タフなあの人が実践する、ひみつの疲労回復術。
消耗しがちな毎日のなかで、自分を立て直す習慣を持つ人は強い。各分野で活躍する2人が多忙な日々で実践する独自のリカバリー術を教えてもらった。
text: Mako Matsuoka photo: Hiromichi Uchida
『Tarzan』No.925 on sale May 14

料理家・山本千織|アウェイの街に出て、“自分”をほどく。
山本千織(やまもと・ちおり)/1962年生まれ。札幌での定食店経営を経て、上京。2011年に代々木上原で〈チオベン〉を始動。ケータリングも行う。

旬菜と肉をバランスよく詰めた〈チオベン〉は、慌ただしい撮影現場に癒やしをもたらす。ロケ班ごとに異なるリクエストに応じながら、毎日150食ほどを送り出す山本千織さん。オフであっても、翌朝の仕込みがよぎるという。
「せめて休みの日くらいは、タスクを消化しないでおこうと決めました。ただ、それを忘れるために、大自然の中に身を置くのは性に合わない。自ずと“私”を見つめ直してしまうので。都会の喧騒に飲まれている方が、個人的には回復になると分かりました」
“通行人A”になれる場所を求め、3週間に一度は拠点の代々木上原を飛び出している。南新宿や大手町など馴染みのないエリアを彷徨い、新御茶ノ水に辿り着いた。
「もう1年くらい足を運んでいますけれど、相変わらずアウェイ。でも、それがいい。カレー屋さんでランチをして、その後は近くのスタバへ。PCやノートを開き、メールの返信や作業に取り掛かります。結局仕事をしていますけれど、やる気のある人しかいない空間なので、“自分”の小ささにも気付ける。ユーチューブの誘惑にも乗らず、事務処理がはかどります。なによりも、電車移動がいいリセットになっていますね」

ノートにはお弁当の設計図から見積もりまで丁寧に記録している。

知らない街のスタバで半日を過ごす時の相棒。事務所では集中できない作業を進めるうちに、“自分”が溶けていく感覚も得られるそう。
不動産会社経営・影山桐子|攻めのピックルボール、守りのアイマスク。
影山桐子(かげやま・きりこ)/1974年生まれ。『Women’s Health』と『ELLE gourmet』(共にハースト婦人画報社)の編集長を歴任。2026年に〈amu〉を創業。

料理とヘルスケアの2媒体の編集長を兼任していた影山桐子さん。誌面作りに励む一方、私生活では両親の家探しでシニアが部屋を借りられないという“現実”に直面した。
それを変えようと一念発起して、宅建士の資格を取得。今春起業し、不動産業と老後も社会とつながる場作りに取り組む。その行動力からも、タフなのは想像に難くない。では、どんなふうに復活しているのだろう。
「2つあります。1つ目はピックルボールでカラダを酷使し、基礎体力をアップさせることです」
パドルを初めて握った日に、30〜40代の熟練者に交ざって、2時間で6試合を体験。直後は筋肉痛と疲労で2日間寝込んだそう。それでも翌週、コートに立った。

ピックルボールは早朝の習慣。
「少し慣れていたので、ゲームを楽しむ余裕が生まれていました」
早くもカラダの変化も実感した。
「長年の悩みであった腰痛がなくなったんです。日常にはない動きが刺激になって、私のリミットを引き上げてくれたのでしょう」
“攻め”があれば“守り”も万全。
「睡眠の質を高めるために、アイマスクは欠かせません。ベッドサイドに2種を置き、コンディションに応じて使い分けます。暗闇に包まれると安心するし、目覚めもすっきりとしています」

手に持った〈ナナデェコール〉のアイマスクは4代目。

健康の土台は「食」。事務所でも自炊する。この日の昼はカブとベーコンのパスタを主役に、野菜をたっぷり摂取。
『Tarzan』925号「明日、カラダが軽くなる疲労回復術」では、今回登場したお二人のほか、音楽家・江﨑文武さんと建築家・日高海渡さんの“ひみつの疲労回復術”も紹介。働く人たちのリアルなセルフメンテナンスをお届けします。


