発売

どこで処方してもらうのが正解?
漢方薬を出してくれるのは病院か漢方薬局だが、身近なドラッグストア(DRG)でも買える。
急な発熱など“いまそこにある不調”に即応したいならDRGへ。DRGで買える一般用漢方製剤は、多くは第2類医薬品。購入時にクスリのスペシャリストである薬剤師または登録販売者に相談しながら、自分の症状に合ったものを選ぶことが大切。
慢性化した不調や体質の改善を目的に漢方薬を長く飲み続けるなら、医療機関で漢方に詳しい医師の診断を受けた方がよい。医師の診断と処方箋に基づいて出される148の医療用漢方薬には、健康保険が適用される。漢方専門医は、日本東洋医学会のサイトで検索できる。近くの専門医を探そう。
ドラッグストアの商品も信頼できる?
DRGでも漢方薬が買えるなら、病院や漢方薬局で処方されるものと何か違いはあるのだろうか。
まず質。保険適用対象だけに、国内で流通する漢方薬と原料の生薬には厳しい品質基準が設けられている。このためDRGで買う漢方薬も品質に問題はない。次に用量。一般的には生薬の配合量が少なめに設定されているが、最近は医療用と同等量の生薬を配合した「満量処方」の製品も増えた。
ただ後述のように長く飲み続けたり多数の漢方薬を飲むのはNG。
「医師の診断を受けずに複数の漢方薬を服用するのは避け、異変を感じたら内服を中止。2週間以上しても症状が軽快しないときは、医療機関や信頼できる漢方薬局を訪ねてください」
面倒でも煎じて飲むと御利益あり?
病院やDRGなどで手に入る漢方薬は、生薬を製薬工場で煎じて抽出したエキスを、粉末や顆粒などに加工したエキス製剤が主流。手軽に利用できるのがメリットだが、いわばインスタントコーヒーのようなもの。豆を挽いて淹れるコーヒーの方が風味豊かで美味しいように、煎じることで立ちのぼる香りや味わいも魅力。
煎じ方は簡単。鍋などに生薬と水を入れて弱火にかけ、水が半量になるまで30分ほど煮出すだけ。その間漂う香りにも揮発した生薬の有効成分が含まれる。香りを楽しみ、煮出したエキスを飲めば、生薬の薬効がダブルで享受できる。ことに葛根湯のように末尾に「湯」がつくものはもともと煎じて飲む薬として伝えられてきた処方。
ひどい副作用がないってホント?
漢方薬にも副作用がないわけではない。
報告例として比較的よく知られているのが、間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害・黄疸、腸間膜静脈硬化症で、漢方薬による重篤な副作用の中でも特に注意喚起が行われている代表的なもの。
とくに注意を払いたいのは、複数の漢方薬を併用したり、長期間にわたって内服したりするケース。
漢方薬では同じ生薬が重複して入っていることも多く、漢方薬をいくつも服用すると特定の生薬の成分が過剰に働いてしまう恐れがある。たとえば生薬の甘草は漢方薬の約7割に配合されているのだ。
「副作用を防ぐためにも、漢方専門医や漢方に精通した薬剤師に相談することが大事です」


















