食前の緑茶は強い味方!肝腎膵をいたわる飲料選びの掟。
喉が渇けば、手軽に飲んでしまうソフトドリンク。あなたの好みのその味は、果たしてカラダにとって最適なのか? 一歩立ち止まって考えてみたい。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/Motiejus Vaura、松本セイジ 取材協力/川口 巧(久留米大学医学部主任教授)、栗原 毅(栗原クリニック東京・日本橋院長)、川村哲也(東京慈恵会医科大学客員教授)、高取優二(埼友クリニック外来部長)、伊佐地秀司(ヨナハ丘の上病院理事長)、糸井隆夫(東京医科大学主任教授) 編集/星野“cap”徹
初出『Tarzan』No.916・2025年12月11日発売

カラダにやさしい一杯の選び方。
昭和の昔に比べると、自販機やコンビニの冷蔵スペースに並ぶドリンクがびっくりするほどバラエティ豊かになった。
国内外の名水の地で採取された水に季節限定の清涼飲料水、ブランド豆コーヒーに有名茶葉を使った紅茶、健康効果を謳ったトクホや機能性表示ドリンク。まさに百花繚乱のソフトドリンク爛熟時代。
いつでもどこでも好みの飲み物を手に入れられる便利な時代、でも選択肢が多ければ多いほど、飲み手の選択眼も試される。さて、あなたの肝臓、腎臓、膵臓に優しいドリンクは果たしてどれ? いくつかのポイントを押さえておけば見極める目は養える。
1. 肝膵|果糖ぶどう糖入りに要注意。

好きなテイストの飲み物でも甘い味付けのものは必ずラベルをチェック。
果糖ぶどう糖液糖は、トウモロコシやサツマイモなどのでんぷんを糖と果糖に加工した液体甘味料の一種。果糖の含有率が50%以上90%未満のものが「果糖ぶどう糖液糖」で、50%未満のものが「ぶどう糖果糖液糖」。どちらも清涼飲料水などに使われているが、問題は前者の吸収スピードがより速く、血糖値上昇や脂肪肝、膵臓への負担などのリスクがあること。
「吸収スピードが速いドリンクは糖分をできるだけ控え、血糖負荷を減らすことが膵臓にとって有効です」(東京医科大学消化器内科学分野主任教授・糸井隆夫さん)
「ラベルを確認して果糖ぶどう糖液糖が含まれた飲料は避ける習慣をつけましょう」(栗原クリニック東京・日本橋医院長・栗原毅さん)
清涼飲料水のラベルの一例

毎日何気なく飲んでいる飲み物にも果糖ぶどう糖液糖が含まれていることも。ラベルに表示されていたら肝臓と膵臓のために控えよ。
2. 肝腎膵|1日3杯のコーヒーを習慣に。
コーヒーには強力な抗酸化作用のあるコーヒーポリフェノールが含まれていて、肝・腎・膵、3つの臓器に恩恵をもたらしてくれる。
「1日2〜3杯のコーヒーで重症な脂肪肝のリスクが大幅に低下するようです」(久留米大学医学部内科学講座消化器内科専門主任教授・川口巧さん)
「1日3杯以下のコーヒー摂取で膵臓がんの死亡リスクが下がるデータも」(ヨナハ丘の上病院理事長・伊佐地秀司さん)
「コーヒーと紅茶の2択なら利尿作用のあるコーヒーが腎臓にとってはおすすめ」(埼友クリニック外来部長・高取優二さん)
ただし、飲み過ぎには注意。
「カフェインの作用で血圧が上がる人もいるので1日3杯くらいが適量だと思います」(川口さん)
1日ブラック3杯を習慣化。
コーヒー摂取と膵臓がん死亡リスク。

1日3杯以下の摂取では膵臓がんの発症率が低下する傾向があるが4杯以上になると逆に死亡リスクが増す。男性では発症率が3倍に。
国立がんセンター「緑茶・コーヒー摂取とすい臓がんとの関連」2007年
3. 肝腎|緑茶のカテキンに頼るべし。

緑茶は茶葉から淹れたもの、ティーバッグ、ペットボトル、いずれでもよし。毎日続けることが大事。
緑茶に含まれるポリフェノール・カテキンは肝臓と腎臓の味方。
「茶カテキンには糖質の吸収を緩やかにし、中性脂肪の合成を抑制する働きがあります。脂肪燃焼の作用もあるので日々摂り入れる習慣をつけましょう」(栗原さん)
「お茶のカテキン、とくにガレート型カテキンと呼ばれる物質は動脈硬化の予防、血糖値や血中脂質の改善効果などが複数の研究で確認されています。カフェイン感受性がある人は夜は控えめにして日中は積極的に摂り入れてください」(東京慈恵会医科大学客員教授・川村哲也さん)
摂取の目安としては食事の前に100mL程度飲むこと。1日に飲む量の目安は500mL。
4. 肝腎|炭酸ならコーラよりジンジャーエールを。

甘くてシュワシュワしたソフトドリンクが飲みたいときはジンジャーエールの栓を抜くのがベター。
コーラの主原料は果糖ぶどう糖液糖と砂糖、炭酸、カラメル色素。つまり、とっても吸収が速いので脂肪肝や腎臓病のリスクが高まる。
「ゼロキロカロリーのコーラには果糖ぶどう糖液糖ではなく人工甘味料が含まれていますが、こちらは血糖値が上がらない代わりに脳が物足りなさを感じ、他の食事で血糖値が上がりやすくなる可能性があります」(栗原さん)
「糖分はコーラよりジンジャーエールの方が少なめ。また、生姜成分が含まれているので血流促進効果も期待できます。このふたつの理由から、毛細血管の固まりの腎臓にはコーラよりジンジャーエールがおすすめです」(高取さん)
5. 腎臓|コーヒーは豆から挽くべし。

忙しい朝もコーヒーは市販品ではなく自分の手で豆から丁寧に淹れよう。カラダにも心にも余裕ができる。
一杯のコーヒーでほっとひと息つきたいとき。以下のうち、あなたが選ぶべきものはどれか?
- カフェのコーヒー
- 自販機の缶コーヒー
- コンビニの冷蔵庫のコーヒー
- 自分で淹れるコーヒー
できれば避けてほしいのは2と3のコーヒー。というのはこれらには香料などの添加物が含まれているから。
「一番安心できるのはカフェや自分で豆を挽いて一杯ずつ淹れるコーヒー。腎臓にとって一番気をつけたいのは添加物なので、コーヒーを飲むなら自宅やカフェで、フレッシュやガムシロップを使わずに飲むのが正解です」(高取さん)
6. 腎臓|粉を溶かす飲料は避けて。
インスタントコーヒーやココア、スポーツドリンクに青汁。携帯するのに便利でお湯や水さえあればいつでもササッと飲み物にありつける。とっても便利な粉末タイプの飲料。ところがこれ、腎臓にとってはあまりありがたくない。
「基本的に袋に入っていてお湯や水を入れて飲むほとんどの飲み物には添加物が含まれているからです」(高取さん)
添加物とは香料、人工甘味料、増粘剤、着色料、pH調整剤、酸化防止剤などなど。過度に心配する必要はないが、こうしたドリンクの常用は腎臓に負担をかける。自覚すると同時に利用頻度はほどほどにしておきたい。


