ランナー638人が答える、足と脚のお悩み大調査。

“なんとなく不調”は錯覚じゃない。放っておくと、気づけば痛みは膝に集まる。走るのが楽しくなくなる前に、アンケートで露わになった弱点を見逃すな!

文/石井 良 撮影/内藤 海、安田光優 スタイリスト/青木 穣

初出『Tarzan』No.920・2026年2月26日発売

足の悩み:足の悩み箇所を赤くマーク

Q.足と脚の痛みが理由で、走るのをやめたことがある?

足と脚の痛みが理由で、走るのをやめたことがあるの円グラフ。あるが70.4%

ランナーの70%強は、足と脚の痛みが原因で、走るのをやめた経験がある。

健康のために走っているはずが、現実は甘くない。回答者の7割強が痛みでランの中断を余儀なくされている。次の回答で解説するが、その痛みは実は、半月板損傷や変形性膝関節症といった故障につながっている可能性も。自然治癒が難しく、手術や長期離脱を招く怪我も少なくない。痛みを感じるときは、無理せず休む勇気も必要だ。

Q.現在足と脚に関するトラブルを抱えている?

約5人に1人が足と脚のトラブルを抱えている。

トラブルを抱えているかの回答円グラフ:抱えている17.7%

Q.トラブルの内容は?(「抱えている」と答えた113人のランキング)

1位 半月板損傷…16.8%
2位 外反拇趾…13.2%
3位 変形性膝関節症…9.7%
4位 坐骨神経痛…7.0%
5位 膝前十字靱帯損傷…5.0%

約2割のランナーが足と脚に深刻な悩みを持つ。2位の「外反拇趾」は、走行時のバランス不足をもたらし膝痛も引き起こすため、1位の「半月板損傷」とも関連が深いと考えられる。3位「変形性膝関節症」は中高年ランナーに多く、上位3位までは膝痛に関係するものだった。これらは氷山の一角で、潜在的な患者数は数知れず。

Q.最も痛む場所はどこ?(「痛む」と答えた624人のランキング)

走る男性の姿

1位 膝…39.9%

全体の約4割が悲鳴を上げる膝は、距離や頻度が増えるほど痛みが出ると思われがちだが、走る頻度が週2回以下のファンラン層に一番多かった。ただし、ファンラン=初心者とは限らない。「痛くて頻繁に走れない」ために頻度が減っているケースもあるからだ。走ることさえままならない状況に陥る前に、しっかりと膝と向き合おう。

「シンスプリントになりやすく、タイムが伸び悩み気味です」。(ラン歴1年、40代、自己ベスト:5時間19分(フル))

2位 股関節…12.1%

着地の衝撃よりも「股関節の硬さ」と「神経痛」が原因で痛みを感じると答えた人が多かった。股関節の詰まり感は膝や足首の負荷にもつながるため、故障の震源地といえる。また、坐骨神経痛やヘルニア由来の痺れを訴える回答も多く、腰椎周辺のトラブルを併発しているもよう。スムーズな走りの妨げになってしまっている。

3位 足裏…12.0%

回答数は3位だが、足裏も多くの故障の起点だ。特に多い悩みが扁平足や外反拇趾。足のアーチが崩れ、他の部位の負担になっている。また、シューズのフィッティング、フォーム崩れなどを原因とする足のタコや爪の変色も。足裏が正しく機能せず、不安定な土台で着地を繰り返すことで、さまざまな不調を引き起こしている。

4位 ふくらはぎ…8.8%

圧倒的に多かったのが「こむら返り」。多くのランナーが股関節や足裏がうまく使えていない代償としてふくらはぎを酷使しており、結果として「すぐに張る」「つる」「筋肉がついて太くなる」という悪循環に陥っている様子。特にマラソンの20〜30km過ぎから痛むという声が多く、持久力不足や疲労の蓄積による痛みが多いようだ。

「強度の高いスピード練の後、決まって右足首内側の筋肉が痛みます」。(ラン歴12年、30代、自己ベスト:75分(ハーフ))

5位 太腿…6.8%

多くのランナーが訴えるのは、ブレーキ動作などによる前腿の張りと痛み。ふくらはぎ同様、長距離ラン後半での痛みを訴える回答が多かった。裏腿には肉離れ症状が出る人も。また、「登坂や階段を上る際にハムストリングスが特に痛む」など特定の動きをすると痛みが出るケースもあるようだ。

Q.痛むのはどんな時?(「痛む」と答えた514人のランキング)

腿上げをしている男性

1位 走行中、一定の距離を越えてから…36.1%
2位 走り始め(カラダが温まると消える)…18.0%
3位 翌朝、起きた時の第1歩目…16.9%
4位 走り終わった直後・クールダウン時…10.5%
5位 走っていない時も常に痛い…8.7%

最頻出の回答は、10km以上を走った時の疼痛だ。筋疲労により着地衝撃を緩衝できず、フォームが崩れることが一因と考えられる。深刻なのは階段昇降や起床時など日常生活に支障をきたすケース。炎症の慢性化や、変形性膝関節症などへ進行している可能性も否定できない。早期の専門家への相談が望ましいだろう。

Q.一番解決したい足のお悩みは?

膝の痛み

膝の使いすぎによる前十字靱帯や内側側副靱帯の炎症、ランナー膝といった靱帯の痛みに悩む回答が目立つ。単なる炎症にとどまらず、関節水腫や半月板損傷など、組織自体を損傷し、医師から走行を制限されている人もちらほら。根本解決のため、患部の治療はもちろん、フォーム改善に取り組んでいる人も多いようだ。

股関節痛

「可動域を広げたい」や「詰まり感を解消したい」といった機能改善に関する悩みと、坐骨神経痛などによる痺れへの対処を課題として挙げる人が多かった。股関節の硬さが結果として膝や腰、ふくらはぎの負担になっているという自覚を持つランナーもおり、股関節痛は悪循環を引き起こす元凶となっているようだ。

足と脚の形

外反拇趾やO脚といった骨格の問題を矯正したいという回答が目立った。また、太腿やふくらはぎの肥大化を気にする声も多いが、これはお尻の筋肉が使えておらず、末梢の筋肉に依存した非効率なフォームになってしまっているランナーが多い結果とも考えられる。審美的な悩みと機能的な弱点は表裏一体だ。

足の痛み

「爪下が死ぬ(黒くなる)」「爪が剝がれる」「魚の目・タコが痛い」といった爪・皮膚のトラブルが頻発。これは単なる怪我ではなく、シューズの中での圧迫や摩擦が原因であり、シューズ選びの悩みと直結しているケースが多い。また、「土踏まずが痛くなる」「足裏がつる」など、アーチの機能不全による痛みも多く見られた。

「ふくらはぎをつりやすく、出場したレースの7割で負傷経験あり」。(ラン歴6年、30代、自己ベスト:2時間57分(フル))

Q.ランニングシューズへの不満は?(「不満がある」と答えた314人のランキング)

1位 膝が痛みやすい…22.9%
2位 合うサイズの靴がない…20.7%
3位 足裏にマメができる…19.1%
4位 ふくらはぎが痛くなる…7.9%
5位 股関節が痛くなる…5.0%

外反拇趾による幅広や甲高などの問題を抱えていながらも、店頭の試着だけでは良し悪しが判断できず、自分の足に合わないシューズを履き続けている人が多かった。さらに、足の左右差に悩む回答もあり、片足に合わせれば他方に靴擦れ等が生じるなどのジレンマも。足に合ったシューズを見つける難しさに直面しているようだ。

Q.他の部位への影響は?(「影響がある」と答えた399人のランキング)

ランニングをする男性

1位 腰痛…40.3%
2位 姿勢の悪化…21.0%
3位 股関節痛…20.5%
4位 肩こり・首の痛み…13.7%
5位 頭痛…1.7%

足裏や膝の衝撃吸収力が落ちると、負荷は腰へダイレクトに伝わり、ヘルニアなどの腰痛を招く。その痛みをかばう動作がさらに「姿勢の悪化」や「股関節痛」といった悩みへ波及している傾向も見られた。足と脚が全身のバランスを崩す起点になっていることが結果から明確に読み取れる。

「フルマラソン完走の翌朝、両膝を曲げると激痛が走ってしまいます」。(ラン歴5年、30代 、自己ベスト:3時間19分(フル))

Q.人に言えないニッチなお悩みは?

  • 「股関節から足にかけての痛みがあり、夜間痛もある。早く解放されたい」(40代女性)
  • 「足の裏のイボを定期的に処置しているが、なかなか完治しない」(30代男性)
  • 「足裏の皮が剝ける、甲や土踏まず辺りに治まらないかゆみが出る」(40代男性)
  • 「肉離れ、お尻・膝痛、足底筋膜炎など全ての故障が右足だけで発生する」(60代男性)
  • 「朝起きた時に土踏まずの辺りが痛む」(40代女性)
  • 「薬指と小指が寝ていて形が悪い。ランニングにも影響があるのではと思う」(50代男性)
  • 「レースを走ると水ぶくれがいっぱいできてしまい、さらに爪が内出血する」(40代男性)
  • 「過去の膝痛の経験から全力を出すのが怖く、セーブ気味になってしまう」(50代男性)
  • 「左足が左方向に流れるので、シューズの左踵の減りが右に比べて早い」(60代男性)
  • 「巻き爪で爪を短く切れないのですぐ靴下に穴が開く」(30代女性)
  • 「数キロ走ると膝が痛みだし、結局ウォーキングになってしまう」(40代男性)
  • 「スピードが遅いのもあるが、着地音が出やすくてバタバタしてカッコ悪い」(50代男性)