目覚めを変える、パジャマ攻略法。
効率よい疲労回復を目指すなら、睡眠時間に着目するのが最も簡単で、かつリターンも大きくなる。そこで、今回は何気なく選びがちな寝巻きにフォーカス。疲労を持ち越さないパジャマ選びを考察する。もうTシャツでは眠らない!
text & edit: Mikiko Itakura photo: Mitsuru Kugue illustration: Keisuke Hara
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教えてくれた人
友野なお(ともの・なお)/睡眠コンサルタント、心理カウンセラー。〈SEA Trinity〉代表取締役。日本公衆衛生学会、睡眠学会正会員。予防医学の中でも睡眠と心理学を専門とし、科学的エビデンスに基づく情報を発信。一人でも多くの人を睡眠改善へと誘うため、多方面で活躍。
“効く”パジャマ、4つのキーワード。
パジャマは、日中のハイパフォーマンスを約束する道具になり得る。睡眠のプロが提唱する、疲労回復のためのパジャマ選びの定義とは?
1.体温をコントロールすること。
心身の疲労を回復するためには良質な睡眠がマストだが、その鍵を握っているのが体温の変化だ。
「体温には、普段計測する“皮膚温度”と、内臓の温度の“深部体温”の2つがあります。皮膚温度が上がり、深部体温が下がると眠気が増す、というリズムを邪魔しないことが睡眠には重要です」(医学博士・友野なおさん)
入眠後も深部体温は下がり続け、上がりだすと覚醒を迎える。入眠から覚醒まで、この体温変化をサポートするパジャマが必要なのだ。
「睡眠効率を高めたいなら、季節にかかわらず、入眠前は深部体温の放熱を妨げないことが大事です。冬場、寒いからといって保温効果ばっちりの寝巻きを着込んでしまっては、放熱できず入眠に時間がかかってしまいます。また、高温多湿な日本の夏は、汗やムレ対策に劣るパジャマを着ていると、入眠前の放熱ができないし、睡眠中の深部体温の低下も妨げられ、中途覚醒が増えるでしょう」

良質な睡眠に必須な体温の上昇と下降、どちらも邪魔しないのが大切。パジャマ選びの基本だ。
2.スムーズな寝返りをサポートすること。
成人は、一晩で平均20〜30回は寝返りを打っているという。一体何のために行っているのか。
「寝たきりの人は、誰かが動かさない限り床ずれが起きるもの。体圧が1か所に集中しないよう、体液と血液を循環させることが、寝返りの重要な機能の一つです」
また、ノンレム睡眠とレム睡眠の切り替わり時に自然に起こる、欠かせない生理現象でもある。
「疲労回復にはどちらの睡眠も重要で、適切なタイミングで寝返りが打てれば、次の睡眠段階にスムーズに移行できます」
睡眠研究では、寝返りを打てないと熟睡感が少なく、途中覚醒が起きやすいと報告されている。
「朝起きた時に全身がバキバキに硬かったり、腰痛があるという人は、マットレスかパジャマが原因で寝返りが打てていない可能性が高いです。寝返り上手は睡眠上手。寝返りを妨げると、総合的な睡眠の質が下がってしまうということを知ってください」
3.入眠儀式として作用すること。
毎晩、ほぼ同じ手順で行う行動によって、脳と自律神経に「これから眠るぞ」という予測を与える入眠儀式。自律神経を副交感神経優位なリラックス状態にスムーズに移行させるプロセスだ。
「睡眠医学でも、その効果が認められています。就寝時間が近づいたら照明を落とし、入浴して、スマホを見るのをやめて呼吸を整えるなど、刺激の少ない行動を固定化するのです。同じことを繰り返すと条件反応が起き、睡眠モードに移行しやすくなります」
日常着からパジャマに着替えることも、効果的な入眠儀式になる。
「Tシャツやトレーニングウェアなどを寝巻き代わりにするのはやめましょう。外に着ていくものや、活動のために着る服を着ていると、本人に自覚はなくとも、心身はリラックスモードから遠ざかり、寝つきが悪くなります。同様の観点から、ベッドで仕事をしたり、何か物を食べるなど、睡眠以外のことをするのも厳禁です」
4.寝汗の不快感を軽減すること。
温度・湿度が上昇する季節は、寝汗の不快感の軽減もマストだ。
「快適な睡眠環境は室温が18〜22度、湿度は50%前後といわれていますが、それでも一晩に200〜500mLの汗をかくのが普通。酷暑の夏ではその何倍も汗をかくので、汗がこもって不快な思いをしないようにする必要があります」
寝汗がひどいと中途覚醒が増えるので、通気性や吸水・速乾性に優れたパジャマを選びたい。
「パジャマに頼るだけでなく、夏場は冷房をつけっ放しにして、室温が28度を超えないようにしましょう。また、湿度の調整も大事。除湿機を使ったり、サーキュレーターを回して湿度の調整をすると汗をかく量が減ります」
住環境によって、エアコンの設定温度がそのまま室温にならないということも知っておきたい。
「自分が寝ている高さが、快適な温度や湿度になるかが大事。ベッドの高さに温度計と湿度計を用意し、チェックしてみましょう」

日本の夏では快適な温・湿度を維持しづらいもの。パジャマの機能と冷房や除湿機に頼りたい。
【結論】吸水・速乾性に優れ、動きやすいベストサイズのパジャマを選ぶべし!
疲労回復を妨げないためには、睡眠中の体温コントロールが最重要課題に。汗を解消し、寝返りしやすい一着を選ぶ基準を次から細かく分析する。
素材、フィット感などを吟味。睡眠効率を上げるパジャマの選び方。
どんな素材やデザインが、極上の睡眠の相棒にふさわしいのか。パジャマ作りのプロが、押さえておきたいポイントを伝授。
素材&生地選びは心地よさを重視!
「パジャマは、快・不快を敏感に察知する素肌に直接触れるものなので、素材選びが最も重要です」とは、30種類の素材を扱い1400種類のパジャマを製造する〈つくるパジャマ〉の岩本悠資さん。
「ポイントは蒸れにくさ。その点から考えると、綿や麻、シルクなどの天然素材がおすすめですね」
また、ウールは温かくて寒い時季のみと考えがちだが、アウトドアの肌着にも使われるメリノウールは、吸湿性が高く乾きやすく、年間を通して活躍する素材だ。
「同じ素材でも、織り方で機能に違いが出る生地になります。綿をガーゼにすれば通気性が良くなり、空気層ができるので保温性も生まれ、通年役立つ万能な生地になります。シボのあるサッカー生地は肌に張り付きにくいので夏向きですし、綿や麻をニット生地にすれば、伸縮性が生まれるのです」
ただ、何を心地よく感じるかは個人差がとても大きいのも事実。
「素材や生地の特性を知ったうえで、最後は自分の肌感覚を追求し、好みの感触を選びましょう」

素材の機能・特性を独自評価。△評価の性能でも、生地の織り方やデザインを工夫すれば、マイナス部分を補える場合がある。汗かきや寒がり、よく寝返りを打つなど、自分の体質や季節に合わせて選びたい。
サイズ&フィット感は「大きすぎないゆったり」を。
睡眠中の健康に関わる、寝返りをスムーズに行うためには、自分に合ったサイズかどうかも肝心。
「ゆったりシルエットがいいのですが、大きすぎると布を巻き込み逆に寝返りがしづらくなります」
睡眠健康指導士の資格を持つ岩本さんのおすすめは、胸回りがヌード寸法より20㎝大きいこと。また、腕を回しやすいゆとりがあるデザインかもチェックしたい。
「タイトなフィット感が好みの人でも、動きやすいかを重視し、締め付け感がないものを選びましょう。また、肌が繊細な人は素材だけでなく、縫製の仕方を工夫し、肌への当たりを最小限にしたものを選ぶとストレスが軽減します」
暑い時季は袖丈、裾丈が短いものを選び暑さ&蒸れ対策をしよう。
「前開きのデザインも蒸れ防止に役立ちますよ。ただ、冷房冷え対策も必須。上着の丈はお腹を冷やさない長さを選んでください」
POINT
- 胸回り…ヌード寸法より20cm大きくする。
- 袖ぐり(アームホール)…腕を上下左右に回しやすいゆとりを持つ。
- 裾丈…長ズボンならくるぶしが隠れる程度。
- 上着丈…お尻が隠れる程度。お腹と下半身を冷やさない。
春夏仕様の生地、デザインから厳選。編集部のおすすめパジャマ。
識者2人の見解を踏まえ、パジャマの最新市場をリサーチ。酷暑に向けて買い足すならコレ!という3着をセレクト。
科学的検証も重ねた、独自の寝返り設計。
綿100%で優しい風合いのダブルガーゼ素材は優れた吸湿性・通気性を誇る。肩のラインを下げアームホールを広げ、寝返りのしやすさを徹底した特許取得の寝返り設計。ウェストの締め付けは調整可能。《KAIMIN NAVI 綿100%オーガニックWガーゼパジャマ長袖長パンツ》2色、3サイズ。13,200円。WEBサイト
伝統と新技術が融合。涼感パジャマが完成。
日本三大ちぢみの一つ、高島ちぢみをバージョンアップ。ちぢみ特有のシャリ感と軽やかさは保ちながら、独自の加工でしなやかなストレッチ性も兼ね備えた、日本の夏に最適な生地。風をまとうような着心地。《KaiminLabo BIWACOTTONメンズ半開》3色、4サイズ。16,500円。WEBサイト
素肌への思いやりを、繊細な人ほど実感。
最高品質のオーガニックの超長綿を極細糸で編んだ、ふわふわのガーゼ生地。縫い目を外側にするなど、敏感肌のための縫製を徹底。通気性、吸水性、吸放湿性も優秀。袖丈、着丈、裾丈はcm単位で調整可能。《とろけるガーゼメンズ敏感肌パジャマ》7色、15サイズ。17,380円。WEBサイト














